指す将ドラフトチームバトル - 勝手に観戦記

 指す将ドラフトチームバトルが終了しました。
 関係者同士で進められた企画だと思いますが、私はチームに関わらず観戦して楽しませていただきました。企画が滞りなく予定通りに進行して無事終了したところは、企画運営メンバー・参加メンバーの事務能力の高さ・仲の良さ・人知れぬ努力などをなんとなく感じます。

 たくさんの熱戦が繰り広げられ、当事者からもいろいろ想いのこもった振り返りが出ていますが、せっかくなので傍観者の立場から勝手に観戦記を書いてみようかと思います。

目立った人

 対局メンバーは将棋倶楽部24での級位者だったわけですが、全体的に皆さん序盤がうまいですね。私が序盤知識ないだけともいいますが。
 結果的に中盤で差が出てきて、さらに終盤で2転3転みたいな展開が多かったのではないでしょうか。中盤で悪くしても粘って逆転するような将棋を見ると、強いなーという印象を持ちました。

 ドラフト一位指名の人たち(ポールさん、アノニマスさん、りゅうさん、あおまさん、なっきゅんさん)はチームのエースとしての活躍を期待され、ご本人たちは結果に不満もあるかもしれませんが、やはり力を示す内容の将棋が多かったような気がします。
 序中盤で良くなるとそのまま手厚い指し回しで勝ち切り、序中盤で不利になった場合も相手を楽にさせていなかったと思います。

 そんな中で、主催者なのに抜群の個人成績をあげたのののさんは序盤から優勢を築いて一気に持っていく将棋が多く、全く緩みがなかった点で異色だったのではないでしょうか。結果以上に将棋の内容が強すぎる感じでした。
 ほかに個人成績で目立ったのは島ノ葉さんドラキーさんボロ娘さんああたりでしょうか。

熱戦ピックアップ

 主観的に面白かった対局や注目した人の対局をいくつかピックアップしてみます。

第4試合 第4局 ▲k2lowさん - △ラギィさん

 動画(1:01:10~1:24:20)。難しい勝負所での粘り強い指し回しと、時間が無くなった中でのごちゃごちゃした感じ、形勢に差がついてもあきらめない姿勢など、フィッシャーの魅力が表れた一局です。
 両者ともに地力のある力強い将棋という印象です。相振り飛車でk2lowさんの向飛車に対してラギィさんは四間飛車で右矢倉に構える戦いでした。
 敵陣に角を打ちこんでから、細いながらも積極的に攻めかかったのはk2lowさんでしたが、そこを手厚く耐えて反撃に出たラギィさんが巧みでした。
 そこから両者時間がなくなり、k2lowさんが馬をほぼタダ取りされる事態に。形勢としてはそこで大きく差がついてしまいました。ただ、最終的に逆転はならなかったものの、最後まで頑張ったk2lowさんの姿勢は団体戦の気負いが感じられて良かったと思います。

時間切迫で乱れながらも頑張る

第5試合 第3局 ▲御鈴さん - △八十さん

 動画(31:50~48:30)。序盤は御鈴さんのうまさが、終盤は八十さんの老獪さが印象的だった一局です。
 御鈴さんはこの企画で私が注目した方の一人です。星取りでは苦労したかと思いますが、序中盤のセンスが良くてすぐに伸びそうな印象を受けています。
 一方で八十さんは本局が特徴的で、我慢強い終盤型という印象になりました。本局では飛車を押し込められて劣勢の局面から、42にいた玉を22まで退避させたあと、一瞬の隙を突いて角打ちから一気に寄せてしまいました。しゃがんで耐えていたはずが、そこから繰り出すしゃがみパンチがクリティカルヒットという感じのおもしろい将棋でした。

しゃがみパンチの勝利

第6試合 第8局 ▲島ノ葉さん - △りゅうさん

 動画(2:20:30~2:43:20)。りゅうさんの振り直し作戦と島ノ葉さんの矢倉戦の指し回しが印象的だった一局です。
 いつも対抗形を志向する島ノ葉さんと、逆に対抗形を指さないりゅうさんとの一局で、戦型がどうなることかと開始前から注目されました。始まってみると、りゅうさんが飛車の振り直しで強引に相居飛車に持っていくという非常におもしろい序盤になりました。
 りゅうさんの強引な序盤作戦は手損になるため、島ノ葉さんは手得を活かして攻めの形を作り、押し切って制しました。奇をてらった序盤を許さないというのは、言うのは簡単ですが実行してみせるのは難しいことです。普段指さない矢倉で勝ち切ったのは見事でした。

飛車を振り直して矢倉戦

全体の感想

 指す将順位戦6thの期間は自分の所属するリーグを注視していて他のリーグの方はあまり見ていられなかったのですが、この機会にBクラスの方の将棋を知ることができて、面白かったです。
 チーム戦というのも良いですね。自分の都合だけじゃないところでプレッシャーがかかってきますし、誰と当たるかという手合いの面白さもあります。レート的にもドラフト的にも格上の相手に勝つ人が結構いました。
 もうすぐ参加者募集が始まる指す将順位戦7thでは、観戦が忙しくなるかもしれません。


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