【日本学術会議 任命拒否問題】 学術会議による中間報告

 日本学術会議の梶田隆章会長は12月16日、会議の改革の方向性をまとめた中間報告を井上科学技術担当相に手渡した。
 中間報告では、短期的な政策課題だけでなく中長期的課題について、科学に裏づけられた政策が必要不可欠になっている中、これまでの日本学術会議の科学的助言の一部に、中長期視点と俯瞰的視野を欠き、学術分野横断的な審議が十分でないものがあったことは否定できないとし、科学的助言の機能強化のために、調査室の設置や学術専門員の増員などスタッフ機能の充実が不可欠とした。
 情報発信に関しては、作成した科学的助言を単に発出するだけでなく、国民の理解と支持を得て共に推進していく姿勢が不可欠とし、対話を通じた情報発信力を強化していくとしている。会員の選考に関しては、選考の各段階で人数や概要を開示するなど、透明性を向上させることに加え、産業界などから優れた研究業績がある会員を増やすなど、さらに多様性を充実させるとした。

 組織の形態については、アカデミーの姿はその国でどのように学問が生まれ、発展してきたかという歴史と不可分で多様であるが、わが国独自の歴史、社会、制度的条件への配慮が不可欠とした。そのうえで、国際的に広く共有された考え方として、国を代表する学術組織は以下の5つの要件をすべて満たすことが大前提であるとしている。
 ①国の代表機関としての地位、②公的資格の付与、③国による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性

 現行の会議の設置形態では全て満たすが、独立行政法人や公益法人などの設置形態では、5つの要件を満たすことができるかどうか、慎重な議論が必要だという認識を示した。

日本学術会議のより良い役割発揮に向けて(中間報告)(PDF)

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