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【気になる時事単語】仮定と想定

連日、コロナ対応に関する政府批判が続いている。
対応が正しいかどうかは、専門家ではない私には分からないが、少なくとも管政権が言葉のチョイスを間違えていることは、間違いないだろう。

その代表的な例が1月8日、管首相が「報道ステーション」(テレビ朝日系)に出演した時のことだ。

同局政治部・足立直紀氏の

「(緊急事態宣言を)1ヶ月やってみて、結果が今ひとつ出なかったら、対象拡大ですとか、延長した時にもうちょっと内容が厳しくなっていくとか、そういうこともあるんですか?」

という質問に対して管首相は、

「仮定のことは考えないですね」

と答えた。これは非常にまずい。足立氏は「仮定の話」をしたのではなくて「想定しているか」と聞いたのだ。

「仮定」と「想定」はとても似ているが広辞苑にはこのように書かれている。

【仮定】実際とは無関係に想定されること。

【想定】ある一定の状況や条件を仮に想い描くこと。

(『広辞苑』第七版(岩波書店)より)

管首相は官房長官時代から、ことあるごとに「仮定の話にはお答えできない」としてきた。たとえば、安倍前首相の妻への公費支出について記者から質問が出たときも「仮定の質問には答えを差し控えたい」と答えている。

公費を支出した証拠などがない場合、噂レベルの質問にはいちいち答えられないというのはもっともな気がするので、これはギリギリセーフだったかもしれない。

しかし、今回のコロナ問題は違う。

政府は有事の場合、最悪のケースを想定して、被害を最小限に抑え、国民の生活や命を守る義務がある。コロナウイルスの感染拡大が止まらないかもしれないというのは「事実とは無関係」ではなく、十分あり得る可能性のひとつだ。それを「仮定(事実とは無関係)」と切り捨ててしまうのは、政府としての職務放棄にほかならならい。

まさか、本当に最悪の事態を想定していないなんてことはないだろう(だと思いたい)。足立氏に質問された管首相は「緊急事態宣言の効果が出ない場合」などという弱気な想像をしているとは思われたくなかったのだろう。あくまでも強気で頼れる政府を演出したかったのかもしれない(そうであって欲しい)。しかし、あれでは逆効果だ。もし、どうしても弱気な発言をしたくなかったのならば、こう答えるべきだったのではないか。

「もちろんあらゆる想定はしているが、具体的な話はこの場では差し控える」

最悪の事態のことは考えない政府よりも、最悪の事態についてもしっかり想定して準備をしてくれる政府を国民は望んでいるはずだ。いやもちろん、管首相は言葉のチョイスを間違えただけで、きちんと考えているはず、そうですよね? 管首相?

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