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20歳樹木オタクの、ひとり演習林

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執筆者 三浦夕昇 樹木がとにかく好きな20歳。 日本の樹木や、森のことを、写真と共にゆる〜く解説。森の中を散歩するような気持ちで、お気軽にお立ち寄りください。個性豊かな樹木達が、… もっと読む
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#四国山地

四国の端っこ、秘境の森紀行 その②  ~年表の外側で出来上がった人工林~

その①から続く… 怪しげな森 さて、千本山の森に滞在すること数時間。居心地が良すぎて、時間がどんどん過ぎてゆきました。 午前中に入山したはずなのに、気づけばもう夕方。そろそろ車に戻ろう…。そう思って山を降り始めると、周囲の森の雰囲気が一変しました。 なんというか、森が一気に暗くなった。まだ15時台のはずなのに、林内は薄暮時のような薄暗さです。午前中の明るみは嘘のように消え失せ、不気味な空気が漂います。 この不穏な空気を作り出した犯人は、林床に茂る照葉樹たちでしょう。

四国の端っこ、秘境の森紀行 その①  ~深山と深海が出会い、美林を産む〜

森歩きを趣味にしていると、旅行の目的地は自ずと辺鄙な場所になります。歩いていて楽しい、原生的な天然林は、多くの場合人里離れた奥地にしか残っていないからです。 普通の人はまず行かないような、秘境じみた場所に突入することもしばしば。東北や信越の深山で、ブナ天然林を見に行くために激狭林道を延々と運転したり、青森ヒバの森に行くために、未舗装の県道にコンパクトカーでアタックしたり…。旅先で樹木に振り回されると、旅行が冒険に様変わりするのです。ああ悲惨……(笑)。 こんな感じで、森に