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株主訴訟で、東電の旧経営陣に13兆円の賠償命令 7・13東京地裁判決

原発業界を主導してきた東京電力の元経営トップらに、司法によって、事故の責任が明確に突きつけられました。

11年前の福島原発事故をめぐり、東電の株主48人が旧経営陣の5人に対し、「津波対策を怠り、会社に巨額の損害を与えた」として22兆円を東電に賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が7月13日、東京地裁でありました。

朝倉佳秀裁判長は、巨大津波を予見できたのに対策を「先送り」して事故を招いたと認定。勝俣恒久元会長ら4人に、連帯して13兆3210億円を支払うよう命じました。詳しくは14日付朝刊などをご覧ください。

私が注目したのは、避難者の方たち約3700人が国と東電に損害賠償を求めた先月の上告審判決との落差です。この訴訟で最高裁は6月17日、国の賠償責任を認めないという極めて不当な判断を下しました。1カ月前のこの判決では、裁判官4人のうち1人はこの判断に反対し、国の責任を認める少数意見を表明しています。

避難者の方たちの訴訟では、これまで賠償額は上積みされてきましたが、経営判断の過失についての判断はあいまいなままでした。旧経営陣が業務上過失致死傷罪に問われ強制起訴された刑事裁判も一審は無罪です。そしてこの6月、最高裁は、原発を国策として進めてきた国の責任を認めなかったのです。今回の東京地裁判決は逆に、国の責任を認める、最高裁の少数意見と軌を一にするものだと言えます。

事故から11年を経て、東電の経営責任を、司法がやっと認めました。来年1月に出される刑事訴訟控訴審の審理と結論にも大きな影響を及ぼす可能性もあります。

ただ、私が信頼する友人はこの判決を見て、こんなふうに憤っていました。

避難者が原告の裁判では、国の責任はもちろん経営責任すらあいまいにしてきたのに、株主が東京電力という企業に損害を賠償せよと求めたら、今度は13兆円の損害賠償を命じた、というわけです。

ここに原告が避難者であるか、株主であるかからくる判断の差異があるのかどうか。あるとなれば、これも司法という国家権力のなせる判断というべきでしょうか。(難波健治)

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