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希望をもつことの意味

オリンピックの是々非々がありますが、それとは別に純粋にすごいなと思った出来事があります。それは水泳の池江璃花子選手です。日本選手権で優勝した彼女のいろんな思いを全部詰め込んだ「つらくてしんどくても、努力は必ず報われる。」「今はすごく幸せ。」という言葉に柄にもなく自然に涙が出たのでした。それと同時に、つらい闘病生活を支えたであろうご家族の想いを推し量ることはできないほど、祈るような気持ちだったのだろうと思いました。現に、池江選手ものちのインタビューで、親に弱音を吐いた(死にたいなどの言葉)と明かしていました。池江さんの努力が一番だったと思いますが、それを支えた周りも希望を持ちあきらめなかったのだと思います。そこで、今回はこんなシステマティックレビューを見つけました。

Eche IJ, Eche IM, Pires C, Isibor C, Achibiri A, Aronowitz T. 2020. A Systematic Mixed-Studies Review of Hope Experiences in Parents of Children With Cancer. Cancer Nurs. Jul 9. doi: 10.1097/NCC.0000000000000841. Online ahead of print. (癌の子供を持つ親の希望の経験に関する混合研究の系統的レビュー)

背景:希望は、親の心理社会的苦痛や心理的不適応と負の相関があるだけでなく、成人のがん患者とその介護者の情緒的幸福と対処の重要な側面でもある。しかし、小児がんの親の希望の経験については、ほとんど知られていない。

目的:本研究の目的は、系統的な混合研究レビューを用いて、がんの子どもを持つ親の希望の経験を包括的に記述することである。

介入/方法:Psych INFO、PubMed、Academic Search Premier、CINAHLの各データベースを用いて、2005年1月から2019年10月までに英語で発表された論文を検索した。systematic mixed-studies review convergent designを用いて、質的データと量的データを収集・抽出した後、質的統合を行った。17件の論文が組み入れ基準を満たした。除外基準は、システマティックレビュー、非研究論文、症例報告、および抄録とした。

結果:希望は、親にとって強さと内なる指針の基本的な源である。希望は、親の心理的苦痛症状や対処法の障害と負の相関があることを示唆する結果が得られた。宗教性、精神性、および医療者と親の十分なコミュニケーションが、親の希望を強める可能性がある。

結論:親の希望は、子供のがん診断後の心理的苦痛および不適応を最小限に抑えるのに役立つ可能性がある。希望を維持するためには、医療者と親の間のオープンなコミュニケーションチャンネルが重要である。宗教性、霊性、楽観主義、および社会人口統計学的変数の理解は、親の心理社会的介入に役立つ可能性がある。

実践への示唆:心理的苦痛を抱える親を早期に発見することは、希望がない場合にはより多くの問題を抱える可能性があるため、非常に重要である。対象となる心理社会的介入は、がんの子供をもつ親がよりよく対処するのに役立つ可能性がある。精神的ニーズを継続的に評価することは、希望を持続させる上で重要であろう。

家族にしかできないサポートがあると思います。そのためには家族を支えることも医療職の大事な役割だと改めてわかりました。親の希望を持続させることで、その希望は子供にも伝播していくと、それがまた医療職を奮い立たせるんだろうなと思います。(文責:山川)

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