通称「困難女性支援法」において最も問題であると思われる第十五条について、問題点の指摘と改善すべき点

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(支援調整会議)
第十五条 地方公共団体は、単独で又は共同して、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、第九条第七項又は第十二条第二項の規定による委託を受けた者、困難な問題を抱える女性への支援に関する活動を行う民間の団体及び困難な問題を抱える女性への支援に従事する者その他の関係者(以下この条において「関係機関等」という。)により構成される会議(以下この条において「支援調整会議」という。)を組織するよう努めるものとする。
2 支援調整会議は、困難な問題を抱える女性への支援を適切かつ円滑に行うために必要な情報の交換を行うとともに、困難な問題を抱える女性への支援の内容に関する協議を行うものとする。
3 支援調整会議は、前項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるときは、関係機関等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができる。
4 関係機関等は、前項の規定による求めがあった場合には、これに協力するよう努めるものとする。
5 次の各号に掲げる支援調整会議を構成する関係機関等の区分に従い、当該各号に定める者は、正当な理由がなく、支援調整会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
 一 国又は地方公共団体の機関 当該機関の職員又は職員であった者
 二 法人 当該法人の役員若しくは職員又はこれらの者であった者
 三 前二号に掲げる者以外の者 支援調整会議を構成する者又は当該者であった者
6 前各項に定めるもののほか、支援調整会議の組織及び運営に関し必要な事項は、支援調整会議が定める。
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以上の第十五条において定められている「支援調整会議」について、参加者の素性や協議内容に関する不透明性が高いにもかかわらず権限が強すぎる。
会議構成員は、公的機関だけではなく、公的機関から委託を受けた事業者、その他民間の団体や「支援従事者」、「関係者」というあいまいな語句で定義される者も構成員になると表記されている。
こういった者が会議構成員に任命されることを考えた場合、以下のような問題が考えられる。

■支援調整会議で議論される内容の重要性、及び会議構成員の任命基準に関する不透明性
「支援調整会議」内で決定される事項は、「困難な問題を抱える女性への支援の内容」と定義されている。
すなわち実際に行われる具体的な支援内容がここで話し合われるということであり、本法律の定義する「困難な問題を抱える女性への支援」事業の根幹をなす事項を決定する最重要の会議と捉えられる。
にもかかわらず、支援調整会議の構成員に任命される経緯や基準等が一切定義されておらず不透明である。
国が主導して行う重要な事業の実施要領を決定づけるという最重要の会議であれば、その構成員に相応しいかどうかは、客観的に評価できる基準をもって判断すべきであると考えられる。
仮に、これまでの若年被害女性等支援事業において功績を上げた者が任命されるとした場合、どの程度の功績を上げたかについて、具体的な数字を伴う記録により評価されるべきであると考える。

■会議構成員の利害関係に関する不透明性
支援の内容を調整するということはもちろん投入される補助金の金額もその内容により上下するものと思われるため、もし補助金が支給される対象の団体が構成員に含まれていた場合、金額を増大させる目的での恣意的な調整が行われる危険性を潜在的に孕んでいる。
会議の構成員については、本法律で規定される補助金の支給先の団体、人員は除くとすべきである。

■会議の内容、及び運営方針に関する不透明性
先述のように、本会議は実際に行われる具体的な支援内容が協議するものであり、投入される補助金の金額もその内容により上下するものと思われる。
したがって、決定に至るまでの経緯や、現状に即した妥当な施策であるかどうかについては、第三者による客観的な評価がなされなければならないと考える。
にもかかわらず、「正当な理由がなく、支援調整会議の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。」、「支援調整会議の組織及び運営に関し必要な事項は、支援調整会議が定める。」という規則が設けられ、会議内容や運営方針が非常に秘匿性の高いものとなっている。
公金の投入規模を決定づける重要な会議に関して、客観的な妥当性が確保できないなどという規則は、納税者である日本国民への報告義務を蔑ろにするものと言わざるを得ず、言語道断であると考える。


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