豆花が食べたくて仕方なかったから作った話

豆花が食べたい。
暑くてじめじめした梅雨の夕方、唐突に降って湧いたこの思考に支配されてしまった。
猛烈に豆花を食べたい。山盛り食べたい。トッピングはなくてもいいから、あのうす甘いシロップととろんとした豆腐のようななにかを食べたい。
東京某所を歩いていたわたしは、すぐさまスマートフォンで検索する。
近くに豆花屋さんはある?ある!!
そして、わたしはそこに行かなかった。

理由はいくつかある。
用事を済ませた帰りなので、足が疲れていて歩きたくなかったこと。
ご飯を食べた直後で、豆花が食べたい割にはお腹が空いてなかったこと。
お店の口コミがあまり良さそうに思えなかったこと。

そしてなにより、豆花ってもしかして自分で作れたりするんじゃない…?と閃いてしまったこと。

かつて、自分で作った料理は油粘土の味がすると思っていた少女が、成人し料理をするようになった理由はひとつ、食べたいものは自分で作らなくでは口に入らないと悟ったからだった。

実家では、料理担当は常に母だった。
母は料理が好きで、手先が器用で、模様替えが趣味で、とても家事に向いた人だった。
作る料理も美味しかった。
ただ、新たなレシピを調べてまで作るということはしない人だった。

最初に自分で作った料理が何だったかは覚えていない。
とにかくネットで見たか、本で見たか、どうしてもこれが食べたいと思ったけど、母に言ったら面倒くさいの一言で切り捨てられた気がする。
どうしても食べたいのであれば、自分で作るしかない。
それから様々な実家の味ではないレシピを試しに作って食べていたところ、いつの間にかそこそこ調理ができるようになっていた。

さて、豆花である。
豆花ってそもそもなんだろうか?
豆腐とか豆乳系のなにかなことはわかるが、レシピはあるのだろうか?

豆花(とうふぁ)とは豆乳を凝固剤で固めたものらしい。
それってやっぱり豆腐では…?と思ったらどうやらほんとににがりで固めた豆花もあるらしい。
豆花というと甘くて冷たいデザートのイメージだが、温かくして食べることもあるし、しょっぱかったり、辛いこともあるらしい。

簡単に作れるレシピを調べてみたら、豆乳をゼラチンで固めると豆花になると書いてあった。
ゼラチンは扱ったことがある。
一時、実家でひたすらパンナコッタを量産していた時代があった。
そのときによく使ったので、感覚はわかる。
検索してでてきたレシピを自己流に手直しして調理に取り掛かった。

豆花の材料
 成分無調整豆乳500ml
 砂糖30g
 ゼラチン8g
シロップの材料
 水150ml
 砂糖50g
 生姜のスライス
簡単なレシピメモ
豆花
 ゼラチンを水でふやかしておく。
 豆乳の半量を沸騰しない程度に温める。
 ふやけたゼラチンと砂糖を加えて溶かす。
 火を止めて、残りの豆乳を加える。
 容器に移して冷蔵庫で冷やし固める。
シロップ
 水にしょうがを入れて沸騰させる。
 砂糖を溶かして5分程煮詰める。
 冷やしてから豆花に掛ける。
 (熱いうちに豆花にかけるとゼラチンが溶ける)
 
これでこの夏は自宅で豆花の食べ放題ができる。
暑く憂鬱な夏が少し楽しみになった。

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