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水族館経営者の思考 - JCEL

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JCEL代表 三坂伸也のnote集。 水族館のデザイナーとして、一級建築士として、経営者として。 様々な視点で日常のトピックをつづります。
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#経営

「世界のアマノ」との出会い-都市型水族館への挑戦 #06

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「現代アートと水族館」と題して、水族館のコンセプトづくりについてのエピソードをお話しました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 「美しい水」の世界を求めて新潟へスタッフからアクアデザインアマノの天野さんについて聞いた後、私は上越新幹線で燕三条へと向かいました。 株式会社アクアデザインアマノ(ADA)の本社は、のどかな田園風景を抜けた先の大通川のほとりに建つモダンな

現代アートと水族館-都市型水族館への挑戦 #05

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「絶対に諦めないチーム」と題して、都市型水族館の理想と現実の壁についてお話しました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 理想のコンセプトと現実のコンテンツ東京スカイツリータウンの水族館のキーコンテンツであるペンギンプールのデザインは関係者のご尽力により私のイメージ通りに進捗していきました。 メインが固まってきたことによって全体のプランニングも順調に整理されていきま

国内初!ペンギンを上から眺めるプールをつくる-都市型水族館への挑戦 #04

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「絶対に諦めないチーム」と題して、都市型水族館の理想と現実の壁についてお話しました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 実はむずかしい、ペンギンの展示「東京スカイツリータウンの水族館」のキーコンテンツは「ペンギンプール」。そして、「ペンギンプールを上から眺めるのがポイント」と決めたのですが… 国内の水族館はどこを見てもペンギン展示はアクリル板で完全に閉鎖されていて

絶対に諦めないチーム-都市型水族館への挑戦 #03

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「誰もやらないことをやる」と題して、京都、そして東京スカイツリーを舞台とした、新たな挑戦の始まりについてご紹介しています。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 都市型水族館への挑戦我々がアプローチした「東京スカイツリータウン開発」の責任者は都市型水族館の考え方に「面白い!この開発では新しいコミュニティの創出を目指している。本件は至急検討する。」と前向きな反応。 しかし

誰もやらないことをやる-都市型水族館への挑戦 #02

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「ゆるやかなコミュニティの創出」と題して、新江ノ島水族館開業後の、新たな挑戦の始まりについてご紹介しています。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 都心に海を作る「ゆるやかなコミュニティ」を求めるマーケットに水族館を提供する! と決めた私がターゲットとして見据えたのは「都心」でした。 しかし、都心型水族館の前に立ちはだかる大きな課題が二点。 一点目は展示水槽用の「

ゆるやかなコミュニティの創出-都市型水族館への挑戦 #01

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「記念すべき"悪夢の一日"-遂に迎えた新江ノ島水族館オープンの日」と題して、新江ノ島水族館開業の日を振り返りました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 開業して生まれた新たな疑問怒涛の開業を乗り越えた新江ノ島水族館はその後も順調に集客を伸ばしていき、あれほど集客を心配していたにも拘らず私の関心はやがて集客(=売上)ではなく「水族館の本質」へと移行していきました。

記念すべき"悪夢の一日"-遂に迎えた新江ノ島水族館オープンの日

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「前代未聞の価格設定」と題して、既成概念にとらわれない、ビジネスのしくみづくりをご紹介しました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 開業までのカウントダウン従来の水族館をリスペクトしながらも多岐に渡り刷新を試みた「新江ノ島水族館」の準備は2004年4月16日開業に向けて怒涛の如く進んで行きました。 開業3ヵ月前になると、工程表に記された何重にも輻輳する作業にクリテ

前代未聞の価格設定-水族館の既成概念をぶち壊す③

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「新しい商品の開発」と題して、「水のある空間」づくりの始まりについてご紹介しました。 今回も続きのnoteになります。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 水族館の既成概念水族館事業を推進するに当たって、取り急ぎ国内外の水族館を片っ端から見て廻ってみるとある事が気になりました。 「夏は混んでるけど冬はガラガラ」 「週末は混んでるけど平日はガラガラ」 「お昼前後は混ん

新しい商品の開発-水族館の既成概念をぶち壊す②

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「新しいマーケットの創出」と題して、非日常を日常に、水族館の公園化計画についてご紹介しました。 今回も続きのnoteになります。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 興味のない人に、価値を届ける「水族館の公園化」の方向性は決めたものの、具体的なテーマが必要です。 普通の人に水族館に来て欲しい。 「魚に興味がない人が水族館に足を運ぶ」というのはどういうことか? 水

新しいマーケットの創出-水族館の既成概念をぶち壊す①

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「水族館事業の軌跡」と題して、新江ノ島水族館でスタートした私の水族館人生の始まりについてご紹介しました 今回はその続きのnoteになります。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 「普通の人」向けの水族館事業会社が作った事業計画は完璧でした(数字上は…)。 端的に言えば、旧水族館の閉館前年の年間入場者数「30万人」を新規開業後「180万人」と6倍に押し上げるというもの

水族館事業の軌跡

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「H2Hマーケティング」と題して、マーケティングについて改めて、人間主体の目線で考えました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 水族館事業の軌跡今年でJCEL(株)は5年目を迎えることとなりました。 これもクライアント様を始め、関係者の皆様のご厚意の賜物と心より感謝申し上げます。 後述致しますが、JCEL(株)は設立当初より5年をひとつの区切りと考えてスタート致

「A+」への想い

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回の私の記事では、「得意なことをやる」と題して、得意分野を武器にしていくことの私なりの重要性について記事を書きました。 まだご覧になっていない方は、前回の記事も併せてご覧ください! 「A+」への想い過日、AQUA+のロゴマーク「A+」の商標登録が完了致しました。 「A+」の構成要素を紐解くと… 「A」はAQUA、まさに「水」。弊社は「水族館」を「水空間」と置き換えてお客様に提案しています。 20年間水族館

算数好きの弊害

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回、自然環境に生きる人間の「不自由」についてお話しました。 皆さんいかがでしたか?? 前回の記事も併せて御覧ください! 今回はもう少し日常の話に戻して、私の働く上での頭の中を少しご紹介します。 思考のプロセスと結論「多忙な上司への説明は結論から!」というのは世のサラリーマンの常識ですが、私はちょっと苦手です。 もちろん、会社勤めの中間管理職時代には鉄則に基づいて、上司には結論から説明していました。 但し、

不自由から生まれるもの

皆さん、こんにちは! JCEL株式会社 代表の三坂です。 前回、私の書いたこちらの記事でも取り扱っていますが、やはり日本社会は未だ新型コロナウイルスへの対処に苦難を強いられています。 「水と暮らし」をテーマにしているJCELにとって、コロナウイルスという"水"(=自然環境)と人間の"暮らし"の関連性はとても重要です。 今回は自然環境に生きる人間の「不自由」について触れたいと思います。 前回の記事も併せて御覧ください! コロナ禍において一変した生活現在も世界中の多くの人