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【遊戯王MD】カジュアルとはなんぞや

 私は遊戯王マスターデュエルで“カジュアルデッキ”を作って友人と対戦することを趣味としており、日夜デッキ作りに精を出している。

 つまり自分はカジュアルプレイヤーということになるのだが、正直的を得た言葉とは言い難い。

 大きな意味では“ガチデッキを使うプレイヤーではない”ということだろうが、大会のTier表に載っていなければカジュアルなのか?アニメテーマのファンデッキはみんなカジュアルなのか?
 基準が人それぞれだろうし、パッと説明できるような基軸がない。

 というわけで、自分の思考を整理する意味も込めて、どんな考え方でデッキを作っているのか、どういうところで遊戯王を楽しんでいるのかを記述していこうと思う。
 なお9割ぐらい自分語りなのでこれを読んだところでデッキ制作スキルは全く上がらない。注意⚠

 また、遊戯王を知らない人の「こいつは毎日毎日いったいなにをやっとるんだ」という疑問に答えを用意するための記事という意味合いもある。
一応未経験者でも読めるように書くつもりだ。

 


 

自分のプレイヤータイプ

 遊戯王のガチカジュアルという区分けはあまりに大雑把すぎて何も言っていないに等しいので、ここは先達のMTGが定義している区分で私のプレイスタイルを明確にしてから先に進もうと思う。

 MTGにおいては、大きく分けて3タイプのプレイヤーがいると定義されている。

・ティミー : エンジョイユーザー。カードゲームを通じて楽しい体験をすることを至上とする。派手な効果を持つカードを好み、エキサイティングなデュエルを求める。

・ジョニー : デッキビルダー。カードゲームを通じて自己表現することをモットーとし、奇抜なコンボやアーキタイプを創造し、披露することが生きがい。用途不明のカードに興奮する。

・スパイク : チャレンジャー。大抵はトーナメント志向で、強敵との戦いを通じ勝利を求め、プレイスキルを伸ばすことに喜びを感じる。
大会環境への理解が深く、Tier上位のデッキを使ったりメタ読みすることに長けている。

 もちろんプレイヤーの性質は十人十色。パッキリ区分けできるものでないため、%であらわされたりする。

 遊戯王界隈はこの分布で言うスパイク7割以上の人間をガチとして、後全部カジュアル勢で括ってるせいでややこしくなっている気がしてならない。

これでいくと私は
ティミー : 30% ジョニー : 60% スパイク : 10%
みたいな感じになるか。

 MDのランクマやデュエリストカップといった勝ち負けを決める事柄にはほとんど興味がなく、とにかく奇抜な構築・妙なコンボ・実用に耐えないカードの介護に執念を燃やしている。

 友人とデュエルをすること自体は大好きだが勝ち負けにはそこまで興味がなく、変なコンボを見せれたらもう満足だし、サイコロ振りまくるだけ。とか攻撃力1万超えの神でパンチ!みたいなアホのデッキも好きだ。

 この先の文章はそういう人間が書いていることを前提にご覧ください。

 

デッキを作る目的

まず大目標が2つある
①いい勝負が出来るデッキを組みたい
②個性的なデッキを組みたい

そしてそれを達成するための小目標が5つある
①手札誘発を入れない
②初手に構える妨害数を抑える
③初動を短くする
④妨害を乗り越えれるか、防御札がある
⑤無限に戦える

一つずつ説明していこう

 
◯大目標

①:いい勝負が出来るデッキを組みたい

 デュエルにおいて、毎ターン戦況が目まぐるしく変わるシーソーゲームの結果おこる勝った負けたを楽しみたい。

 あまりにも当たり前のことだが、マナの概念がない世紀末ゲーム遊戯王には「準備期間」というものがなく、先行1ターン目にシーソーがめり込むぐらい重りを積んで一切返せなくするか、後攻1ターン目にシーソーを乗り手ごと爆破するかで勝負が決まることがままあり、それを是としているのでアニメのような白熱の決闘を繰り広げるのはなかなか難しい。

 このパワーバランスをうまいこと調節し、なんとかターンを跨いで戦略の応酬ができるくらいに整えることに日々苦心している。

 単純にレベルを合わせるだけなら「一番上で合わせる」という最も簡単な方法があり、それはそれで楽しいのだが、ここで2つ目の大目標が関わってくる。

 

②:個性的なデッキを組みたい

 遊戯王にはテーマという名前の括りがあり、それに習うと誰でも簡単にデッキが組める。ということになっている。
 例をあげると「ブルーアイズ」と名前にあるモンスターの集まりとそのサポートカード。といった具合。

