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周囲に配慮し、おうち時間を楽しむ

コロナ禍でおうち時間が増え、近隣トラブルが多くなったという話も聞きます。もめやすいご近所トラブルの1位は騒音であるという報告もあり1、「音」によって引き起こされる問題が多いです。今回は、そんな騒音と睡眠の関係に関して、WHOが行ったシステマティックレビューを紹介します。

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WHO Environmental Noise Guidelines for the European Region: A Systematic Review on Environmental Noise and Effects on Sleep
Int J Environ Res Public Health. 2018 Mar 14;15(3):519. doi: 10.3390/ijerph15030519.

【目的】環境騒音暴露の睡眠への影響に関する利用可能なエビデンスの質を評価するために、システマティックレビューを行った。

【方法】PSYCINFO、PubMed、Science Direct、Scopus、Web of Science、TNO Repositoryのデータベースで、環境騒音の睡眠への影響に関する非実験的研究を検索し、測定または予測された騒音レベルで、2000年以降に発表されたものを対象とした2000年から2015年の間に実施された74件の研究がレビューに含まれた。道路、鉄道、航空機の騒音暴露と睡眠障害の自己申告を関連付ける調査のメタ分析を行った。

【結果】Lnight(屋外の年間平均の音圧レベル)が10dB増加したときの睡眠妨害度のオッズ比は、航空機(1.94;95%信頼区間[CI] 1.61-2.3)、道路(2.13;95%CI 1.82-2.48)、鉄道(3.06;95%CI 2.38-3. 93)の騒音については有意であったが、航空機(1.17;95%CI 0.54-2.53)、道路(1.09;95%CI 0.94-1.27)、鉄道(1.27;95%CI 0.89-1.81)の騒音については、質問が騒音に言及していない場合、有意ではなかった。
交通機関の騒音が睡眠に及ぼす急性の影響に関する睡眠ポリグラフ研究のプール分析も行われ、屋内のLmax(最大音圧レベル)が10dBA増加した場合の覚醒確率の無調整オッズ比は、航空機(1.35;95%CI 1.22-1.50)、道路(1.36;95%CI 1.19-1.55)、鉄道(1.35;95%CI 1.21-1.52)の騒音で有意であった。
GRADE基準によると、交通騒音による皮質の覚醒と自己申告による睡眠障害(騒音に言及した質問)については、エビデンスの質は中程度であり、その他のすべての騒音源と調査された睡眠アウトカムについては非常に低いものであった。

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騒音によって睡眠は影響するというのは概ね予測された見解だと思います。ただしエビンデンスの質については低いものが多いのが特徴です。また騒音に言及していない質問の場合、騒音と睡眠の関係に有意な差は生じませんでした。
音はそれを意識し不快に感じると騒音になります。おうち時間を楽しむためにも、周りに配慮し、不快にさせないようにおうち時間を楽しみましょう。


【参考文献・サイト】
「もめやすいご近所トラブル」ランキング」東洋経済オンライン(2021/8/5アクセス)
https://toyokeizai.net/articles/-/84940


(文責 山上)


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