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イラストで見る江戸の園芸

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▪️約200年前、江戸のまち、花と草木のある暮らし。ささやかで華やかな世界をイラストで覗きます。毎月更新予定です。 ▪️執筆者:笹井さゆり/Sayuri Sasai 昔の暮らしや文化… もっと読む
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#江戸時代の園芸

第8回 釣りしのぶ

夏の軒下に吊るすものといえば風鈴。ですがもうひとつ、江戸っ子に人気の “吊るす観葉植物“があります。今回は「釣りしのぶ」のご紹介です。 ざっくりと釣りしのぶの作り方を書きましたが、材料となる山苔やしのぶを探すのも、山苔が崩れないよう成形するのも、葉が出てくる場所を予測しながらしのぶを巻き付けるのも一筋縄ではいきません。各工程で職人の観察眼や技術が大変に問われるものでした。 釣りしのぶは、江戸の庭師が趣味で作ってみたものを出入りしていた屋敷へ、お中元として贈るようになったの

第7回 夏の風物詩、ほおずき市

本格的に日差しが強くなるこの時期、江戸の浅草寺には年に一度のご利益を求めて人々が参拝に押し寄せます。今回はそこで開催される「ほおずき市」のご紹介です。 浅草寺の四万六千日は7月10日ですが、我先にと、ご利益を得るため前日から駆けつける人が多かったようです。そのうち7月9日もご利益の対象となり、いつからか7月9日・10日の両日が四万六千日とされるようになりました。 現在も毎年7月9日・10日の四万六千日には浅草寺で「ほおずき市」が開催され、露店が立ち並びます。 ほおずきは観

第1回 江戸っ子に人気の花の名は・・

江戸のまちでは、子どもから大人まで、武士から町人まで、さまざまな人が草花を育て愛でる趣味を持っていました。時には特定の花が人気を集め、大ブームに発展することも。そんな江戸園芸文化の一端をイラストと手書き解説でご紹介します。 江戸時代を通して流行した花には、椿・菊・牡丹などがありました。 朝顔のブームは2回訪れており、いずれも江戸時代後期、庶民の生活も安定して文化が成熟した頃のことです。幕末には、約1200系統もの朝顔が生まれたとも言われています。 さまざまな色や形の朝顔が、