 テーマ統一、いわゆる純構築は組みやすく、さらに最近のものは環境レベルでしっかり強い。
テーマ内で必要なカードを集めに行くサーチ手段や、場に出す特殊召喚手段がまとまっておりそれだけで戦える。
 混ぜものを入れる場合もいわゆるデザイナーズコンボが確立されており、導線に乗るだけで強力なデッキが好きなだけ組めるインフラがある。

 しかし25年の歴史がある遊戯王というゲームには、環境というストリートから外れた妙なカードが山程存在する。

 1万何千種類のカードのうち7割以上はパワー不足で環境から退いた古参兵や、そもそも環境で活躍することを目的として作られていない謎のカードが締めており、なんなら最新のパックにも用途不明のカードが多数紛れ込んでいる。

 さらに遊戯王には目的のカードを直接サーチするカードの種類が凄まじく多く、どんなに辺鄙なところにいる何のテーマにも属してないカードでも、手間さえかければサーチしに行くことができる。

 あまりにもなんでも出来すぎるのだ。変なルートとそこから繋がる奇っ怪なコンボが山程あり、思わぬテーマ同士のシナジーがあり、なんなら自分の組んだデッキの中にも気づいていない噛み合いがある。
 毎日毎日カードを眺めているのに未だ知らないカードが無限にあり、古のなんのために刷られたのかわからないカードが最新のカードと奇跡のタッグを構成している様に感動することがしょっちゅうある。

 このシナジーを探すことにプレイ時間の大半を割いているのが我々ジョニーということになる。
 幸運なことに遊戯王には「遊戯王ニューロン」という圧倒的に使いやすいデータベースがあるため検索は容易で、デッキ構築に挑むたび「破壊された場合」「墓地へ送られた場合」「攻撃力0」「守備力1500の魔法使い族」「発動時の効果処理として」などと検索し変なことがテキストに書かれているカードがないか探し続けている。

 ただそういった変なコンボを搭載するとデッキパワーは下がっていくため、なかなか環境最前線で活躍するガチデッキと対等に殴り合うことは難しくなっていく。

 そうなったとき対環境用の魔改造を重ねるとデッキが歪んでいって美しくなく、さりとてそのままでは負け続けて萎えるだけ。

 私は幸運にも近い遊び方をしたい友人がいたため、ガチデッキのことは考えず、身内環境に合わせてせっせとデッキパワーのすり合わせをして遊んでいるというわけだ。こういう時マスターデュエルは本当に便利。

 

 ここからはそういったデッキを作る際、個人的に気をつけていることを書き連ねていく。
 重要なのが勝手にやってるということで、他人に強いているわけではない。縛りプレイでゲームをしているに近い。

 

◯小目標

①:手札誘発を入れない

 手札誘発とは簡単に言うとMTGの打ち消しみたいなもので、手札から切るだけで後攻0ターン目から使える妨害のことを言う。

 遊戯王というゲームは先鋭化しすぎた結果、先行で妨害カードを並べまくり後攻の相手に何もさせずに勝つ、いわゆる「先行制圧」があまりに強くなり、そのカウンターとして後手のプレイヤーが使える守りのカードとして手札誘発が発展した。0コスの打ち消しとかターンスキップがまかり通るゲーム、すごいね。

 この手札誘発の重要な点は後攻限定のカードではないところで、先行が握っていればそのまま妨害にでき、さらに制圧を加速させることができる。
 そのため、環境レベルでは(とんでもない手数を持つ一部のデッキ以外は)如何に大量の手札誘発にデッキスロットを充てられ、メインギミックをコンパクトに抑えられるか。という所に注力するようになった。

 しかしこの手札誘発、別にあらゆるデッキが積んで得するわけではない。
 基本的に誘発は相手のカード効果と一対一交換をするだけで、その後の展開にはほぼ絡んでこない。
さらにデッキ内の誘発含有量が増えていくと当然自分の展開に使えるカードを引く確率も減っていく。

 初手5枚のうち「誘発4 テーマカード1」みたいな状況から、1枚でしっかりと展開できるデッキにとっては非常に強力な札だ。
 しかし、複数枚カードを使わないとやりたいことがままならないデッキにとっては「相手の邪魔をしたはいいものの、こっちの手数も足りないせいで大して動けず、結局押し切られて死ぬ。」というしょうもない戦いになってしまいがちだ。

