高校留学本当に大丈夫?例えば、数学の連立方程式や理科の塩化ナトリウムを英語で言えますか?
高校留学は各家庭いろいろな思いで決断していると思います。純粋に海外の生活を体験したい人もいると思いますし、スポーツなどの特技を伸ばしたい人もいれば、英語力を伸ばしたい人もいると思います。英語力を伸ばすだけでなく、学力も合わせて伸ばしたい人もいると思います。
ただ、海外の高校に留学するということは、英語学校に留学するわけでもなく、スポーツを専門にトレーニングするわけでもなく、日本の高校と同じように大学受験に向けて現地の生徒と同じカリキュラムで英語だけでなく、数学や理科や歴史や経済などを勉強するわけです。
当然成績が悪ければ、留学が続けられない可能性もありますし、留学先の学校の担当者から学校の勉強についていけないので心配です。などの内容で連絡が来る場合もあります。
今まで多くの高校に留学した生徒の学習サポートなどをして感じたことは、しっかりと学校の授業を受けて成績を残した生徒は高校卒業後も希望の進路に進んでいます。当然、他の生徒よりも英語力は高く、課外活動でもリーダーシップを発揮しています。
当たり前すぎることかもしれませんが、英語力を伸ばすには海外の高校の授業を受けるのが最適な選択の一つだと思います。日常生活に対応できる英会話を学ぶのではなく、アカデミックなレベルの高い、教養も十分につく内容の授業を受けることで、将来の進路の選択肢が広がるわけです。
ただ、時間は無限ではありません。留学のための勉強だけに時間を費やすわけにはいきません。今月は運動会があり実行委員で忙しい人もいるし、部活動がある人もいます。どれだけ効率的に時間を無駄にしないで留学対策ができるかを真剣に考える必要があると思います。
今日は、今月から来年の高校留学に向けて家庭教師を始めた生徒に対して、彼女の現状の学力や将来の進路を考えて、どのように現在の中学校での勉強と、海外での高校での授業に対応できるための英語力の強化、そして理系科目の学力向上をバランスよく学べるかについて書きたいと思います。
数学は学校での授業をメインに。
数学は問題文の英語が完全にわからなくても、数字やわかっている単語から想像力を働かせれば問題は解ける。
数学を甘く見過ぎていませんか?
数学は知識を詰め込む教科ではないので、問題を解くための説明の理解力が非常に重要です。
連立方程式を例にとって説明します。
次の連立方程式を解いてください。
x + y =4
5x + 2y = 11
このような問題が出題されたとします。
その場合、問題を解くためには
両方の方程式のxまたはyの係数を合わせ、そのために、片方か両方の方程式にある数をかける必要がある場合がある。そして、同じ係数の項を無くすために2つの方程式を足すまたは引く。
もし文章にしたらこのように考えるわけです。
これを英語で表現できなければなりません。
Solve the system of the equations x + y = 4 and 5x + 2y = 11
Match up the numbers in front of either x's or y's in both equations. You may need to multiply one or both equations by a suitable number. Add or subtract the two equations to eliminate the terms with the same coefficient.
match up は日本語表現でも使われるくらい身近な単語ですので、自然に英語が出てくると頼もしいです。
xの係数は、つまりthe number in front of x’s わかりやすく言えば、coefficientなんですが、正しい英語を選ぶことよりも、聞き手に理解しやすい表現を使うことの大切さを理解してもらいたいです。
係数を合わせるために必要な数をかけるって英語で表現すると本当に難しいです。今回は multiply them by a suitable numberにしました。
同じ係数の項を消す。をとりあえず to eliminate the terms with the same coefficientにしましたが、eliminate と term の使い方は本当に大切です。
ざっと大まかにポイントを4つ書きましたが、留学予定の4月までに、正確な英語を覚えるのではなく、相手が理解できる表現を覚えることを教えていきたいわけです。そうすることによって、英語の勉強の負担を無駄なく減らして、難しい表現でなく、基本動詞を中心に使って表現する練習を増やしていく予定です。
ちなみに連立方程式は
system of the equationsを使いますが、アメリカやイギリスの教科書はsimultaneous equations の方が圧倒的に多い気がします。
化学の勉強は覚えなければならない英単語がたくさんある。
海外の高校には、どの学校にも、とてつもなく大きな周期表(periodic table)があります。この大きさが、それぞれの元素を規則的にしっかりと覚えることの大切さを示していると思います。
また日本人が化学を勉強する時には、
カタカナであれば英語である。
という思い込みを捨てることが大切でもあります。
ナトリウムは sodium
カリウムは potassium
ちなみに塩素は chlorine ですが、
ナトリウムと塩素の化学反応式は
2Na + Cl₂ = 2NaCl となりますが、
Sodium + Chlorine ⇒ Sodium Chloride
となり、元素が化合物になった場合単語も微妙に変化するわけです。二酸化炭素と同じような感じです。
また、
Sodium Chloride, commonly known as table salt, is dissolved in pure water.
塩化ナトリウム、つまり食塩、は純水に溶けている。(溶解を使った方がいいかもしれませんが、あくまでも英語の勉強で日本語の訳を海外では使う必要性は皆無です。)
理科を学ぶ場合は、化学だけでなく、物理でも生物でも同様ですが、日本の学校ではこのように習った。のような考えは捨ててください。まるで日本の基準が世界基準になっているように感じてしまいます。
非常に簡単な説明だったと思いますが、理解してもらえれば本当にうれしいです。
高校留学で好成績を取るために必要なことは英文の速読力。
海外の学校で英語の授業を受けた場合に一番苦労するのはテキストを完全に理解することだと思います。これは数学であっても、化学であっても同じことです。普段の日常会話では使わない表現が授業では多く使われるからです。
このブログのタイトルにあるように、高校生までに留学した人とそうでない人の違いは学習用語が理解できるか、できないかのような気がします。
連立方程式や塩化ナトリウムなんて英語に訳して誰かと英語で話をすることなど、ほとんどないような気がします。
だから学ぶ必要はない。
ではなく、教養として蓄積されて大切な武器になっているはずです。
今回はあえて、伝えたいことを文章にしないでブログを書いてみましたが、高校留学をすればみんなTOEFLで90点以上は取れるわけではありません。
高校留学で英語力と学力を伸ばすために大切なことは、しっかりと海外の教育と日本の教育の違いを把握することだと思います。それは表面上のものではなく、アサイメントや実際の期末テストの問題の内容とか、成績の付け方だと思っています。
それを生徒に伝えることが何よりも大切だと感じています。
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