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『夏物語』の感想

夏物語を読んだ。誰かのおすすめ本を色々調べたりしてamazonの欲しいものリストに登録したはずだが何で見たか誰のおすすめだったかは覚えていない。

結末は、個人的には好きな終わり方ではなかったのだが、それでも色々と考えさせられる好きな作品だったので感想を書く。ネタバレ込みなので、読んでいない方は注意してください。

色々な生活と貧しさ

最初の方は主人公が貧しかった頃の生活の話だ。そういう話は漫画やドラマでも見かけるが、自分はあまりそういう経験がないのでどこか別世界の様にいつも感じている。今回もそう感じた。

ただ、何というか思ったよりこれが描いている世界が最近の話と言うか、2008年とか自分が生きているこの時代の話に近い世界の話で、凄く不思議な感覚になる。

最近、テレビ番組でお笑い芸人の方の過去の話を見たりする。『日本怪奇ルポルタージュ』という番組で。それも自分が生きた時代に近い世界線の話だ。こういう世界が、今もまだまだ日本にもあるんだな、、と思わされる。だから何って事でもないのだけれど。最近そういう事を思うタイミングが多かったので、この本を読んでいても思った。

男について

途中、とある登場人物が結婚について話す中でこんな台詞がある。

「女にとって大事なことを、男とわかりあうことはぜったいにできない。」

その後に述べられている男とは、女とは、みたいな話は、本当にそうなんだろうと思ってしまう。というか、そうだよね、と半ば諦めて生きていることな気がしている。そして、その後にはなんていうか、まさにそんな男みたいな登場人物が現れたりして。その胸糞悪さというか何というか。

とんでもない世界だよね、何となくそう思っていたけれど、何も知らないけれど、やっぱそんなにとんでもないんだね、って思わされる。だから何ってことでもないのだけれど。

でも一つ言い訳というか、知らんけど、知らんけど思うのは、そういう男は、そういう男だから女の人の前に現れやすいのだ。そういう男じゃない人は、女の人に対してそういう思いが少ない人は、女の人の前に現れにくいのだ、必要が無いから。だから、そもそも男女という関係が発生する場所にいる男はほぼほぼそういう人であり、だからこそ世界の男はそうだと言われていて、それは男の俺も何となくそう思っている。そういう男の知り合いのそういう話を聞くことも少ないし、世界を全然知らないけれど、想像ではそんな感じは男の俺でも思う。

何て言うか、犯罪がまかり通ってる、みたいな気持ちになる。それは、痴漢だ何だ、みたいな話を聞く時にも思うし、そうじゃない色々でもなんか色々思うけれど、そういう世界を変える方法を俺にはいつも思いつけないし、俺には世界を救えないな、一人の誰かすら救えないな、、みたいにいつもなる。話それたけど。なんていうか、そういう世界の醜さを改めて感じた。

アセクシャル

主人公は、途中でアセクシャル的な発言をしている。恋愛的なことは分かるが、性的なことは分からない、恋愛とは結び付かない、もはや拒否反応が出る、的な話。

なんかそういう話なんだ~と思ったら、最終的にはそこがごにゃっとなって丸く収まった感じがあって何とも言えない。そういうセクシャリティ的なことは永続的なものではなくて変化の可能性があるので、そういう結論を完全に否定する気はない。ただ、私個人がそういうセクシャリティに近いところに存在していてそういう界隈を知っているせいか、結末はなんとも言えない気持ちになった。そんな結論になっちゃったら「結局良い人が見つかったら大丈夫なんだよ」って思われそうで。そう思われるのは癪だ。

子供と出産と

子供を産む、ということについてのいくつかの意見も出てくる。いくつかの観点でコメントする。

人工授精

まずは、第三者の精子提供を受ける人工授精(AID)についての反対意見と、それに対して「一般的な授精も同じだろ!」みたいな話。あのあたりの台詞は痛快で個人的には全く同意で、主人公のもやもやをその知り合いがガツガツ発言してくれる感じは心地よい感じはあった。

生まれてくること

次に、そもそも子供は生まれてきたいと思ってるかね、みたいな話。生まれてこなければ良かった、という子供もいるのに、そういうことを考えてるのか、苦しみを生み出すのか、そんなこと全員辞めればいいじゃないか、というだいぶ極端な話。

俺はこの登場人物の台詞には概ね同意している。俺が思っていることなので、同じ意見を聞けてちょっと嬉しい気持ちにはなる。生まれてこなければ良かったと今の自分が思っているのに、自分の子供がそう思わないとは俺には思えない。そういう意味では、登場人物とは少し違う理由から辿り着いた考えではあるものの、少なくとも俺は自分の子供は絶対に作りたくない。

そういう風に思うけれど、自分の場合は別にあまり不自由なく生きてきたのだ。それはこの登場人物とは違う。割と普通に平和に、何なら平均よりは高い水準で生活してきただろうと言う気がしているのだ。でも、生まれてこなければ良かったな、って思し子供を絶対に作りたくないと思う。俺みたいに何の不自由もなく生きてきたけどこういう考えの人って世の中には割といる気もするし、そういう登場人物も小説や漫画や何かで既に出てきているかもしれない。そういう作品あったら知りたいので教えて下さい。

