【決定版】耳コピの壁を超える。【ジャズピアノ】
上の言葉は、ジャズトランペッターのクラーク・テリーの言葉です。
ジャズを学ぶための姿勢を説いた言葉ですが、
日本でも「守破離」という言葉があるように、
これは他分野にも通じる、学習の基本となる考え方だと思います。
今回は、最初のステップである「真似をする」について、お伝えします。
昨今、「ジャズを学ぶには、耳コピが良い」という考えは、
ライト層に浸透し始めている反面、
実践できている方は極めて少ないと感じています。
その理由としては、下記が挙げられます。
音が聞き取れない
譜面が書けない
耳コピの効果に懐疑的
今回の記事では、↑の3つの壁を打破するために、
具体的な解決方法をお伝えします。
1.「音が聞き取れない」という壁
音が聞き取れない、という方にとって、大半の場合は、
今取り組んでいる曲が、実力に見合っていません。
上は、文化人類学者の西江雅之氏の言葉です。
例えば、幼稚園児に芥川賞受賞の小説を渡しても、
その面白さは理解できないように、
ある一定の理解や、面白さに出会うためには、
自分の実力もそれに伴って必要となる、ということです。
故に、耳コピをするために、
自分の実力に見合った曲を選ぶ、というのは非常に大切です。
一つ具体例をご紹介します。
この曲は、有名なスタンダードナンバーかつ、
ジャズ黄金期の録音で、参加しているメンバー全員が、
ジャズの歴史に名を刻む名人。とてもオススメです。
レッド・ガーランド(pf)のソロをトランスクライブした譜面を
解説付きでXに投稿していますので、ご覧ください。
それでは、自分の実力に照らし合わせて、曲を選ぶときの
判断基準は何か、考えてみます。
ジャズ史的に重要なものか?
1950年代、など年代で選ぶのか?
お気に入りのスタンダードで選ぶのか?
色々な判断基準はありますが、
初心者にとって最も簡単な答えは、
「ピアニストで選ぶ」です。
いきなりオスカー・ピーターソンや、ビル・エヴァンスといった
技術的に難しいピアニストではなく、
レッド・ガーランドや、ウィントン・ケリーといった
アドリブのアプローチが明確なピアニストを
チョイスすると良いでしょう。
上のピアニストの演奏も全く聴き取れない、という方は、
恐らく耳コピの環境・方法が間違っています。
環境については、
スマホのスピーカー等ではなく、
可能な限り、良い環境で聴くと良いです。
今は、Bluetoothスピーカーや高性能イヤホンが
手頃な価格で手に入るので、ぜひ導入しましょう。
何十万もするオーディオシステムは必要ないです。
方法については、
アプリを使用すると耳コピの正確性・効率が圧倒的に上がります。
使用するアプリは、2つだけです。
Apple Music
Audipo(有料版)
Apple Musicで曲を保存→Audipoで再生
たったこれだけの手順です。
実際の手順は、↓の動画を参考にしてください。
今までに体感したことが無いくらい、耳コピが捗るはずです。
以上が、1.「音が聞き取れない」という壁を打破する具体例です。
ぜひ実践してみてください。
2.「譜面が書けない」という壁
耳コピした曲を譜面に書くことは
後々、復習する際に役立ち、
フレーズを可視化して分析できるという
メリットがあります。
プロミュージシャンの中には
耳コピしても書かずに記憶する人がいますが
やはり人は少なからず忘れるため、
時間がある人は譜面に残すことをおすすめします。
耳コピ譜面の書き方のポイントを3つ、
順に説明していきます。
①日付・曲名・アルバム名・録音年・ピアニスト名・セクションを記入。
②小節上にコードを記入。まずは右手だけ採譜。
③左手を採譜。気づいたテクニック等は、メモしておく。
楽譜は、手書きでも、ソフトを使った打ち込みでも
どちらでも構いせんが、
両方を試してみるとそれぞれの
メリット・デメリットを実感することができます。
ちなみに私は、昔は手書き派でしたが、
現在はMusescoreという無料楽譜作成ソフトを使用しています。
当時の手書きの譜面は、↓こんな感じです。
以上が、2.「譜面が書けない」という壁を打破する具体例です。
ぜひ実践してみてください。
3.「耳コピの効果に懐疑的」という壁
実際に耳コピに挑戦したはいいが、
これが果たして効果があるのか、
俄かに信じられないという方は多くいます。
耳コピよりも、理論書を読んだり、
近所のセッションに行ったり、
そこで出会った人にアドバイスをもらう方が
上手くなるのでは?という方も多いでしょう。
断言しますが、
耳コピを避けてジャズが上手くなることはあり得ません。
偉大な先人たちも、
必ず自分以外の誰かを模倣し、学んでいました。
例えば、今もなお第一線をひた走るピアニスト
ハービー・ハンコック。
彼は自伝で、こう語っています。
ジャズの帝王ともよばれるトランぺッター、
マイルス・デイヴィスも
自叙伝にて、こう語っています。
超個性的で、伝説的なミュージシャンでも、
最初は誰かを真似することからスタートしていたという事実があります。
彼らのような天才すら大切にしていたことを、
私たちが疎かにする理由は、見当たりません。
もちろん、皆がミュージシャンを目指すわけでは無いですから、
各々無理のないペースで、ジャズへの学びを深めていけば良いと思います。
しかし、情報が溢れ錯綜するこの時代にこそ
改めてトランスクライブ(耳コピ)の大切さを
お伝えしたかったので、記事を執筆しました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
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大変嬉しいです。
皆様のジャズライフが
楽しく豊かなものでありますように。
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