はみ出せ、青春

「はみ出し者」、社会の正道から少し足を踏み外しつつ正道から外れることはない感じの少し危ない魅力が漂う、そんな人の印象がある。しかし、はみ出し者は、常に危険と隣り合わせであることを覚悟しなくてはならない。

例えば、年頃の娘さんにお見合いを勧めるとしよう。
「この人とても純粋でいい人だから、一度会ってみなさいよ。おばさんのお勧めよ」
「うーん、どうしようかなあ」
「少しだけ、はみ出し者ってところもワイルドでね」
「えー、どんなところが」
「はみ出してるのは、鼻毛だけど、ワイルドよ」
純粋な彼は、危険な方にはみ出した。

選挙の応援演説ではこうだ。
「というわけで、彼なら日本の政治を変えてくれるのであります」
聴衆から同意の拍手が降り注ぐ。
「それでは皆様、駅で電車を待つときは、いつも黄色い線から、足がはみ出している彼に清き一票を」
危ない魅力以前に、本当に危ない。

社内異動で、移ってきたエリート社員の山田さんが部長に紹介される。
「山田君は前に働いていた部署では、大活躍だったんだ。是非、山田君から学べるところは学んで欲しい」
山田さんのお陰で職場に活気が出そうだ。
「しかし、山田君は、同時に、はみ出し者でもある、ブルマからパンツがはみ出ている。ともかく、是非、山田君から学べるところは学んで欲しい」
折角のエリート社員もブルマからパンツがはみ出していたら台無しだ。いや、よく考えたらブルマでアウトだ。しかし、学ぶところは多いと思う。

スーパーでは売り子のこんな声が響く。
「本日、新発売になりましたヨーグルトです。只今、キャンペーン中でお安くなっています。従来のヨーグルトより乳酸菌が多くなっております。是非、お試し下さい」
カップに入った試食のヨーグルトがうまそうだ。
「このヨーグルトは、乳酸菌がはみ出てています」
ああ、はみ出してしまった。
「さらに、只今、キャンペーンで牛乳1リットルをお付けしております。この牛乳、キャンペーンにつき、乳から牛がはみ出しています」
どんな状況か分からないが、凄いことになっている。

はみ出す自由を否定するつもりはない。ただ、はみ出す人は危険と隣合わせであることを覚悟して、はみだして欲しい。

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