変わりゆくシャシャ、変わらぬもの
3年ぶりのシャシャ。オンラインZoom で現地と話し合いを頻繁に行ない情報は得ているものの、それは切り取られた一面。自分の目で後ろも前も横も見られたらとの思いで、シャシャへ向かいました。アジアハイウェイの工事が完了した区間の道路は、軒を並べていた小さな商店も全て立ち退き、幅が広がり舗装されて、ガタガタ揺れを懐かしく感じるほど車はスピードを緩めずに進みます。JBCEAの事務所前は色鮮やかな電球を灯した茶店が開店し、雰囲気がかなり変わっていましたが、スタッフの元気そうな懐かしい顔を見た時には、思わずハグしてしまいました。
到着が夜だったため、周辺の様子が分からなかったのですが、翌日朝早くからインドとの物流が増えたことを実感させるように、トラックが猛スピードで行き来し、自転車や歩行者は道の片隅を通っていました(横断も危険な状況)。大豆製品をデパートメントストアで販売したいというスタッフと、近くのバザールに行ってみました。食品から洗剤、コピー用紙、粉ミルクなど実に多彩な品物を扱っている店を指していることが分かり、これもZoomでは伝わり難いとよくよく店を観察。ダッカからの商品が増え、経済的に余裕のある人たちが訪れるそうで、品質もダッカNo.1と表現していました。学校帰りの女の子がアイスボックス(カップアイスクリーム50タカ。日雇い賃金600タカ/日ほど)を覗いていて、冷たいジュースを買っている姿も見かけ購買層の広がりを感じました。
さて、気になる2月から給食を開始した小学校への訪問。政府が児童対象に制服代を支給し、各学校でデザインした制服を着た元気いっぱいの児童が、ちょうど給食前だったので手洗い場に並び笑顔で迎えてくれました。小学校にはWi₋Fiが接続され、奨学金は保護者の携帯電話に情報が送られ、銀行口座がなくても受け取れる時代になったそうです。その一方で給食開始前、数人の児童を対象に行った生活調査では、昼食を全く食べない・副食無しで塩だけでご飯を食べる・夕食は父親の帰りを待って夜中の12時に食べるなどの児童がいます。そんな家庭でも子どもに学力を付けさせるために塾などにかなりの金額(月TK200~700)を払っている現状も分かりました。これは自分が見ている児童の姿だけでは分からない事実です。
物が豊富になってジョソールやダッカが時間的に近くなったシャシャ。変わらぬものは何か。子どもたちに栄養のあるものをお腹いっぱい食べさせたいと、母親グループで活発に発言するお母さんたちの願いだと、あらためて思いました。
タイトル写真:「新しく学校給食を開始した小学校で、給食の時間に手洗い場に詰めかける制服姿の児童」
理事 豊田里美
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