見出し画像

さよなら頭皮の細胞たち

白髪を染めた。
若いのに白髪が生えて居る。若いとも言えないか。まあでも老いているわけでもない、というような歳だ。私が白髪染めに手を出すことになったのは結構早かった。毎月美容室などに行ったり市販のカラー剤でどうにか誤魔化していたが、なかなか白髪は色が抜けるのが早い。またカラー剤では綺麗に染まらないことにイライラして手を出した。
白髪染めはおそらく強い。普通のではなかなか色が定着しないところを一回でちゃんと染まる。そして最近は結構綺麗な色の白髪染めもある。助かる。しかしさすがに同年代に白髪染めをしている人がいないため、買うところは絶対に見られたくないので、ドラッグストアのヘアカラーコーナーに入る前はキョロっと周囲を見回し、いつも使っているパッケージの色を横目で確認して通りすがりに手に取る。そのまま店をぶらつくこともなくまっすぐレジに行き、自分より若く丁寧で真面目な女の子に「こちらは白髪染め用ですがお間違い無いですか?」とそこそこの声量で言われ、「うるせえそれくらい見りゃわかんだよ字くらい読めるわ確認すんな」という感情を一切込めない「はい😃」で早々とレジを促す。ささっとバッグに商品を入れレシートとお釣りを受け取ると尻すぼみのありがとうございますをいうが早いかレジを立ち去る。ミッションコンプリート。あとは寒い風呂場で動画を見ながらホイップを塗りたくり時間を過ごすだけなのだ。

白髪を染めた後は自分のなかで一つやり切った感が生まれる。これでトイレでふと鏡を見たときに白髪なのか光の反射なのか気にしなくてもよくなる。座ってる時に話しかけられても「ヴッ」と唸らずに済むのだ。そうしたちくちくした日々のストレスがさらに白髪を増やすようだ、、いやむしろもう早々と全白髪になって欲しいものだけど職場の60近いおばさま達の髪には白と黒が混在しているので、私の年齢で全白髪は無理、もう一周回って諦めた人のために脱毛サロンで全白髪にできる機械が導入されればいいのに、と年に86回くらいは考える。4日に1回くらいか。思ったより多いけど訂正しなくていーや、めんどくさい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?