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【自粛をチャンスに】0から始める「メンタルトレーニング」⑥

前回のnoteでは、「逆U字仮説」と、認知的不安について、「カタストロフィ・モデル」や「ヒステリシス現象」について紹介した。

↓前回の記事↓


今回は、実際の「リラクセーション技法」のメンタルトレーニング内容を紹介する。

リラクセーション技法には、「腹式呼吸」や「自律訓練法」「筋弛緩法」など様々なものがあるが、本noteでは「腹式呼吸」を紹介する。サイキングアップなど、それ以外のメンタルトレーニングについても、次回のnoteから順を追って紹介していく。


腹式呼吸

私たちは、一分間に「15~20回」呼吸をしている。人は、心的ストレスにさらされたとき、血圧や心拍数が増加したり、汗をかいたり、筋肉が緊張して肩がすくんだりする。これらは、先に述べたような生理的反応、すなわち「情動」の変化である。呼吸に関しても、情動の反応として、それを大きく反映する。

つまり、ストレスに対して、「呼吸のペースが早くなり、呼吸の深さは浅くなる。」

そこで、リラクセーション技法における腹式呼吸では、呼吸を意識的にコントロールすることによって、心的ストレスを解消する還元的なアプローチをとる。

まずは、速くなった呼吸のペースを「遅くする」ことを意識する。
そのためには、吸う時間よりも「吐く時間」を長くする方法をとる。

禅では、「調身・調息・調心」という言葉があるが、まずは上記のように呼吸に注意を向けることで、雑念を払拭することが心理的・生理的なリラクセーション効果を期待させる。

一般的に、呼吸法によるリラクセーション技法では、「3秒・6秒」や「4秒・2秒・8秒」の方法が用いられるが、個人の肺活量によっては吐く時間がつらく感じる場合があるため、トレーニングごとに自分に適切な呼吸のペースをより厳密にフィードバックすることが望ましい。


腹式呼吸のやり方

具体的なやり方の一例は下記のとおりである。

・まずは、「調身」から。背筋を伸ばす。(立って行っても、座って行っても良い。自分に合った方を選んで行う)目は開いて行う。

・へその下が「へこむまで」口から空気をゆっくり吐き切る。

・吐ききったら、空気を鼻から吸う。そうすると、お腹が膨らむ。

・このサイクルを5~10分間繰り返す。


実施にあたって

・「ゆっくり」空気を吐く(吸うことよりも、吐くことに注目)

・腹部に手を当てて、実際に手の動きに注意を向けても良い。
・苦しくならない様に、秒数も調整しながら。
・空気をたくさん吸いすぎない。
→血中の酸素が飽和状態になり、頭がボーっとしてしまうため。
・手首で脈拍を測りながら行うことで、拍動の感覚が長くなることを実感できる。
生理的反応を実感することで、動機づけになる。


特に注意すること(メンタルトレーニング全般)

技法を習得するまで、メンタルトレーニングを「練習」することになるが、練習の途中で電話など余計な邪魔が入らない様に、初期の段階では「静かな環境」を確保してから行う。そこから漸進性の原則に従って、「少しイライラした状態で行う」→「敵対的な考えや感じ方や衝動がわく状況で行う」といった具合に、より「緊張」を意識した練習へ発展させていく。

呼吸法に関しては、「毎日」継続して練習を行うことが望ましい。トレーニング開始時は、「空気を吐くのと同時に、へその下をへこませる」感覚が不可解に思うかもしれないが、それらも継続して練習することで、適応されていくはずだ。(筆者の場合は、「吐ききる」あんばいがイマイチ掴めず、効果を実感するのに3日ほど要した覚えがあるが、適宜脈拍を測りながら行うことで、個別性に則った呼吸の程度がわかった)


繰り返しになるが、メンタルトレーニングに関しても、成果を出すには日頃からのトレーニングが必要である。すぐに効果が出るものではない。

次回は、フィードバックには欠かせない「セルフモニタリング」について紹介する。

参考書籍

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