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【自粛をチャンスに】0から始める「メンタルトレーニング」③

前回のnoteでは、フィードバックを中心としたメンタルトレーニングの概要と実施方法について学んだ。

↓前回の記事↓


今回は、アスリート個人がメンタルトレーニングを実施する際に、特に意識したい2点

・メンタルトレーニングの引き出しを増やすこと
自己客観視(セルフモニタリング)の精度を高めること

について、考えていく。

メンタルトレーニングの引き出しを増やすこと、すなわち実施可能なメンタルトレーニングのレパートリーを増やすことが必要な理由についてだが、これも前回の記事で述べた様に「心の状態は変容する」という前提がある以上、その心理状態、状況に適したメンタルトレーニングを選択する必要があるからである。

実際に行うメンタルトレーニングの例は、次回の記事から紹介する為、それらを参考にすれば問題ない。ただし、メンタルトレーニングの実施方法を覚えるだけでは、不十分である。それらのメンタルトレーニングについて、それがどのような効果を生むのかまで、その原理から理解する必要がある。この「原理」の部分についても、後の記事で解説する為、問題ない。

現段階では、代表的な心理状態の、「緊張」という言葉は「多義性」を持つということ、すなわち「緊張にもいろいろな種類がある」また、より専門的な話をすれば、スポーツ心理学において「緊張」とは、「覚醒」を指し、大脳皮質の興奮の強さを指すことが、一般的である。ということを、頭の片隅においておくと良いかもしれない。(便宜上、緊張という言葉を「不安」に近い意味合いで使うことがあるかもしれないが、基本的にこれらは区別して用いられる)

二点目、「自己客観視(セルフモニタリング)の精度を高めること」における、「自己客観視(セルフモニタリング)」についてだが、これは言葉の通り、自分自身の心身の状態を、客観視するという事である。また、受動的注意やマインドフルネスという言葉があるが、これも自己客観視と同義である。

自己客観視では、自分の心理状態について、それをコントロールしようとするのではなく、あくまで「見守る」ことに留まるべきである。不安や「あがり」など、望ましくない心理状態について、それを無理やり変えようとする(落ち着こうとする)という試みは、却って身体の緊張や心の不安を高め、結果的にパフォーマンスを低下させる。これは、交感神経の働きが活性化することによる興奮が主な原因である。

一つ目の記事でも述べた様に、メンタルトレーニングを実施することで「自分の心理状態を自由自在に操ることができるようになる」と期待することは見当違いである。これは、デッドリフトなどのレジスタンストレーニングを実施することで空が飛べるようになることを期待するようなもので、そのような劇薬は残念ながら存在しない。ただし、これもまたレジスタンストレーニングと同様に、トレーニング原則に則って、継続的に、個別性と特異性を意識しながら行えば、その成果を実感することは可能である。(ただし、先にも述べた様に、それを目に見えたものとして直接的に捉えることはできないが)


まとめ

・自己客観視(セルフモニタリング)とは、その言葉通り「自分自身を客観視すること」であるが、注意すべき点は、その心理状態に対して、それをコントロールしようとしてはいけない、あくまで「見守る」というスタンスを取るということである。

・メンタルトレーニングは、一般的なレジスタンストレーニングと同様に、「トレーニング原則」に則って実施されるべきである。


次回の記事では、実際のメンタルトレーニングの例を紹介する。
「リラクセーション技法」と呼ばれるもので、心理状態の中でも、「不安」と大きく関わるメンタルトレーニングである。

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