COVID-19とギラン・バレー症候群(GBS)の関連性

<科学論文> 下畑享良教授(岐阜大学大学院医学系研究科脳神経内科学分野 )ブログより転載許可を得て掲載
※2020年11月6日時点での見解です。引用の際は最新情報にあたってください。

J Neurol Neurosurg Psychiatry. Nov 6, 2020(doi.org/10.1136/jnnp-2020-324837)

 COVID-19におけるギラン・バレー症候群(GBS)の報告は散見されるものの,ジカウイルス感染症の場合に示されたように,発生率の増加を証明した報告がないことから,両者の因果関係に疑問を呈する専門家もいた.

 今回,イタリア北部の12病院におけるGBSの発生率に関する研究が報告された.2020年3月~4月に診断されたGBS症例を後方視的に収集し,対照として,前年度の同時期の症例と比較した.

 この結果,2019年のGBS発症率は0.077/10万人/月であったのに対し,2020年では0.202/10万人/月で,2.6倍に増加していた.COVID-19陽性患者におけるGBSの推定発症率は47.9/10万人,COVID-19入院患者では236/10万人であった.

 COVID-19に伴うGBSは,前年のGBSと比較し,筋力MRCスコアが低く(26.3対41.4,p=0.006),脱髄型が多かった(76.6%対35.3%,p=0.006).

 以上により,COVID-19とGBSの関連性が証明された.COVID-19関連GBSは主に脱髄型で,重症度が高いが,全身状態が重症度に関与している可能性もある.

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