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0から始める「メンタルトレーニング」⑧サイキングアップについて


前回のnoteでは「セルフモニタリング」の方法を紹介した。

↓前回の記事↓


今回は、リラクセーション技法と対となって、緊張をコントロールする重要なメンタルトレーニングの方法「サイキングアップ」についてである。

サイキングアップ

サイキングアップとは、リラクセーション技法と対になる「緊張を高める」メンタルトレーニングの技法である。ここまでのnoteで再三述べてきたように、ここでいう緊張とは、大脳皮質の覚醒の度合いのことを指している。つまり、リラクセーション技法では、過度に強い緊張に対して、それを抑制することで適切な緊張の状態(ゾーン、フロー状態)を実現してきたが、サイキングアップではパフォーマンスの発揮において、「低すぎる緊張を高める」という方法をとる。サイキングアップとリラクセーションは表裏一体だが、目的自体は「適切な緊張の実現」ということになる。

サイキングアップの実施方法

試合の前にアップテンポな曲を聴いたり、自分の頬を叩いたり、円陣を組んで大声を出すことは、すべてサイキングアップの一種である。要するにこれは、「気合いを入れる」行為ともいえる。

心拍や体温を高めて大脳皮質の覚醒を促すという目的に沿っていれば、基本的にこれらのすべての行為は有効と言える。つまり、サイキングアップの実施方法はリラクセーション技法よりもさらに個別性(個人の嗜好)が尊重される傾向があるともいえる。(どのような曲を聴くかは、他人が決めるべきではないように)

サイキングアップの多くは一般的なウォーミングアップに内包されている。軽いジャンプやもも上げなどの「軽運動」、短く、早く、強い「胸式呼吸」はサイキングアップの代表的なものである。実施にあたって、心拍の高まりと、血流量の増加をイメージしながら、それと同時に自分自身の気分も高揚していくことを感じられるとより効果的である。軽運動の注意点を挙げるとすれば、試合前の段階で疲れすぎないようにすることである。

サイキングアップの実施にあたって、これ以上何か特筆すべきことはない。というのも、ウォーミングアップに含まれる軽運動の実施は競技者なら誰しもが経験しているだろうし、ここまでのnoteで述べてきたように、「自己客観視」こそが、そのメンタルトレーニングを有用なものにするか否かの決定因子だといえるからである。

まとめ

試合前に、緊張があまりにも高い状態であるのに、無条件に頬を叩いてしまう競技者がいる。言うまでもなく、このような無意図的な行為は極力避けるべきである。かといって、全てを形式に落とし込んで、機械的にメンタルトレーニングを実施していてはその効果は見込まれない。

判断の柔軟性は、手段の引き出しを増やすことで高まる。その手段は、本記事のような何らかのメディアを通じて獲得された知識を実践し、反復することで技法として定着する。今まで、試合前に行っていた無意図的なルーティーンを見直し、それを使い分けることで、意図的な「ゾーン」への突入が可能になるだろう。

参考書籍

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