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インドネシアと銅

インドネシアの銅は、埋蔵量が世界10位、生産量が世界7位である。

銅はまず、銅を含む銅精鉱として鉱山から採掘されます。

その銅精鉱を、銅精錬工場まで運搬し、精錬工場で、銅が精製されます。

この過程で、精製される銅の量の4倍の硫酸が発生します。

この硫酸は、加工することにより、植物の肥料とすることができます。そのため、銅の精錬工場は、化学肥料の製造工場の近くに建設されることが多いです。

精製された銅は、様々な製品に使用されます。

銅は熱伝導が良く、半導体に使用されることから、今後の産業の発展において注目されている素材であり、「銅は石油である。」と述べる人もいます。

インドネシアでは、既に過去の記事でも書きましたが、パプアニューギニアのグラスヴェルグ鉱山で米国企業のフリーポートマクミランが銅の採掘権を握っています。ここで採掘された銅は、2000キロ離れたジャワ島のインドネシア第二の都市であるスラバヤ近郊まで運ばれ、三菱マテリアルが操業する銅精錬工場で銅に精製されます。ここで出た硫酸は、隣のインドネシア国営の化学肥料工場で使用されています。

インドネシアでは、ニッケルを初め、多くの天然資源が算出されます。

この算出された天然資源を、そのまま海外に輸出されてしまうと、簡単に言ってしまえば、インドネシアに金が落ちないことになります。

そこで、2020年1月から、インドネシア政府は天然資源の無加工での海外輸出を禁止し、2023 年 6 月にボーキサイトの未加工鉱石の輸出を禁止しました。 また、2024 年 5 月からは銅・鉄鉱石・亜鉛・鉛などの未加工鉱石についても禁輸とする方針が発表されています。

無加工での海外輸出が禁止されますと、インドネシアで産出された銅は、インドネシアで精製が必要となり、精製事業の発展を見込むことができるという算段です。

インドネシアは、ニッケルの生産量が世界一位であり、ニッケルの無加工での輸出を禁止したことで、2014年に2カ所しかなかったニッケル製錬所は、2021年末に16カ所へ増加しました。

この成功を元に、銅等の他の資源でも規制を強める方針というわけですが、過去には、2014年に各種の未加工の鉱石の輸出が禁止されたものの、当時のボーキサイトの最大の輸出先であった中国がギニアからの調達に切り替えるなどし、2017年には禁輸が緩和されたという経緯がある。

インドネシアにおける今後の資源の無加工品の禁輸措置の成否が注目されるところである。

(参考)
Mining in Indonesia Investment, Taxation and Regulatory Guide/ September 2023, 13th Edition/ PWC(Mining in Indonesia: Investment, Taxation and Regulatory Guide 2023 (pwc.com)
2009.3/ 金属資源レポート・インドネシア新鉱業法について( https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/old_uploads/reports/resources-report/2009-03/MRv38n6-04.pdf
世界の鉱業の趨勢 2022/ インドネシア/ JOGMEC(https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2023/03/trend2022_id.pdf
プルタミナ国営石油・天然ガス鉱業公社の構造改革(https://nagoya-wu.repo.nii.ac.jp/record/1672/files/kj4901.pdf

三菱マテリアル株式会社・インドネシア子会社の拡張完工について
~銅精鉱処理量30%増強へ~(https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2023/23-1215.html
P.T. SMELTING, GRESIK SMELTER(https://www.mmc.co.jp/sren/Gresik.htm

https://jpn.sika.com/ja/project-references/international-projects/grasberg-mine.html

鉱石の輸出禁止を拡大するインドネシア(https://www.jri.co.jp/page.jsp?id=104395

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