でも、それだからこそこの台詞は重かった。

「生まれてきたことを肯定したら、わたしはもう一日も、生きてはいけないから」

これは、その登場人物の事を考えたら、そうかもしれないな、、と思わざるを得ない。そして、世界にはそういう人が存在しているというのがしんど過ぎる。中々、、うん。

ただ、結論はそうじゃない自分だからこそ少し違くて「俺は子供を作らない。そういう事を考えない人や、そういう考えじゃない人は勝手に子供を作れば良いさ」と思っている。俺は俺、他人は他人。生まれてきて良かったと思っている人もいるんだろうし、そんなこと何も考えずに生きている人もいるんだろうからね。でもさ、この登場人物ほどの苦しみが生み出されるかもしれない、って思ったら確かに他の人も全員やめろよ、って思うね。うん、10人生まれて、1人が絶望を感じる可能性があるなら、誰も起こさないでよって気持ちは、、この人だからこそ思えることであり、難しい話だね。

子供が欲しいということ

これは、個人的には本当に分からないなとは思うけれど、本当にそうなのかね、そうなんだろうね、、と今回改めて思ったこと。それは、「子供が欲しい」って、何かのきっかけで思う人がいるということ。何もかもを諦めて生きてきたのに、ふと「子供が欲しい」と思うんだね。

何歳になった時に、何かが起きた時に、何かに出会った時に、どんな時にそれを思うのか。分からないけれど、そういうことが起こりうるのだ。男の場合は分からないし、女の場合の方が確率が高いのかも分からないけれども。やっぱそうなんだね、、と本当に思う。

俺は、上でも書いたように自分の子供は絶対に作りたくないと思っている。だから、そういう行為はしないと考えていたし、だから恋愛も結婚もしないと考えていた。別に、他の色々な理由もあるのだけれども。でも、例えば自分には子供を作る能力がないと分かったら、そういう行為はしても良いかもしれない、と思ったりする。

そんな中、結局俺の人生はどうしようかな~と思っていて、結婚はしても良いかもと最近思うようになっていて、それは何というか絶対にしない!ではなくなった、というだけなのだが。だが、とはいえその「子供が欲しい」とか「そういう行為が」みたいな話がついてくると面倒だなと今は思っている訳で。でさ、例えばアセクシャル界隈みたいなのがあるんですよ。そういう人となら!みたいな時もあったのだけれど、結局そういう界隈だけれど子供が欲しいとか、そういう行為を一応してみたいとか、なんかそういう可能性はこの本の登場人物のようにあり得たりするわけで。それが、何歳の時に、何が起きた時に、そうなるかは分からないのだ。それが本当に怖い。それは、自分がそう思って相手がそう思わない時でも、その逆でも、って話になる。結婚ってのは、そういうことだ。そして、そうじゃなくても何かしらの方向性の違いみたいなことで、世界中で離婚が起きたりしているわけで。結婚もギャンブルで、人生もギャンブルで。それを、しても良いと思ってして、結局ギャンブルに負けて、ってリスクも含めてそこに一歩踏み出すか、って判断は結構難しいな~とか考えちゃう。

最後に、最近色々考えるし、色々な人の生活をフィクション、ノンフィクション含めて色々少しずつ知って思うけれど、結局多くが運ゲーで、それは人による、みたいなことを凄く感じる。誰と生きるか、みたいな。

多くの人がこういう傾向がある、みたいなことはあっても、自分がそうか否か、相手がそうか否か、周りの人がそうか否か、みたいな話だなと凄く思う。この本の感想って感じじゃないかもしれないけれど。

結婚ではない何らかの仕組みがあると、そういうリスクは減るよな~と改めて思う。結婚にせよ、出産にせよ、子育てにせよ。選択肢が多いことはリスク分散になる。投資で良く言われるバランスシートじゃないけれども、結婚とかそういう色々もリスク分散できる何か、みたいなのがそのうち出来ないかね。そういう仕組みが世界を少しはマシにしてくれないかな、、思いつかないけれど、、、と思う。

女性とは

「女性とは、みたいなことが分かる」みたいな口コミだった記憶があるのだが、ある一面は改めて少し触れたというか、見れた気はする。何となく思っていたことが、やっぱりそうなんだね、と思えたみたいなことはある。

それと、男より女性の方が結婚とか子供とか意識するとかは、結局毎月それを意識させられるイベントが発生するから、みたいなことがあったり、それが始まるタイミングがどうとか、そういうことがあるからなんだろうね。改めてだけれど。そういうのは考えさせられたかも。

俺は、結局そういうところは中学校くらいで少し授業で聞いたり、友達とそういう話が出るようになったタイミングとかで、嫌悪して拒否して、そのままずっと来ちゃっている気はする。なので、恋愛とか子供とか、そういうことは全部考えないで避けて生きてきたな~と思った。それが難しそうだな、、と思った。

おわり

色々と考えさせられることが多く、割と自分が最近考えていることに近い何かもあった気がするので興味深く読ませてもらいました。

読んでる途中では、もっともっと色々刺激があって、色々考えてたし書きたいと思っていたけれど、今日書いた分だけでも十分な文字数だね、、w

とはいえ、割と自分は色んな部分に同意しているために主人公と同じように恋愛も何もかも諦めているタイプの人間だったが、最近になってそれを少しずつ考え直そうかな?と思っている人で、なんていうか、それがこの話の結論みたいに「いい感じの人に会えるかの運ゲー」みたいには考えられない。考えたくない。そういう結論じゃないだろうけれど。なんか、色々なモヤモヤが全部訳も分からんまま解消されてめでたしめでたし、ってのはさ、なんだかね。俺は、どうしようかね。俺は俺で考えなきゃね、って感じですね。

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