 そして私が作るデッキはどちらかというと後者側である。
 迂遠なサーチルートを形成するために謎のカードでデッキスロットを圧迫している上に、重ね引きで展開が変わる選択肢を色々搭載しているのであまり余計な札を引きたくない。

 もちろん「うらら撃って召喚権使った初動止めました。勝ちです。」みたいな試合が面白くないのもあるが、前提として入れないと決めて、空いた枠に妨害乗り越え用や事故軽減用のカード、別軸の初動など盛り込んだほうがデッキとしてスマートになるためそうしている。

 ちなみに環境上位のデッキは誘発前提で成り立っているので、そういうデッキ同士でやる場合はむしろ手札誘発をガッツリ積み込んだほうが楽しく遊べる。

 

②初手に構える妨害数を抑える

 これはプレイ環境や相手によって最適解が異なるので、一概にどうするのが正解とはいえない。

 ただ、仮に相手も同じような思想でデッキを組んできたとすると、1妨害はなんとかなっても2、3と妨害を重ねて越えてこれるかはかなり怪しいし、越えたとてその後の展開が鈍くなり、本来何をしたいデッキだったのかよくわからないまま終わることが多い。

 できればある程度暖機運転してお互い温まってから殴り合いたいので、初動は次の準備やリソースの増加に努め、妨害数自体は0〜1で抑える。
そしてターンを重ねるごとにどんどん制圧力を高めていくような構成を今の所心がけている。
これがメチャクチャ難しいんだが……。

 今日び何組んでも1妨害ぐらいは欠伸してても立つし、これぐらい超えてこい!という関門っぽくもあるのでその程度は許容している。

 

③初動を短くする

 これはもう個人の気質の問題なのだが、初動が長くてかつ一本道のデッキはすぐ飽きる。
だいたい3戦ぐらい回すと嫌になって崩す。

 誘発があるならまだしも、介入手段がないのに毎回3分ぐらいおんなじ展開してるの見てると相手も嫌になってくるだろうな、と思うところもある。

 解門サイバースウィッチというメチャクチャ頭いいけどメチャクチャ長い初動を使うデッキを考えた際、構築の段階で回しすぎて飽き、完成と同時に崩すという前代未聞のことが起きた。

 初動はスマートにキュリオス立てて終わり。ただしキュリオスに至るルートがいくつもある。みたいなのが一番いいと思っている。

※キュリオス : ライトロード・ドミニオン・キュリオスのこと。クソコンボデッキをずっとささえてきた坊主。デッキから何でもカードを墓地に落とせる。つまりデッキから何でもカードをサーチできるに等しい。

 

④妨害を乗り越えれるか、防御手段がある

 いくら気楽なデュエルでも「召喚しました。妨害されました。終わりです。」ではあまりにしょうもないし相手にも申し訳ないので、引き次第では手数で乗り越えられたり、そのまま手番返すことになっても罠や手札からの防御札でしのげるような構築にしたいと思っている。

 最近一周回って「トラップって大事だな」って思うようになってきた。

 

⑤無限に戦える

 もしデュエルが10ターンぐらい続いた時リソース不足になったら困るので、根幹のギミックをループできるように組んだり、サーチ先の回復手段を用意して延々と戦える構造にしたいと思っている。
 実際は妨害によって必須パーツが抜かれたりして破綻していくが、それでも数ターンはループさせれるぐらいの構造を用意しておきたい。

 正味ほとんどが2〜3ターンで終わるにせよ、ループしたほうが美しいのでそうしている。

 

 以上だ。結果として全部は達成できなくても、構築の過程でできるだけ要項を満たせるように考えている。

なんとなくわかっていただけただろうが、全くカジュアルではない。遊戯王沼に頭から浸かっているニッチの極みである。

 これをカジュアルデッキ、カジュアルプレイというのはなんか詐欺みたいで居心地が悪かったので今回長々と文章を書いた。

 自分がやっていることはカジュアルではないと定義できたのはいいが、じゃあなんて名乗ればいいのだろうか……?奇怪デッキビルダー?

 

 傍から見ていてなんて難しそうなゲームをしているんだと思われても仕方がない。実際自分から好き好んで難しくしている。
 ただし真の意味でライトでカジュアルな遊び方もできるのでご安心ください。遊戯王の懐は広いのだ。

 

 今回は遊戯王についての自分語りだったが、己が夢中になっているものについて、どういう性質がウケてこれほどまでのめり込んでいるのか?というところを深堀りして考えるのは結構面白い。
 
 みなさんも機会があればやってみてください。遊戯王じゃなくてもいいので。

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