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何処かの短編

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ちょっとおかしなちょっとした話を時々ぽつぽつと書いています
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#ファンタジー

花屋

とある花屋 店員が一人、レジで作業をしている こぢんまりとした店内は今日も色とりどり と、男が一人やって来る 「いらっしゃいませぇ」 店内を見て回る男 「すみません」 「はい」 「ひょうたんてあります?」 「ひょうたんもう全部出ちゃったんですよぉ」 「あ」 「さっきまであったんですけど」 どうしたものか 男は他の手を考える 「舌先さんの家へ行かれるんですか?」 「あ、はい」 「本当ついさっき、女性の方が」 「あ、そうなんですね」 「ありがとうございました」 男

カウンター

とあるカウンター 男が一人、日本酒と小皿で一杯やっている 向うで刺身を盛り付けている大将の手際 ちびちび 「それなんですか?」 振り向くと男がにっこり笑っている 「はい?」 「それなんですか?」 「あ、えっと、菜の花の酢味噌和えです」 「一口貰ってもいいですか?」 「あ、どうぞ」 男が小皿を差し出すと、隣の男は会釈を済ませて菜の花を摘まむ 「あー」 「美味しいですよねぇ」 「もう一口貰ってもいいですか?」 「どうぞどうぞ」 遠慮なく二口目を摘まむ男 男も特に気にし