天撃システムの思想2
居飛車は振飛車であり、振飛車は居飛車である
天撃システムは、あらゆる戦法に対して陽動振飛車を主軸に対抗策を用意し、自分の土俵に引きずり込んで戦おうとします。特性上、振飛車でもあり居飛車でもあると言えると思います。
振飛車といえば、戦いのおきた場所に飛車を振って捌いていくのが基本です。あるいは、8筋を突破されても焦土作戦でより敵玉に近い5筋を攻めて勝つというのも重要な思想です。居飛車(矢倉)が飛角銀桂香をフル活用して攻めかかろうというのに比べると、相手の動きを見ながら柔軟に適切なところを攻めるのが振飛車的な動きと言えます。
その意味で、天撃システムが採用する相居飛車は振飛車の一形態です。相手の陣形を見たときに、左で飛車を使うより右を攻めたほうが良さそうだと判断すると居飛車で戦うことになります。居飛車党の居飛車のように、居飛車を前提とした駒組みをしないのが特徴です。
居飛車は、自分から積極的に攻める姿勢を見せるのが特徴です。特に相居飛車においては互いに攻勢を見せることが多く、守備も相手の攻めに対して必要十分を測る姿勢が求められます。左を攻められているのに右に囲うというような引き気味の守勢はそこにはありません。
その意味で、天撃システムは居飛車に近いものです。相振り飛車における左棒銀なんかは相居飛車の発想そのものだと思いますし、実際に相居飛車の戦いを用意しているところもそうです。
対居飛車の基本形
さて、天撃システムにおける序盤の対居飛車における自陣の基本形は、下図実戦譜のように▲2七銀と▲6七銀という左右の銀の配置にあります。
この左右の銀は、陽動振飛車なら右銀は銀冠になり、左は居飛車との対向となります。相居飛車なら右銀を棒銀として使い、左は雁木系の駒組みとなります。
振るのか振らないのかという問題はそれなりに重要なのですが、それ以前にこの形に組ませてもらうところも重要だったりします。それは次節に書いた戦型選択の部分で、全ては相手の指し手に応じて選択していくのです。
対居飛車の戦型選択
では、ざっくりと相手の戦法に対してこちらがどのような構えを取るかを整理しておきましょう。
相掛り →拒否
横歩取り →拒否
角換わり →拒否
矢倉 →基本形から振飛車銀冠
雁木 →基本形から雁木棒銀
左美濃 →棒銀速攻
お気づきかと思いますが、いわゆる「相居飛車の4大戦法」をさくっと全て拒否しています。これが、もともと居飛車党ではない、そして定跡を学ぶのが苦手な私が相居飛車を指せる理由です。
もっとも、細かいことを言えば特殊な相掛りや特殊な角換わりになる可能性はあります。それはそれで研究課題だったりするわけですが、通常の居飛車党はその特殊な形を研究課題としているわけはないでしょうから、研究負けする可能性は低いでしょう。
唯一まともな(?)相居飛車になるのが、相雁木です。
雁木の時代
雁木は、対居飛車でも対振飛車でも戦える優秀な構えだと思っています。しかし攻められるとかなり受けの力が要求される形でもあると思います。今の私は攻め将棋なのか受け将棋なのかわかりませんが、攻守の入り組んだ複雑な戦型を指しこなしたいという欲求があり、相雁木はしっかり戦いたいものです。
雁木といってもいろいろバリエーションがあるもので、そう一筋縄ではいきません。単純な棒銀から▲3五歩という攻めに対して、相手がどういう対処を用意してくるかがポイントになることでしょう。
時代は雁木です。私も雁木の練習を頑張らなくてはいけません。
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