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機器探訪#005 OCTAVE V70SE

OCTAVEの五極管プッシュプル動作による真空管プリメインアンプです。

デザイン

モダンデザインの礎を築いたといっても過言では無いBAUHAUSを要するドイツらしい、質実剛健な機能主義的デザイン

Less is More
Mies van der Rohe

シンプルの追求による豊かさの享受。引き算の美学
ドイツの本社にて熟練した職人により手作業により組み上げられたアンプは、工業製品というより一つのアートワーク。

ちなみに結果としてのビジュアルは、PIEGA COAXシリーズともベストマッチです。

バイアス調整

本機は固定バイアスとなっていて、3段階LED表示を見ながら、付属のバイアス調整用ドライバーで精密ポテンションメーターを調整することで、0.3%の精度での出力バイアス電流の調整が可能となっています。
ちなみに取扱説明書によると、以下出力管に交換可能です。

6L6、KT66、EL34、KT77、5881、6CA7、6550、KT88、KT90、KT100

そのため、本機は所謂球転がしを楽しむことが出来ます。

音質

アンプの暖気が終わり曲をかけ始めた瞬間、オーケストラでヴァイオリンを弾いている妻がポロッと呟きました。

誰かがすぐそこで、本当にヴァイオリンを弾いているみたい

と。

真空管アンプというものは、ともすれば懐古主義的でフォーカスが曖昧な、いい意味で写真で言うところのボケを楽しむもの、というイメージがありましたが、V70SEはそのイメージをガツンっと覆すものでした。

その出音は一介のトランジスタアンプよりもシャープで滲みが無い。そしてシャープでありながらも自然な倍音と残響により人工的な違和感は無く、ともすれば生気の籠った実在感と共にある種の色気すら感じさせる。

結果として、スピーカーのすぐ後ろで正に奏者がボーイングしている様子が脳裏に浮かんでくる。

音楽と対峙するのではなく、肩の力を抜いてソファでのんびりと鑑賞するような、そんな聴き方をするクラシック愛好家におすすめのアンプなのではないでしょうか。

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