グリングリン

グリングリンの歌詞には「ある日、パパと二人で語り合ったさー、この世に生きる喜び、そして悲しみのことを……」とある。恥ずかしながら私は,父とこんな事を話し合った経験がない。
グリングリンとは小学校の音楽の授業などでよく歌われる歌で、タイトルの「グリングリン」は「グリーングリーン」とも表記されていることもある。
これに続く歌詞は「青空には小鳥が歌い」、「丘の上にはララ緑がゆれる」とあるから、恐らく高原のような爽やかな場所で父親と語りあっているのだろう。
パパと爽やかにこの世に生きる喜び、そして悲しみのことを語る事態、個人的にはできれば避けたい非常事態だ。しかし、この歌はタイトルの「グリングリン」という歌詞から分かるように外国の歌。日本人には馴染みのない事態は、きっと、外国では日常茶飯事なのだと思う。

アメリカの中学校のホームルームの時間に先生が提案。
「よーし、みんな。今日のホームルームの議題は『この世に生きる喜び、そして悲しみのこと』だ。活発に議論するように」
湧き上がる生徒達、お調子者のジョニーも今日ばかりは真剣に議論。クラスみんなでグリングリン。

街中で道行く女性に声を掛ける男。
「ねえ、ちょっと。今時間ある?そこのコーヒー店で、この世に生きる喜び、そして悲しみのことでも語らない?」
最近流行のナンパの文句。婦女子も放っておけない。女子と一緒にグリングリン。

友達のいないダニエル君は、自室に篭り一人でこの世に生きる喜び、そして悲しみのことを語っている。悲しみばかりのグリングリン。

フランスのある地方にある洞窟に描かれた絵。その昔、原人達がこの世に生きる喜び、そして悲しみを語り合った遺跡だと謂われている。原人達のグリングリン。

「ホー、フォッ、フォッ、フォッ、フォッ」
ジャングルに響く吠え猿の声。遠くの猿とこの世に生きる喜び、そして悲しみを語り合っているという。猿も一緒にグリングリン。

グローバル化する現代の日本。日本人も積極的にグリングリンしているべきだと思う。

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