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オプション取引でヘッジ?

こんにちは。今日もお読み頂きありがとうございます。
今日は「オプション取引」の活用について書いてみたいと思います。bloombergの記事↓を見ると「ハイテク株急落前に大量ヘッジ」とあります。イメージは分かるけど実際ヘッジって何だっけ?ソフトバンクのオプション取引はヘッジ?といった視点でみていきます。

その前に、先週オプション取引の概要をまとめた記事↓を書きましたので、良ければ見てみてください。

YouTubeにも動画をアップしています↓

以下、前回のNoteからの引用です。

オプションとは、状況に合わせて使うか使わないか決められる選択権のことです。デリバティブのオプションも同じように、選択権です。何を選ぶ権利かというと、株式等ある金融商品をあらかじめ決めておいた価格で売買するかしないかを選べる権利です。金融商品を買う権利は「コールオプション」、金融商品を売る権利は「プットオプション」と呼ばれます。そして、オプション取引は、これらの買う権利や売る権利の売買を指します。権利の売買なので、権利を商品として購入対価を支払う必要があります。

1.リスクヘッジ?

ヘッジとは何でしょうか。リスク・ヘッジという使い方が一般的かと思います。その場合、何となく「危険を避ける」と理解しそうですが、投資の世界では「リスク」を「変動性」と捉え、また「ヘッジ」を「大きな損失が出ないように手を打つ」と捉え、「(指数の)変動によって損失を被らないように手を打つ」と理解します。何故なら、投資の世界の「リスク」と「リターン」は「変動性」と「収益性」で表されるためです。特にリスクの考え方は統計学でいう標準偏差(データのばらつき具合)に基づいています。
ざっくり言うと、例えば3つの数字がある場合、①100,110,120のケースと②100、150、10だと、②のケースの方がばらつき方が激しい、という事になります。これが今年、来年、再来年の株価だったとすると、①だと再来年の株価は120円で、②だと再来年の株価は10円です。
図で表すと以下のような形です。

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②については、いくら一気に価格が上がる可能性があるからと言っても、これだけ変動性の高い商品には、将来のために運用している自分のお金を使って投資しようとはなかなか思わないですよね。
リスクヘッジの本質は、この変動性によって損をしないようにする、という事です。

2.オプション取引とヘッジ

では、具体的に金融商品のヘッジ取引を見ていきます。前回はオプション取引の例でコール・オプションとプット・オプションを見ました。前回も触れたように、コールもプットも「売り」の場合には損失額が確定出来ないので注意しなければなりませんでした。

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(Source. 楽天証券Website)

例えば、太郎くんが梅干し商事の株式を持っているとします。太郎くんは、この梅干し商事の株式の値下がりリスクをヘッジしたいと考えます。当然ですが、株価が上がれば利益が増えますし、株価が下がれば利益が減ります。では、どのようなオプションを組み合わせると効果的でしょうか。

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保有株の値下がりリスクをヘッジする場合には、プットの買いをオプション取引として利用する事が想定されます。プット・オプションは、株価が下がれば利益が膨らむ一方で、株価が上がればオプションを行使しないことになるので、損失はオプションの対価部分だけになります。

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そして、最初の梅干し商事の株価とプットの買いのグラフを重ねてみると、以下のようになります。赤い線は、ちょうど利益と損失が反対方向に向かっていて、これが相殺されます。

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その結果、以下のようなグラフになります。これはコール・オプションと同じ形になります。

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でも、だったら株式とプット・オプションじゃなくて良いじゃん、と思えますが、値上がり益を狙って株式取引をする場合には、通常、価格が上がると思って買うので、最初から高額なオプション料を支払ってオプションを買うという事は少ないと思います。また、オプション取引はレバレッジが効く(ざっくり言うと少ない資金で値動きの大きな取引ができる)ので、きちんと理解をしておかないとオプションの売りのように多額の損失を被る可能性もあります。
上がると思って保有している株が逆に値下がりしそうな場合に、損失を限定するためにオプションを活用するというのはありかもしれません。株式投資も前提としては、会社が資本市場で資金調達するという目的が最初にあります。また、オプションも、それ自体を使って儲けるという意図以前に、こういった形でリスクをヘッジするためにあります。

また、リスク・ヘッジという観点から、ビジネス的に一番身近なデリバティブ(金融派生商品)は為替予約だと思います。(↓Source. MUFG website )

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為替予約とは為替リスク(変動)による損失を被らないために、将来のある時点で行う為替取引について、事前に為替レートと数量を予約する取引のことです。例えば、海外から材料を仕入れているメーカーが、材料の仕入れ値が為替変動の影響を受けないように、為替予約をするという事が良くあるケースです。
オプション取引を含むデリバティブ取引をする事自体がリスクが高い、投機、というイメージを持たれがちですが、実際には逆にリスクを抑えるために行っている取引の場合も多いという事になります。

先日のソフトバンクのオプション取引はどうだったのでしょうか。ソフトバンクは巨大なファンドを組成して、金額の大きな投資を行っています。その投資の運用成績によっては、グループの業績が大きく影響を受けます。この影響はポジティブなときもあれば、ネガティブなときもあります。業績の変動が大きい、つまりリスクが高くなります。そうすると、長期安定的な株主はソフトバンクの株を手放してしまうかもしれません。結果、株価が低迷し、資金調達が困難になってしまう可能性もあります。このように、業績の変動は意外と大きなインパクトがあります。このような観点から、ソフトバンクグループはリスク・ヘッジのためにかなり大きな金額を動かしているのではないかと思います。つまり、単純に投機的な動きをしている訳ではないだろうと思います。

このように、金融商品の保有者が個人なのか、法人なのか、値上がり益を狙っているのか、シンプルにリスク・ヘッジをしているのか、等いろいろケースが想定されるので、オプション等のデリバティブ取引をする際には、事前にそういった商品の性質をきちんと理解して、状況に合わせて活用していく事が重要だと思います。

今日もお読み頂きありがとうございました。m(_ _)m





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