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【Season2 Vol.10】 JATO ATCリレー: 鈴木秀知さん

JATO ATCリレー Season2の第10走者は、 萩原 麻耶さんからのバトンを受け取ってくださった、鈴木 秀知さんです。鈴木さんは、萩原さんのいらっしゃる新潟経営大学で勤務され、現在は桜美林大学で教員としてご活躍されています。大学教員として日々どのように活動し、ご研鑽を積んでいらっしゃるのか、お話を伺いました。是非ご一読ください!

ATCになろうと思ったのはいつですか。またその理由を教えてください。

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私がATCになろうと思ったのは、大学3年生の時(21歳)です。そのきっかけを与えてくださったのは、東海大学アメリカンフットボール部専属アスレティックトレーナー、麻生敬BOC-ATCです。

私は、体育の教員になりたいという目標と、関東大学1部リーグに所属しているアメリカンフットボールチームでプレーしたいという目標をかなえるため、東海大学へ進学いたしました。

選手時代は怪我が多く、麻生敬BOC-ATCに大変お世話になり、「アスレティックトレーナーという仕事は良いな・・。」と思うようになりました。そして、大学3年生に進級する時、選手からマネージャーに転向したのですが、麻生敬BOC-ATCと色々お話させていただいた結果、「アスレティックトレーナー」という職業が本当に私がしたいことだと感じ、体育教師からアスレティックトレーナーへ進路変更いたしました。

今、どんなお仕事をされていますか。

現在は、桜美林大学に勤務しており、アスレティックトレーニングやストレングス&コンディショニングに関する授業を担当しております。

授業以外では、前十字靭帯損傷予防に関する研究活動を行っています。現場活動は行っておりません。

ご自身の仕事の好きなところ、やりがいを感じることについて教えてください。

大学教員としての仕事の好きなところは、「新しいことをたくさん知ることができる」ところです。

大学教員の仕事の一つとして研究活動があります。仮説を立て、それを証明していく過程において、多くの文献を読みます。その時に、たくさんの新発見があります。その瞬間は、本当に楽しいです。

現場でのアスレティックトレーナーの仕事の好きなところは、「毎日楽しい経験ができる」ところでした。

私はBOC-ATCの資格を取得してから、大学生選手のみを対象として現場活動を行っていました。大学生は様々な誘惑とプレッシャーのはざまにおり、こちらの想像を超える面白いことを毎日してくれました。私にとっては、それがとても楽しく、勉強になりました。

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授業を教える際に大切にされていることはありますか?

授業を教える際に大切にしていることは、「失敗を受け入れる環境づくり」です。

私は小学生の時、授業中に発表をしたことにより、人から笑われとても嫌な思いをしました。それ以来、日本でも、アメリカでも、意見を述べない寡黙な生徒・学生を演じ続けました(アメリカにおいては、英語能力が低いから意見を述べないということもありますが)。

しかし、大学教員になり、学生に授業内容をより深く理解してもらうためには、学生からの自主的な発言が必要であると強く感じるようになりました。どうしたら、学生が自主的に発言してもらえるようになるか考えていた時、「子どもが安心して生きていくためには、子どもが“ここにいてもいいんだ”と感じることができる環境づくりが重要」という考えがあることを知りました。

この考えを知ったことから、「失敗を受け入れる環境」があることにより、学生たちは安心して意見を述べることができるのではないかと考えるようになり、この考えを大切にするようにいたしました。

自分自身に対しては、「どんな意見も受け止めて、いただいた意見に対する改善方法を見つけ出す」ことを大切に、授業を行っております。

私は、海外でのポスター発表で、「Could not understand a thing he said」言われたことがありました。最初はすごく落ち込みましたが、そのおかげで、自分がなすべきことが明確になり、次の発表に活かすことができました。

学生たちからの授業評価には、「楽しい」意見がたくさんあります。学生たちの率直な意見は、次年度に受講する学生のためにとても役に立っております。ただし学生には、「鈴木も人間だから、心がおれない程度に建設的な意見を述べてくださいね。」とも伝えています。

大学教員として、アスレティックトレーナーとして学生に接する時に大切にしている事はなんですか?(前回の萩原さんからのご質問です)

私が、学生と接する時に大切にしていることは、「相手の話を聴くこと」です。

信頼関係を作ることが、教員と生徒、アスレティックトレーナーと選手の関係を円滑にしてくれると私は考えております。そのために、最初に行うことは、「相手の話を聴くこと」です。その時間を積み上げていくことで、お互いの信頼関係が構築されると思っております。

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今後の目標や展望を教えてください。

アスレティックトレーナーという職業の普及です。

ある特定の職業が普及するためには、職業の認知度は重要であると考えております。私は大学教員であることから、私の授業を履修した学生には、「アスレティックトレーナーができること」をたくさん語っております。学生が、「アスレティックトレーナー」という職業があることを知ってもらうことにより、この職業の認知度の向上が達成できると信じております。

あなたにとって、JATOはどんな存在ですか?

私にとって、JATOは「大切な場所」です。

先ほど、大学教員として「アスレティックトレーナーの職業の普及」を目指していると述べましたが、個人の力には限界があることを肌で感じております。そのためには、高い教育レベルで「アスレティックトレーニング」を学んできた方々集まるJATOの役割は、とても重要であると考えております。JATOは、アスレティックトレーナーという職業の普及に大きく貢献する大切な組織であると考えております。

また、JATOは、アメリカでの苦楽を共有できる「素敵なBOC-ATC」とつながることができる、大切な場所であるとも考えております。諸先輩方が、中堅に差し掛かった我々に大きな夢や希望を与えてくれれたのもJATOです。今後は、私が受けてきたことを、新しくBOC-ATCになった方々や、BOC-ATCを目指す方々に与えられるようにしていきたいと考えております。

10年後、JATOと日本のATはどうなっていると思いますか?提議・提案含めてお聞かせください。

JATOは、アジア地域のスポーツ医科学会をリードする存在になっていると思います。

JATOの理事は、ミッションに記載されている内容を達成するために様々な創意工夫を行っております。その結果、WFATTや、PBATSとの共同カンファレンスなどの大規模イベントも開催できるようになったと考えております。JATOがスポーツ医科学会に与えるインパクトは、これから大きなものになっていくと確信しております。

日本のATは、職業としての認知度が向上していると思います。

JATO、BOC-ATC、また、その他のAT資格を保持している多くの方々は、高い志を持ってATの普及に努めてくださっております。その意思は次の10年に必ず良い結果をもたらすと思っております。

あなたにとって、ATCは<ひとこと>で言うと、どのような職業ですか?またその理由を教えてください。

とっても楽しくやりがいのある職業です。

身体を科学的に評価する方法を知っており、自分自身のみならず、クライアントの健康増進、生活の質の向上に大きな影響を与える可能性を持つ、素敵な職業だと私は思っております。

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【編集後記】鈴木さん、お忙しいところ興味深いお話を沢山していただき、ありがとうございました。鈴木さんのアスレティックトレーニングに対する情熱や学問領域への尽きることのない好奇心がインタビューから伝わってきました。さて、次回のリレー走者はアメリカで長年ATCとして、ご経験のあるご友人に登場していただく予定です。こちらもお楽しみにしてください!

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