2023年オーストラリアの高校1年生の最初の数学の授業は?日本では大学や社会人になってから学ぶ授業をなぜ学ぶ?
オーストラリアの多くの高校が新学年をスタートさせました。2か月ぶりに同級生に会うことになります。オーストラリアの学校は高校卒業まで基本的に入学試験はないので、いつでも転校は可能です。ですので、新学年や新学期になると、見慣れない生徒がいきなり同じ授業を受けたり、今まで同じ授業を受けていた生徒がいなくなったりするわけです。
今日はオーストラリアに現在留学していて、今年から高校1年生になった生徒の今年初めての数学の授業について話したいと思います。また、その問題を一緒に解いてもらいたいと思います。
Year10 (高校1年生)は義務教育最後の年になります。その生徒の今年の数学の最初の授業は日本の高校では全く学ぶことのないことを勉強しました。
何だと思いますか?
データの分析です。
データの分析は日本の高校でも勉強はします。日本ではデータの代表値や分散、標準偏差などを勉強します。
オーストラリアでは日本では大学や企業で学ぶデータの種類についての授業を高校1年生で行います。ただ、データの種類は特に計算を行うものではなく、データの種類によって利用するグラフが違ったり、分析の仕方が異なるわけです。ですので、同じ数字であってもデータとして意味が異なるものを理解したり、データの処理ができるものと、できないものを理解したりする授業です。
内容自体はとてもシンプルですのでこのページで学んでもらい、最後に簡単なテストをしてもらいたいと思います。
データの種類は4つに分類できます。
こちらになります。
まずデータはQualitative data(質的データ)とQuantitative data(量的データ)に分かれます。
質的データは対象を類型化するもので、数値では表現できないものです。Categorical data ともいいます。
英語にすると
Qualitative data describes a subject, and cannot be expressed as a number.
量的データは対象を定義するもので、数値で表せ、分析可能なデータです。Numerical dataとも言います。
これも英語にすると
Quantitative data defines a subject and is expressed as a number that can be analyzed.
となります。さらに質的データと量的データはそれぞれ2つにデータに分類されます。質的データはカテゴリーデータと順位データに分けることができ、また、量的データは間隔データと比率データに分けることができます。(日本語でのデータの種類の分類の表現はいろいろありますのでご理解ください。)
カテゴリーデータをnominal data、順位データをordinal data、間隔データをdiscrete data、比率データをcontinuous dataとオーストラリアの授業では習います。
簡単なたとえ話でこの4つのデータをまず説明します。
カテゴリーデータを 東京駅の1番線の1
順位データを レストランの満足度評価の五段階の1
間隔データを 令和1年の1
比率データを 長さの1メートルの1
すべて同じ数字の1です。
しかし、カテゴリーデータは大きさを比べることはできません。
例えばそれぞれを5という数字に置き換えた場合、レストランの満足はさらに評価が上がり、令和5年になれば、さらに未来になり、5メートルになればさらに長くなりますが、東京駅の1番線と5番線には数字の比較はできません。
質的データ(カテゴリーデータと順位データ)は数値を足すことができません。
令和1年に4を足せば令和5年となります。1メートルに4を足せば5メートルになりますが、東京駅の1番線に4を足した5番線の関連性はなく、また、評価の1に4を足せば評価が5に変わるというのも全くの無意味な感覚です。
最後に比率データ以外は2倍しても意味を成しません。
1番線を倍にして2番線になっても、仙台行きが大阪行きに変わるだけで、評価の1を倍にして2にする意味は全くなく、令和2年を3倍して令和6年にすること自体が意味を成していません。3メートルを2倍して6メートルになる。は意味をなしています。
つまり、同じ数字の1であっても、それぞれの数字はできることが違ってくるわけです。
つまり、カテゴリーデータ(nominal data)は区別のために数字になっているだけで、数字そのものに意味はなく、数字でなくても、例えば国籍もそれぞれを区別するだけのもの。
順位データ(ordinal data)は順位や成績を付けるために用いられる数字で、その他にも、ドリンクのS,M,Lなども順位データに属します。
間隔データ(discrete data)は数直線上に載せられるデータで、足し算や引き算はできますが、掛け算は出来ません。西暦などは間隔データに属します。
比率データ(continuous data)は足したり、かけたり、割ったり、引いたりできるものです。年齢などは比率データになります。
このようにデータを分類することができ、その分類によって使用するグラフが異なったり、分析が変わるわけです。
オーストラリアでは、高校生でも中学生でも、みんなの前で自分が調べたことをパワーポイントなどを使って、発表することがあります。
オーストラリアの場合は、学校の授業は基本的に入試のためだけでなく、将来大人になった時に何が必要なのか?を考慮して授業を行います。
最後に生徒が学校で出された宿題をやってみませんか?
これらは4つのデータの種類のどれに分類されますか。一応訳もつけておきます。
Postcode(郵便番号)
Eye color(目の色)
Number of cars in a car park at school(学校の駐車場に駐車している車の数)
Hair color(髪の毛の色)
Height of students in cms (それぞれの生徒の身長cm単位)
Number of siblings (兄弟姉妹の数)
Number of chocolate chips in a cookie (クッキーの中のチョコレートチップの数)
Time taken to complete a puzzle in secs(パズルを完成するのにかかった時間秒単位)
Fitness level low medium high(フィットネスレベル 低 中 高)
Number of couches in a furniture store(家具店のソファの数)
100m race time in secs(100m走のタイム)
Babies birth weights in grams(赤ちゃんの出生時の体重グラム単位)
Coffee size small medium large(コーヒーのサイズ S M L)
Favorite type of fruit(好きな果物)
The number of pages in a book(本のページ数)
Family names(苗字)
Floor level level 1, level 2 , level 3(建物の階)
The color of pencil(鉛筆の色)
Shoe size 6,7,8 (靴のサイズ)
The speed of a car in km/h(車の時速)
答えは写真の下です。
カテゴリーデータ(nominal data)
Postcode(郵便番号)
Eye color(目の色)
Hair color(髪の毛の色)
Favorite type of fruit(好きな果物)
Family names(苗字)
The color of pencil(鉛筆の色)
順序データ(ordinal data)
Fitness level low medium high(フィットネスレベル 低 中 高)
Coffee size small medium large(コーヒーのサイズ S M L)
Floor level level 1, level 2 , level 3(建物の階)
Shoe size 6,7,8 (靴のサイズ)
間隔データ(discrete data)
Number of cars in a car park at school(学校の駐車場に駐車している車の数)
Number of siblings (兄弟姉妹の数)
Number of chocolate chips in a cookie (クッキーの中のチョコレートチップの数)
Number of couches in a furniture store(家具店のソファの数)
The number of pages in a book(本のページ数)
比率データ(continuous data)
Height of students in cms (それぞれの生徒の身長cm単位)
Fitness level low medium high(フィットネスレベル 低 中 高)
100m race time in secs(100m走のタイム)
The speed of a car in km/h(車の時速)
確かに問題を解く。という視点で考えればそれほどエキサイティッドな問題でもありませんが、この区分けは将来とても大事なものを学ぶ基礎になると思います。
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