2023年統一地方選を振り返って〜自公vs野党共闘vs維新で立憲と維新が野党第一党争いとなるか

2023年4月の統一地方選挙が終わりました。
全体的に振り返ると自民と公明候補の得票率はかなり落ちており、民主系は北海道と愛知を除けば現状勢力維持、維新は関西中心に議席増加、共産は議席減少という感じです。

また、国政5補選では自民が4勝、維新が1勝しました。この傾向を見ると自民公明の勢いは下がり、維新の台頭で立憲と激戦となるとみています。

今後、統一地方選の影響で衆院選はどうなるかを記載します。


実際の各党勢力図について

ここでは2023年5月現在での各党の勢力図について話します。

まず、全体の得票数の試算から入ります。その鍵になるのが共産得票率です。和歌山1区と千葉5区の共産候補の得票傾向を見ると比例で共産へ投票した人しか入れていないです。そこから試算すると固定票は全国で5000万票と推測します。

次に各政党別の得票状況についてです。まず、NHK党全国得票は80万票固定(参院選比例党名票数)とし、他の泡沫政党得票数をゼロとします。また、山口2区の岸信千世氏の得票率を自公と参政票を合わせた数とします。その結果、以前は自民得票率は全国で34.4%、公明得票率11.6%ありましたが、

今の自民得票率は全国で27.5%、公明得票率9.2%となります。また、公明票は自民票の伸びと縮小に比例し、年々自公得票率の内、公明票が占める割合は減少しています。

残りが野党票となりますが、共産、れいわ、参政票の伸び悩みや千葉5区での立憲、維新、国民候補の伸びを考慮すると立憲、維新、国民以外の野党得票率は22年参院選比で1.06倍伸びている傾向です。立憲、維新、国民はその逆で22年参院選比で1.31倍となります。

その結果、各政党別得票率(多少の変動を考慮)は
自民27.5%
公明9.1%

維新19.2%
立憲17.3%
国民7.9%
共産7%
れいわ4.8%
参政3.5%
社民2.1%
NHK党1.6%

となります。

そして衆院選ブーストになりますが、擁立した選挙区で維新は有権者の約5%分、れいわは有権者の約1.5%分を新たに掘り起こしている傾向です。また、国民は立憲がいない選挙区で擁立となると立憲票の約2割を確保している傾向です。衆院選で維新が240人、国民が60人、れいわが30人擁立すると政党別得票率はこの数字になります。

衆院選実施時の各政党別得票率
自民25.3%
公明8.4%

維新25.6%
立憲15.4%
国民7.8%
共産6.4%
れいわ4.5%
参政3.2%
社民1.9%
NHK党1.5%

となります。

あくまで机上の理論にはなりますが、情勢次第では維新が自民を超えて比例得票第一党になる可能性はゼロではないです。


与党(自民・公明):参政党の存在と政党支持率が従来より低く、得票率を下げるか

自民と公明は政党支持率が4年前より約1割低い傾向であり、参政党の台頭で支持層が流出しています。国政5補選では4勝1敗(千葉5区は野党乱立、和歌山1区は一度も勝てていない門だから)ですが、薄氷の勝利という感じです。

そのためか2023年練馬区議選では自公候補得票率が2015年と2019年よりも得票率が約18%減らしたり、ということが起きています(候補者数は変わっていない)。

また、国政補選を見ても自公得票はかなり減らしており、自民は2012年衆院選基準、公明は過去最低の得票水準となるでしょう。それでも大分補選の結果などを見ると地盤を固めれば野党票も取れて選挙区勝利はあります。


自民:選挙区では関西、比例では全国的に議席を減らすか 

自民は統一地方選で議席数自体は現状維持くらいでしたが、関西では議席を減らしました。また国政補選選挙では得票率が下がっている傾向であります。

選挙区では維新と国民の台頭による野党の候補者乱立で政権批判票が割れて自民が相対的に有利となりやすいです。比例では他党の台頭で伸び悩むと思います。

ただ、関西では2021年衆院選よりも苦戦するでしょう。大阪では比例復活含めて全員落選、兵庫県内や京都1区、和歌山1区などが維新との激戦となるでしょう。最悪、高市早苗氏の地盤である奈良2区で自民vs維新vs共産の構図だと高市氏が選挙区落選になる可能性があります。

公明:関西6選挙区へ維新擁立で激戦となるか

公明は統一地方選で今までになかった二桁台での落選を記録しております。理由は自民支持率低下により公明も巻き添えを食らったこと、創価学会員の高齢化による組織力の低下です。実際のデータでも自公票のうち公明票の割合は低下し続けています。

衆院選では公明現職がいる関西6選挙区(うち大阪4つ兵庫2つ)では大阪府政や大阪市政の協力の見返りに維新が擁立を見送り続けていましたが、大阪府議会で維新単独2/3確保、大阪市議会で維新単独過半数となった今、維新が公明に配慮するメリットがなくなりました。仮に維新が擁立に動いたら大阪は全滅濃厚、兵庫も全滅の可能性があります。

上記の件で公明は選挙区擁立に積極的となっており、比例も苦戦するでしょう。


野党共闘(立憲共産れいわ社民):与党支持低下も維新の大量擁立で激戦か

野党共闘勢力は自公支持率低下によりチャンスは拡大しましたが、維新が大量擁立による野党票割れが起きるため、予断を許しません。また、仮に与野党一騎打ちでも候補者の実力不足で一部野党票が自民へ流れることが2021年以降起きているため、過信にもできません。

