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vol.601 「一見正しそうなことをしたがっちゃう」というぼくたち人間の性癖。(稲田)2024/7/26

だいたいの仕事は課題や問題を孕んでいる。当たり前ですね。でも何が起きているのか、どこが問題なのかはっきりしない。改善するためには全体像を把握して原因を特定する必要があります。だから新しいプロジェクトの目的のひとつに「ボトルネックを探りたい/現状把握のためのデータ取得」がよく入る。それも全然問題ない。

でも、実際に進めようとすると皆さん右の解像度にしたくなっちゃう。気持ちはとてもよく分かります。よく見えないとイライラしますよね。でもちょっと待って。いきなりは無理です。そもそも「何が起きているのか分からない」からのスタートなんだから、どこにピントを合わせればいいかなんて分かるわけない。 だから最初は下の解像度(画像A)になるに決まっているんです。

画像A

これまで全体像が見える画像すらなかったんだから。「こんな構図だったのか!」と分かるだけでも上々です。構図や全体像が分かったからこそ、顔の場所やパーツの位置が掴めて、「じゃあ、まずは右目にフォーカスして探れるようにしよう」となるわけで。そのための設計をして、リソースを割けるようになる。あたりがつくってやつですね。

前述の画像は確かに解像度が荒いです。それはそう。仕方がないんです。今までなかったんだから。でも、放っておくと下の画像Bをやりたがる。

画像B

そういう打ち合わせをしちゃう。仕事してる感もあるし、MTGも盛り上がるかもしれない。それ自体は尊いことかもしれませんが、もしかしたらその綿密な打ち合わせ、背景の岩を対象にしてるかもしれないじゃないですか。全体像がないんだから。

これはもう人間の性だと思っています。人間は知りたがる。理解したがる。はっきりさせたがる。それは仕方のないことだと思っています。だからこそ、「油断すると右をやりたくなっちゃうんだぞ俺たちは」と自覚することがめちゃくちゃ大切だと思っています。戦略策定や設計するときは特に。一見正しそうだし、ロジックもあってそうだし。そもそも論とかべき論とか好きな人は特にそうでしょう。

右を目指すのはいい。大事なことだし。でも、ものごとには順番というものがある。リソースの使い方というものがある。「放っておくとはっきりさせたがっちゃう/一見正しそうなことをしたがっちゃう」というぼくたち人間の性癖をいかにコントロールするか。どんな仕事であれ、その制御と自覚はとても大切だと思っています。それができる大人になりたい。

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