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ジャーナルクラブ(抄読会)のすゝめ

今回は、ジャーナルクラブ(抄読会、輪読会などと呼ばれることもある)のご紹介です。ジャーナルクラブの歴史は古く、1800年代半ば、ジェームズ・パジェットがロンドンの聖バーソロミュー病院で「座って雑誌を読むことができる一種のクラブ」を設立しました。近代医学の父とも呼ばれるウイリアム・オスラーは、モントリオールのMcGill大学時代に、「購読する余裕のない定期刊行物を購入・配布するため」に同様のクラブを運営していました。臨床ガイドラインなどがない時代に医師が患者のケアについて共同で議論する貴重な機会であったと考えられます。

最新情報へのアクセスが即座に可能になった現代においても、ジャーナルクラブは広く活用されています。ジャーナルクラブは、医療従事者の知識を更新し、文献の妥当性と適用性を評価し、臨床での文献の使用を増やし、ケアの実践に変化をもたらすとされているのです。ジャーナルクラブの効果を明らかにするためのシステマティックレビューやランダム化比較試験も行われています。

ジャーナルクラブを持続可能で効果的な場にするために必要な要素として、以下のようなことが挙げられています。

 同じような臨床専門分野に関心を持つメンバーでグループをつくる
 目標を設定し、定期的に見直す
 成人学習理論の基本原則を尊重して実施する
 定期的に開催する
 リーダー/ファシリテーターを決める(持ち回りでも可能。研究デザインや統計学を学んだ経験があるとグループの議論を促進させやすい)
 クリティークの能力を高めたい場合は、評価ツールを使用する

最近では、オンライン会議システムを活用したり、TwitterやFacebook上でのジャーナルクラブも行われています。忙しい毎日の中で、定期的に論文を読み、クリティークするのは大変なものです。ジャーナルクラブを活用してはいかがでしょうか。

                         
参考文献
Joel M Topf, Matthew A Sparks, Paul J Phelan, et al. The Evolution of the Journal Club: From Osler to Twitter. Am J Kidney Dis. 2017 Jun;69(6):827-836. doi: 10.1053/j.ajkd.2016.12.012. Epub 2017 Feb 21.

Sinead Mary McGlacken-Byrne, Mark O'Rahelly, Peter Cantillon, Nicholas M Allen. Journal club: old tricks and fresh approaches. Arch Dis Child Educ Pract Ed. 2020 Aug;105(4):236-241. doi: 10.1136/archdischild-2019-317374. Epub 2019 Aug 29.

Christopher P Honey 1, John A Baker. Exploring the impact of journal clubs: a systematic review. Nurse Educ Today. 2011 Nov;31(8):825-31. doi: 10.1016/j.nedt.2010.12.020. Epub 2011 Jan 19.

                             (内海)


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