苦手の克服

昔から料理が苦手だ。というか、好きではなかった。

めんどくさいというのが第一かなと思う。
材料を切ったり調味料を測って混ぜたり、というプロセスがシンプルに好きではない。
調味料も、たとえば醤油だけ、というレシピはあまりないので、いろいろ入れるのも面倒だし、何をどれだけ入れたらいいかとかを考えるのも面倒だとずっと思っていた。
適当に入れる、というのは、ある程度料理ができる人がなせる技。
いろいろ手間をかけて作っても、味が美味しくないのも悲しい。

慣れたものならまだしも、新しいものを作ろうとすると、ネットにあがっているレシピに頼ることになる。

今はどんな料理も、レシピがものすごくたくさんあって、どれを選べばいいのかわからないのも、ハードルをあげる。

結婚前実家暮らしのときは、母に、たまには料理をしなさいと言われたりして、全くしないわけではなかったが、多くは苦痛だった。
母は割と料理が好きな方だし、わたしの口にも合ったので、なおのこと料理をしたいと思わなかった。

お菓子作りも同様、やりたいと思ったことはほぼなかった。
バレンタイン、学生時代何度か作ったことはあったが、社会人になってからは専ら買っていた。
お菓子作りも好きな母に、たまには作ってあげたらいいのに、と言われていたが、それすらプレッシャー。
料理苦手から言わせれば、失敗して申し訳ない気持ちになるより確実にちゃんとしたものを買って渡せたほうが気が楽、という理論。

結婚し、さすがに料理は作らざるを得なくなった。
ちなみに夫の方が料理が上手だとわたしは思っているし、夫もそれなりに作ってはくれるが、毎日ではないので、わたしもある程度作ることとなる。
去年一年間は、どうしてもワンパターンになりがちであった。
通勤も大変だったし、とりあえず最低限栄養が摂れればいいかな、と思って食事を摂っていた。

今年に入り、引っ越しして、職場から通勤が近くなり、少し心の余裕ができてきて、ちょっとずつ新しいメニューに挑戦しようという気持ちになっていった。
つわりを経て若干食の好みに変化が出たこともあるし、いい加減に同じようなメニューも飽きてきたという気持ちもある。

先日義実家に行った時、3番目の義姉と義母がいろんな料理を振る舞ってくれた。
いつも義実家ではだいたいこの2人の料理をいただくのだが、夫曰く、この義姉はきょうだいで一番料理が得意とのこと。
お正月に行った時も、エビフライを揚げてくれていたりした。 

先日は、お店で食べるようなレベルのチーズインハンバーグ、唐揚げ等美味しいものがたくさんあった。
茄子の揚げびたしがすごく美味しくて、でもこれはネットのレシピでは探すのが難しそうだと思い、義姉にLINEでレシピをたずねた。
すると、洗う、というレベルから丁寧にLINEで教えてくれ、料理が好きではないわたしもスムーズに作ることができ、それなりに美味しいものが完成した。

たまたまなんとなくそのタイミングで、チキン南蛮も食べたいなという気分になっていた。
チキン南蛮も初挑戦。
揚げるしタルタルも作る、手間がかかりそうだと思いつつ思い切って同時に挑戦した。
結果、ものすごく時間はかかったものの、これもそれなりに美味しく作ることができた。
自分自身で作れるものが増えると、少しばかりの自信につながる。

お菓子作りは、まずはじめに去年のお盆にタルト作りに挑戦した。
タルト生地は市販のものを購入したが、中身は試行錯誤しつつ夫と作った。
結構美味しくできて、ああ作るのもいいな、と思った。

最近は、インスタとかで、少ない材料で作れるお菓子レシピをつい見てしまう。
そしてできそうだなと思ったものに挑戦している。
先日は失敗したものもあったが、やってみること自体が楽しい。
こんなふうに思えること自体、以前のわたしからは考えられないが、自分もこうなるんだなーと思った。

それから、料理の何よりのモチベーションは、食べてもらう相手がいることだと思う。
よく言われることかとは思うけれど。

夫が美味しいと言って食べてくれることを想像すると、これに挑戦してみようかな、これ作ろうかな、みたいな気分になれる。
義実家では美味しいものをたくさん食べてきただろうし、そんななかわたしが料理失敗したりすると本当に申し訳ないな、と思うけど、夫は割となんでも食べてくれて本当にありがたい。

まだまだ料理が好きというところまでは行けていないが、少しずついろんなメニューに挑戦してレパートリーを増やしていけたらなと思う。

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