見出し画像

初めての論文投稿:え?何準備するんだっけ?

皆さんこんにちは。今回は、初めて論文を投稿しようと思っているあなたにお届けします。
論文の内容や方法論のような、研究の本質にとって重要な部分ではないけども、地味に困っている人も多い投稿論文の準備について説明します。
最近は日本語論文でもオンライン投稿が増えてきましたが、まだまだ紙媒体の郵送による投稿も多いので、今回は紙媒体を想定してお送ります。

先日、こんな質問を受けました。
A「はじめて日本語論文を投稿しようと思うんだけど、投稿規定に書かれてる通りの部数を事務局に郵送したらいいんだよね?」
古藤「ほぉ、確かにそうだけど、どれどれ。ああ、これではだめっすね。」
A「ええー!?何が?」
古藤「まずは投稿規定をしっかり読み直しましょう。一緒にやっていくよ!」

1.      文字のフォントと行数、行間
たいていの投稿規定にはWordのフォントや文字数の規定が書かれています。まずはページ設定で指定の数値に合わせましょう。
そうするとなんということでしょう。せっかく綺麗に作ったと思った改ページや表が、ずれたりはみ出たりして見づらくなっているではありませんか。
ちゃちゃっと修正してしまいましょう。

2.      ページ番号と行番号
ページ番号はこれまでも入れたことはあると思いますが、行番号は投稿論文を作成しないと使わないことも多いのではないでしょうか。
投稿の後、査読者がコメントつけたり、それに応答しやすいように、投稿論文の原稿の最初から参考文献まで、連続した行番号を入れておいた方がいいでしょう。

3.      図表の挿入場所の指定
投稿規定によっては、図表は論文の最後につけて、「文章中に挿入部位を朱書きで示すこと」などの指示がある場合があります。
これ、僕も最初はチンプンカンプンでした。文章中の「~~~(図3)」を朱書きにするってこと?
いいえ、違います。僕は修士課程のころに指導教官に以下の図のように、図表の挿入場所を示すよう教えてもらいました。

これが本当にあっているのか、スタンダードなのか。皆さんのご意見をお待ちしています。

4.      参考文献の書き方を最後にもう一度見直す
参考文献の表記方法については投稿規定に必ず書いてあります。
論文を書き始めた最初のころに確認して、そのまま最後まで行くと、途中で何かの勘違いが起きて、ほんの少し表記方法が間違えてしまっていることも起こりえます。
特に、インターネットの資料や本の一部を抜粋する場合、参考文献の書き方が雑誌と異なるので注意が必要です。
インターネット資料の場合は、最終確認日が必要です。投稿直前に再度確認しましょう。
最終確認日が半年前なんてことのないように。

5.      ちゃんと英文校正に出しましょう
投稿論文にはほとんどの場合、和文要旨だけでなく、英文要旨が求められると思います。
しかし、その英文、もしかして自分が書いてみただけで送ろうとしていませんか。
確かに英文校正には結構な金額も、時には時間もかかります。
しかし、投稿規定にはおそらく、「ネイティブの校正」とか「科学的専門知識を持った英文校正」のように記載があるはずです。
論文内容は良いものなのに、英文要旨がぐだぐだで査読結果が悪くなるなんてことのないように、前もって英文校正に出しておきましょう。

6.      送付状もしくはカバーレター
英語論文の場合はEditorに宛てたCover letterを書くのが一般的ですが、日本語論文ではどうでしょうか。
僕は日本語論文の投稿ではカバーレターのようなものは書いたことがありませんが、送付状はしっかり作ります。
著者名や題名だけでなく、投稿種別も書きましょう。
日本語論文には、原著論文、報告、資料、症例報告、ノートなどなど、投稿先によって論文の種別が色々あります。
表紙(タイトルページ)に書くか、送付状にしっかり明記しておきましょう。

7.      原本と副本
投稿規定によっては「原本を1部と副本を3部、投稿すること」みたいな書き方をされているときがあります。
僕は最初のころ、原本はすごくいい紙を使って、副本は再生紙とかを使うのか、と思っていました。え、僕だけですか。
もちろん投稿規定に、原本は表紙に著者らの所属情報を載せ、副本は題名等だけにして、投稿者がわからないようにしなさい、といった決まりを書いている場合もあります。
そうであれば、指示の通り、原本と副本を準備しましょう。もちろん紙質は同じでいいですよ。
特に指示がない場合は全く同じ原稿を複数用意することになります。
原稿ごとに黒クリップなどでまとめたり、クリアファイルに入れるとよいと思います。

8.      原稿以外の必要書類を確認する
投稿規定をちゃんと読むと、投稿前チェックリストや共著者の承諾書など、原稿以外の書類を一緒に送らないといけない場合があります。
共著者全員の署名と捺印が必要な場合もあると思いますので、できれば投稿するちょっと前に気が付くといいですね。
共著者が多施設にまたがる場合は、この署名を集めるのも時間がかかる場合もあるので気を付けましょう。

いかがでしたか。初めて論文を投稿する方の、少しでもお役に立てたなら幸いです。

古藤雄大
画像:いらすとや 焦って書類を書く白衣の人のイラスト(男性)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?