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【第26回】JATO 日本人ATCリレー形式紹介企画:川端昭彦さん

前回は、日本人ATC第1号の鹿倉さんの記事をきっかけにアスレティックトレーナーを目指し、現在は日本卓球協会で専任アスレティックトレーナーとして活躍する羽生綾子さんでした。

今回はラグビーを中心に活躍し続け、現在はラグビートップリーグのチームでS&Cコーチとして活躍されている川端昭彦さんに登場していただきます。皆さんお楽しみ下さい!

アスレティックトレーナー(ATC)になろうとしたきっかけを教えて下さい。

川端さん1

高校2年生の時に1年間アメリカのピッツバーグに留学しました。

当初は全く英語が話せなかったのですが、バスケットやサッカー、そして10年以上プレーしていた野球を通じて多くの友達を作ることができスポーツの素晴らしさを感じました。留学中に将来のことホストファミリーと話していたときにアスレティックトレーナーという職業があると言うことを教えてもらい興味を持ち始めました。

そしてその数日後、一緒に野球をしていたチームメイトがフェンスに飛び込んで大怪我をした時に迅速に対応していたアスレティックトレーナーの姿を目の当たりにして、こういった仕事を将来目指したいと思い、留学を決意しました。また当時は野茂選手がメジャーリーグに挑戦していた頃でしたので、自分もアメリカで勉強してメジャーリーグで働きたいなぁと思っていました。

アメリカでの学生時代に苦労したことや大変だったことはありますか?

まずはアスレティックトレーナー学科(プログラム)に入ることが大変でした。大学に入った時は自分で学びたいことが学べると勘違いしていました。当時のATプログラムは12名の枠に100人以上の学生が応募していた人気の学科だったため、進学アドバイザーからは無理だと即答されて笑われたことを覚えています。

アスレティックトレーニング学生だった時は解剖や生理学の専門用語を覚えていくことが大変でした。またプログラム1年目に選手を評価した後のSOAPノートを書くことはとても苦手だったなぁと覚えています。

帰国後から現在の仕事に至るまでの過程を教えてください。

 帰国したときはまずピッツバーグ大学教授のScott Lephertから頂いた名刺のコピーを頼りに、日本で活躍されているATCの方々に会って色々な話を聞くところから始めました。

そして、帰国をしてから半年ほどしたときに、同じ大学に通っていた現在JATO会長の上松大輔ATCから中村千秋さんを紹介していただき、トライ・ワークスで働き始めました。

トライ・ワークスでは、社会人ラグビーチーム(日本航空ラグビー部)の仕事を中心に、整形外科の運動指導や専門学校の非常勤講師の仕事をしていました。色々な仕事を組み合わせてさせてもらったので、数多くの分野で人脈を作ることができ、トライ・ワークスから独立してからも高校・大学ラグビーの仕事やプロテニスプレーヤーのパーソナルトレーニングの仕事を経験することができました。

そして2015年からラグビートップリーグのチームでS&Cコーチとしてフルタイムで働き始めました。

川端さん4

現在の仕事内容を教えて下さい。

現在はNTT Communications ShiningArcsでHead S&Cコーチとして

・選手の筋力トレーニングやコンディショニングトレーニングの立案・指導 ・GPSを活用したトレーニング量や強度の管理(選手やコーチへのフィードバック) 
・怪我をした選手の復帰トレーニングの指導

を主に行っています。

川端さん2

現在の1日の流れを教えて下さい。

5:30 − 7:00 ワークアウト(自分のため)
7:15 コーチングスタッフミーティング
8:30 チームミーティング
9:00 − 11:00 チーム練習 (怪我人選手のトレーニング指導)
11:30 GPSデータ収集&レポート作成
12:00 昼食
13:30 ストレングスセッション
15:00 リカバリー&ケア
16:00 スタッフミーティング

土曜日が試合になる時は日曜日が休みになることが多いです。

川端さんにとってJATOとはどのような存在でしょうか?

アメリカで教育を受け、現場経験をしてきた人達ばかりなので、高いマインドセットを持った人が多く、JATOのシンポジウムやセミナーに行くと良い刺激を受けます。 

また同じバックグランドならではの悩みや問題を共有できる存在でもあります。

川端さん3

JATOに加入するメリットを教えて下さい。

メリットかどうかわかりませんが、熱い人達の集まるグループなので、そういった人達と知り合えることが素晴らしいと思います。

これからATCを取得してアスレティックトレーナーを目指している学生にメッセージをお願いします。

異国の地、慣れない言語での生活はとてもハードかもしれませんが、スポーツが生活の一部として根付いているアメリカで学ぶアスレティックトレーナーとしての知識や経験は替えがたいものだと思います。

“No pain, No gain.”ではありませんが、悪戦苦闘が予想される大学生活を通して想像以上の人間力が身につきます。そしてその人間力こそがその後の人生に役立ってくると思います。

私の大好きなデンゼルワシントンのスピーチの引用です。

 “To get something you never had you have to do something you never did.”

経験したことのない挑戦の先には違った世界が待っていると思います。

川端さん5

【編集後記】川端さん、お忙しい中貴重なお時間を頂きまして誠にありがとうございます。日本のラグビー界の躍進にとっても川端さんはなくてはならない存在ですね。また、挑戦し道を切り開いてきた川端さんの言葉は直球で響くものでした。 来月のインタビューも楽しみにお待ちください!

この記事は、7/15/2019にJATOウェブサイト、およびJATO公式フェイスブックページに掲載したブログ記事を再編集したものです。

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