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ちょっと足を伸ばして小旅行

学校の課題がひと段落落ち着いた。嫌々ながらもIELTSでエッセイはたくさん書いていたから、勢いがついたらまぁまぁ書けた。あとは気になった文献をリストアップして身を通したら、最後の仕上げをやって終わり。予定通りにいけば1週間は余裕をもって仕上げられそうだ。

さて、車の保証期間中に長距離ドライブに行こうとずっと思っていた。行き先の候補はたくさんあるのだが、今回はこの時期だけしかみられないという菜種油(厳密にはキャノーラ油)のもとになる花が咲いているというTimaruという街の郊外を目指す。

久しぶりの普通車は快適そのもの。初めてクライストチャーチの中心から半径20km以上を離れたが、道は驚くほど平坦。国道1号線だったのだが、日本の国道1号線とは異なり、クネクネもしていない。

ずーっと走らせていくと、ポツンポツンと小さな可愛い町があらわれてくる。休憩してったら?という看板をパン屋さんやクッキー屋さんが出していて、なんだか時間がゆっくり流れはじめる。どれどれ、と一軒入ってみると、そこはパイ屋さん。いろんなパイが置いてあり、テーブルにはのんびり召し上がっている老夫婦。警察もテイクアウトにパイを買っていく。

その後もそんな感じでゆっくり南下していく。天気が良かったのでレゲエをかけてみたら気持ちよくなってきた。1人なので思う存分に熱唱し、喉を痛めながら目的のTimaruという町へ。

ビーチがいくつもあって、客船が寄港できるらしく、小さくておしゃれな観光地という雰囲気。まぁでも正直そんなに興味がなかったので、休憩がてら現地の博物館だけ行ったら菜種油の畑へ直行。

段々と海が見えてくる。

くすみがかった緑からはじまり、エメラルドグリーンから徐々に青くなっていく海は野生のペンギンを見ることもできるらしい。残念ながらペンギンさんはどこにいらっしゃるのか皆目検討がつかないが、菜種油はすぐに見つかった。

真っ青な空に、絵の具を落としたような黄色が広がる。

崖沿いの道をひたすら散歩していると、ポルトガルのロカ岬を思い出した。道中の単調な道ではブラジルを。小さな可愛い町ではブリュッセルを。この地にイギリスから船に乗って移住してきた人たちの資料の前では日系人のことを。

ふと、気づいた。

つい過去の思い出を参照している自分に。そのためか、感動が薄まっていた気がした。ところどころに点在するベンチに座り、海を眺めてみた。

ニュージーランドのこの地に初めて来た。南極からいくつか成分が混じっているだろうこの空気。この辺りにしか生息しない生物が住んでいるであろう海水の飛沫。

参照できる過去があることは幸せなことでもあるが、目の前のものを、足元の歴史を、ありのまま感じられるようなりたいと思った。

帰り道。

この道を自分の家族といつかドライブできることを想像しながら走ってみた。