衆院選選挙区では札幌、関東圏などで維新が刺客擁立でも跳ね除けている地域がありますが、共産が当時に擁立したら自民当選確率は上がり、あまり強固な地盤がない立憲は維新に野党第一党の座を奪われる可能性が高まります。

とはいえ、自公支持低下は野党にとってはチャンスであり、自民王国と呼ばれた山口2区補選でも接戦に持ち込めることができました。

立憲:選挙区は微減、比例は減少か

立憲は統一地方選では現状維持くらいでしたが、維新と国民の勢いは続いており、最悪維新に野党第一党の座を取られる可能性があります。

結局は地道に地盤を固めるしかないです。実際国政補選でも野党乱立状態だった千葉5区の立憲候補は非維新非共産でも勝てる実力を見せており、逆に与野党一騎打ちの大分では野党票すべて確保しきれなかったです。2021年衆院選で立憲が負けたのは地盤を固めきれなかったことであり、自民単独過半数を割れるところを押しきれなかったです。

選挙区でどれだけ取れるかが結果を左右することとなるでしょう。 

共産:9年ぶりに衆議院1桁議席数となるか

共産は統一地方選で東京以外は議席を減らしている傾向です。得票数も固定350万票前後となっており、衆院選比例で苦戦しそうです。

そのため、共産独自擁立が増えるかもしれません。前回が100人くらいであったため、選挙区結果が左右されるかもしれません。

れいわ:擁立次第では6議席獲得か

れいわは統一地方選で関東は伸びましたが、関西で伸び悩みました。衆院選に向けて近畿で擁立を増やさないと維新の勢いで大石晃子氏が落選するかもしれません。

全国的に見ると、れいわの勢力は維持し続けており、6議席獲得は濃厚です。国政で10議席超えとなります。

社民:衆院選で政党要件維持の可能性は低く、参院選次第か

社民は2017年以降、衆院選で政党要件を満たす得票率2%超えとなっていません。しかし、参院選では個人票の伸びや沖縄での得票の動きで得票率2%超えとなっています。

衆院選で沖縄2区は維新や参政が擁立してくれたら優勢です。比例九州では議席獲得可能性が微妙なところで九州へ候補者大量擁立するかにかかっています。10人以上擁立なら議席獲得は不可能ではないでしょう。


第三極(維新・国民):立憲会派と野党第一党争いとなるか

維新と国民は統一地方選で勢力を拡大しており、衆院選でも議席数を増やしそうです。

第三極という枠組みで見た場合、維新と国民が会派を組めば立憲・社民会派を超えることとなり(共産とれいわは立憲会派に参加しなさそう)、各委員会やテレビ報道などで政局が動くかもしれません。

しかし、かといって維新と国民が合流すれば失敗するでしょう。かつて新進党や希望の党と呼ばれた第三勢力が合流で大きくしましたが、結局は瓦解しました。

維新:候補者擁立次第では野党第一党、比例得票第一党も

維新は統一地方選で都道府県議会では関西中心、市町村では全国的(主に都市部)で議席を多く増やしている傾向です。衆院選に向けて原則全選挙区擁立を表明していますが、資金的に289人中180人擁立となりそうです。

衆院選選挙区では大阪以外の関西で議席増加するかです。関西では自民と維新の二大政党制状態と化しており、兵庫では自民公明と維新との激戦が予想されます。その恩恵で滋賀や京都、和歌山の地方部でも維新選出衆議院議員が誕生すると思います。

比例では選挙区の擁立が多いほど議席数は増えている傾向です。現段階でも40議席超えは見込め、情勢次第で50議席に達するかもしれません。

国民:選挙区、比例共に議席増加か

国民は自公支持率低下と擁立増加により議席は増えるでしょう。また、立憲がいない国民単独での擁立選挙区で立憲票2割吸収している傾向を見ると(愛知は例外)、擁立するほど比例で有利です。

特に都市部で勢いを増しており、比例では関東地方で6議席獲得するかもしれません。


その他:(参政・NHK党)生き残りに向けて

参政党とNHK党(政治家女子48党とか党名を変えているのでNHK党と呼んでいます)は街頭演説での動画を見ると対立関係となっていますが、実際のところ参政党が勢いを増しており、NHK党は低迷しています。

これら2党は与野党や維新国民に与しておらず、生き残りをかけた戦いとなっています。

参政:衆議院進出は濃厚

参政党は統一地方選で岩盤な支持層は健在で当選者を多く出しています。ただ、得票数が増えているかといえばそうではなく、大阪府知事選の結果を見ると大して変わっていません。

衆院選では比例近畿ブロックで1議席獲得しそうです。維新の勢いで壊滅的打撃を受けている大阪自民から候補者を引き抜けば確実となるでしょう。

NHK党:参院選での個人票増加しか政党要件維持できない

NHK党は統一地方選で大敗しました。衆院選は固定80万票程度しか取らないでしょう。

しかし、参院選では固定80万票+個人票で得票を稼いでいる傾向です。2025年参院選でDJ社長とかを擁立すれば政党要件を維持できます。



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