ブルーに生まれついて


実在した伝説のジャズプレイヤー、チェット・ベイカーの半生を描いた伝記映画。

あの時代のバンドマンはドラッグが日常茶飯事だったと聞いたことがある。ジャズの世界でも麻薬で身を滅ぼした者は多く、チェット・ベイカーもヘロイン依存から最後まで抜け出すことはできなかった

しかし、チェットは最後まで音楽を辞めなかった。ジャズマンであり続けようとした。普通の常識で考えたらチェットみたいな人間はどうしようもないダメ人間の部類に入ってしまうだろう。でも、ぼくはチェットの人生を否定することはできないし彼のトランペットも歌も本当に美しいと思う


初めてチェットの歌を聴いた時は鳥肌が立ちそうなくらい魅了されました。善と悪とか、男と女とか、そういう二元性を超越したエネルギーをチェットは持っていたのでしょうか

破滅的な生き方を選んだ人だけど、すごくカッコイイんですよね。もしも、ドラッグに手を出さなかったら今頃はマイルス・デイビスと並ぶくらいの大物として語られていたのかもしれない

でも、もしもドラッグをやっていなかったらこの映画は生まれなかっただろうしチェットの退廃的な深みのようなエッセンスが彼の音楽に現れることもなかったかもしれない

切なくも美しい、夜の化身、チェット・ベイカー。イーサン・ホークの演技も素晴らしいです。この映画に出会えてよかった。

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