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引っ越すのはお金がかかるけど、引越したほうが安くなることもある

スケボーを片手にふらりと来店してくれた学生のAさん。間もなく迎える更新のタイミングで『更新するか』『引っ越すか』どちらがいいのか知りたいという。大学生活が残り2年の中で、安いほうを選びたいと目的はとても明確だった。

私立大学に入れてくれた親に申し訳ないと、家賃を含めた生活費は自分でアルバイトをして生計をたて、学費も奨学金で支払ってるときき、無意識に”今時の若者”というレッテルを貼っていた自分を恥じた。

私: 「更新した場合、更新料1ヶ月分と火災保険くらいだから、礼金や仲介手数料とか保証料とかまとまった契約金が引っ越すと必要になるし、引っ越し代もかかる。だから更新したほうが、そりゃあ安いんじゃない?

Aさん: 「引越しは、友達に手伝ってもらうし、今は定期代が1万円かかるから、学校から徒歩圏内にしたらどうだろうと思って。」

なるほどね、と今の家賃以下の徒歩圏内にある物件をピックアップして、更新したパターンと引越したパターンで残り2年間の概算額を交通費も含めて計算してみた。

すると、面白いことに引越したほうが月額に換算すると、約4,800円ほど安くなることが分かった。意外だ。意外という言葉が思い浮かぶということは、いかに自分が固定観念で凝り固まっていたかということが分かり、自分にとっても意外な発見だった。

私: 「5,000円て大きいね。毎月焼肉に行けちゃうね」

Aさん: 「本当に焼肉行けちゃいますね。大きいですよ、5,000円は」

私: 「それを貯めると2年後に12万円貯まるね。」

Aさん: 「いや、それは無理です。使っちゃいます。あ、でも、何で引越した場合の契約金から1ヶ月分の家賃を引くんですか?」

私: 「同じ条件で比較するために、家賃は24ヶ月で計算したけど、契約金には前家賃として1ヶ月分も含まれるから、引かないと25ヶ月分になっちゃうから。この説明で分かるかしら?」

Aさん: 「あーそういうことか。じゃあ、もし今の家賃よりも安いところに引っ越したら、もっと毎月浮くことになるんだ。それは大きいなぁ。」

私: 「大きな違いだね。この先いくらでも家賃は上げていけるけど、今の状況なら家賃を抑える甲斐がありそうだね。」

これで引っ越す意思が固まったようだ。
あとは、なるべく家賃が被らないように(二重払い)こちらで出来る限り交渉してみよう。引越す時期や物件の管理会社によって細かいところは変わってくるけど、まぁ何とかなるだろう。

それにしても学生の1万円は大きい。ましてや親のお金ではなく、自分で生計をたてているなら、同じ1万円でも価値も大きいし、重みも違うだろうな。実際に引っ越すのはもうちょっと先だけど、もしまた来てくれたら出来る限りの応援をしてあげよう。そう思う反面、本人にとっては仲介手数料無料で探せたらもっと大きい効果になるか、、と久々に複雑かつ淡い気分を味わったのだった。

「いろいろとご親切にありがとうございます。」そう丁寧に御礼を口にして、またスケボーを抱えて帰っていった。

Aさんの育った家庭環境や親との良好な関係性が垣間見えた、心がホッコリする青年だった。そんな学生のAさんに固定観念や決めつけを気づかされ、改めようと思った。Aさん、いい物件が見つかるといいね。