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コロナ禍×沖縄での大学生活

空港の自動ドアを抜けると
(いや思い返せば飛行機を飛び出したその瞬間から)
南国であった。

念願の地、沖縄へ。

 2021年4月1日。朝、私は15年ほど住んだ北海道を出発した。偏西風という向かい風に合いながらも必死にになってやってきた(もちろん飛行機が頑張ってくれた。当の私は健やかに眠っている)沖縄は、4月頭だというのに規格外の気温、そして圧倒的な湿度で出迎えてくれた。

コロナ禍ということ。

 ここで私は分かっていたはずで全く分かっていなかった問題に直面する。そう、皆さんお察しの通り、マスクがあまりにも暑すぎる問題である。もうマスク生活も丸1年は経過していたし、北海道も夏はしっかり暑い。完全に油断していた。「これが沖縄の洗礼か!」。どう考えてもコロナ禍というものにツッコミを入れるべきだが、その考えに至らない程度には私はもうすっかり慣れてしまっていた。

コロナ禍×沖縄での大学生活。

 前途多難のように思えたコロナ禍×沖縄での大学生活は、現在までの丸2年を振り返ると、語弊があるかもしれないが、余りにも有意義なものだった。

入学、そしてアツい出会い。

 私は2年前に琉球大学農学部に入学した。私の感覚では他の地域と比較して沖縄県はコロナに関する規制が緩かった。そのため、入学式や学部・サークルオリエンテーションは対面開催。このサークルオリエンテーションで私はそれなしでは大学生活を語れない程のめり込むことになるサークルに出会う。熱く、暑く、厚くなってしまいそうなため、また後で触れることにする。

”大学の授業”

 憧れの”大学の授業”についてだが、やはりオンライン方式で、皆が指摘している通り集中力はまるで続かなかった。

 しかし一方でこの状況はラッキーだとも思った。農学部という理系学部に進学しておきながら理系科目に一抹の不安を抱えていた私にとって、コロナにより対面テストが行われないことは、正直言ってかつてない好成績を残せるチャンスだった。

 毎度の出席やミニテスト(もちろんオンライン)、そして最終評価に大きく繋がる期末レポートを徹底的に良いものとなるように努めた(寝坊したがパソコンの起動が早くて命拾いしたことは残念ながら1度ではない)。

友達、仲間。

 私の授業への取り組みは当然のことのように思えるが、結構周りにはやる気を失っている者もいた。無理もない。モチベーションを維持しようにもなんたって一緒に頑張る仲間ができないのである。私は寮に入ったため寮生という仲間、そして何より偶然にも同じ琉球大学に入学した高校からの親友がいたから助かったまでだ。本当に運がよかったと今でも思う。

ジャズ研究会との出会い。

 「カッケーーーー!!!」
幸いにも対面開催されたサークルオリエンテーションで出会ったとんでもないサークルがジャズ研究会だった。
 快晴の下、圧倒的な音楽を轟かせていたジャズ研究会に心を奪われ、ギターを少しかじっていた私はその場で入部を決めた。

立ちはだかるコロナの壁。

 入部してまもなく、やる気MAXの私に悲報が届く。”部・サークル活動、当面の中止”。一足早い夏の訪れに伴って、じわじわと沖縄県の新規コロナ感染者数は増加していた。
 
 活動が再開すれば、貴重な仲間・憧れの先輩とのセッションに勤しみ、中止となれば悲しみながらも、自己研鑽のためギターに触れる。例年行われていたはずの、一晩中セッションできる合宿、ジャズバーを貸し切ってのバンド発表など、ワクワクドキドキのイベントが開催されることはなかった。

 以降、活動再開、中止を繰り返しやっと落ち着いたのはおよそ1年後の2022年3月だった。

3年生になった今。

 ”沖縄の洗礼”を受けていた私は、実を言うと屋外でのマスク着用は早々にあきらめていた。多少の視線を感じながら、心の中で「ごめんなさい。」と思いながら、マスクを外していた。

 この3月、そんなマスク生活にもとうとう終止符が打たれた。そして1週間後の5月8日にはコロナウイルス感染症は「5類」に分類され、いわゆる”コロナ禍”というものは徐々に終わりを迎えるだろう。

 この丸2年、コロナに振り回されながらも、まとめると楽しく有意義な大学生活であった。そしてそれはこれからの後2年も間違いなくそうなるはずである。
 コロナ禍だから知ることのできた仲間の尊さ、アツくなれるものの存在、踏ん張る大事さがある。余りにありきたりで綺麗事をこんなにも真面目に書いていることに自分でも驚くが、本当にそうなのだ。


今日も南国では蒸し暑い風が吹き、
息をのむほど美しい海が輝いている。

#いまコロナ禍の大学生は語る

この文章は、「#いまコロナ禍の大学生は語る」企画に参加しています。
この企画は、2020年4月から2023年3月の間に大学生生活を経験した人びとが、「私にとっての『コロナ時代』と『大学生時代』」というテーマで自由に文章を書くものです。
企画詳細はこちら:https://note.com/gate_blue/n/n5133f739e708
あるいは、https://docs.google.com/document/d/1KVj7pA6xdy3dbi0XrLqfuxvezWXPg72DGNrzBqwZmWI/edit
ぜひ、皆さまもnoteをお寄せください。

また、これらの文章をもとにしたオンラインイベントも5月21日(日)に開催予定です。
イベント詳細はtwitterアカウント( @st_of_covid をご確認ください )
ご都合のつく方は、ぜひご参加ください。

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