現代人にみる漠然とした不安とは ~いかに冷静にみつめ、自らに問いかけ、そして、よりよくイメージできるかが大切~
我われ現代人には、絶えず何かしらの不安がつきまとっています。経済的不安や生活上の不安、人間関係の不安など様々です。これまでどの時代にも多かれ少なかれ不安はついてまわってきました。それは、個人差もありますし、それぞれの生活環境や社会状況などでも異なり、それぞれが抱く不安は一様ではありません。ただし、現代の人々に共通する不安はむしろ漠然とした不安であり、将来が見通せない感情からくるものが少なくなく、それはまた何かによって支配され、誘導されているのかもしれません。問題は、ただ漠然とした不安をそのままにして、あるいは気がつかないふりをして心のなかにしまい込んでしまうことではないでしょうか。先回もお話をしたように、単に心配や不安だけで毎日を過ごすのではなく、その不安はどこからくるのかをより冷静にみつめ、今何を考え、これから何をしていくべきかを自ら問い続けることが必要だと思います。
ナポレオン・ヒル 『思考は現実化する』 (きこ書房、2014年)という上下巻の自己啓発本の原点の一つともいうべき書があります。原書は、Think and Grow Rich(1937出版)といって、どちらかと言えば「考えて豊かになれ」という内容に近く、翻訳である日本語タイトルの是非はあるかと思います。ただし、自らの理想や目標へ向かって思考=イメージすることでそこまでに辿り着く道筋=プロセスが徐々にみえてきて“より現実化すること”の可能性は否定できないと思います。同書(下巻)326頁に「人間は、心の中でひらめかないものを創造することはできない。言い換えれば、心のヒラメキこそが、すべてを創造する力を持っている。意識的なものであろうと無意識的なものであろうと、心のヒラメキこそ、具体的な何かを創造する力があるのだ。」(原文ママ)とあるように、いかに普段からいろいろと思考すること=イメージ化をすることが重要だと説いています。
この本の最後の18章「不安という名の七つの亡霊」という小タイトルの下に、7つの基本的な不安について述べられています。すなわち、
1. 貧困に対する不安 2.批判を受けることに対する不安 3.病気に対する不安 (1~3すべての心配事の底流) 4.失恋に対する不安 5.自由を失うことに対する不安 6.老いに対する不安 7.死に対する不安 です。
ここでは、経済的不安や自らをとりまく社会的不安、心身に関する不安、人生での様々な不安がとりあげられていますが、それらを克服するためには、いかに現実を冷静に受けとめ、将来に対してより良く思考(イメージ)して実行してことが最も肝要なことなのかをあらためて考えさせてくれていると思います。
この人生塾では、このような様々な不安をむしろみんなで口にして客観化し、共有し、すぐに解決できるわけではないとしても、みんなで“語り合う”ことでそれぞれ自らの状況を知ることでいろいろなことを学ぶことができると考えています。それは、自らを“言葉にすること”で気づくことでもあり、誰かに話すことでより自らの不安を“外からみつめなおすこと”ができるからです。人生いろいろなことがあるから、おもしろいのかもしれませんね。みなさんはどのように感じますか。
人生塾 柳緑花紅 塾頭 くりおんだ