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何処かの短編

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とある何処かの、ちょっとおかしなちょっとした話
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2021年3月の記事一覧

喫煙所

とある喫煙所 男が一人、たばこを吸っている 通りでは昼飯を食べ終えた人達がもといた場所へと帰っていく と、そこへ男がやって来る 煙草を吸おうとするが、どうやらライターが見当たらない 「すみません、火、貸してもらってもいいですか?」 「お」 男はポケットからライターを取り出して眼鏡の男に差し出す 「ありがとうございます」 「よかったらそれ、どうぞ」 「え?」 「もう一個持ってるんで」 「まじっすか?」 「どうぞどうぞ」 「ありがとうございます」 男は煙草に火を着けると

花屋

とある花屋 店員が一人、レジで作業をしている こぢんまりとした店内は今日も色とりどり と、男が一人やって来る 「いらっしゃいませぇ」 店内を見て回る男 「すみません」 「はい」 「ひょうたんてあります?」 「ひょうたんもう全部出ちゃったんですよぉ」 「あ」 「さっきまであったんですけど」 どうしたものか 男は他の手を考える 「舌先さんの家へ行かれるんですか?」 「あ、はい」 「本当ついさっき、女性の方が」 「あ、そうなんですね」 「ありがとうございました」 男

何処かの川 男が二人、椅子に座ってのんびり釣りをしている 今日はまだ一匹も釣れてないけど特に気にしていない様子 「透明人間て見たことあります?」 「透明人間ですか? いや、ないですね」 「私昨日見たんですよ」 「えー」 「自販機でジュース買って飲んでたんですね」 「はい」 「そしたらごとんて急に飲み物が落ちて来て」 「おお」 「で、ぱって見たら」 「お」 突然男が勢いよく釣竿を引き上げた 話していた男もつられて視線を隣の男の浮きへ移す 「きました?」 「いや、逃げられま