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医療崩壊のリスクと現在の状況(4/4投稿)

noteの記事を書く予定でしたが、今週に入り患者数が増えたため業務に追われ、投稿が遅れました。
日本版CDCに関する記事も書いていきますが、タイムリーな情報発信も大切ですので、まずは4/4現在の状況についてまとめます。

患者数は増加

永寿総合病院関連の患者数が目立っていましたが、ここにきて感染経路不明の患者数が増えてきました。これはつまり、今まで日本が行っていた、クラスター潰しの効果が出にくくなってきているとも言えます。オーバーシュート(感染者の爆発的増加)の前段階に来ているのは間違いありません。

封じ込めができていない以上、オーバーシュートを防ぐことはできません。しかし、今後の我々の行動次第では、オーバーシュートの高さ(瞬間の発生患者数)を抑えることはできます。

これにより、我々は医療崩壊を防ぐことができるかもしれません。

医療崩壊とはなにか

よく報道で使われる「医療崩壊」という言葉にどのようなイメージを持たれるでしょうか。
イタリアやスペイン、アメリカで見られるような、多数の患者がベッドに寝かされて廊下に並び、人工呼吸器が足らず、死亡者数が増えていく、医療者は次々に倒れ、助かるはずの患者さんが助からない……ニュースで流れる報道、映像ではそのようなイメージで語られます。

医療崩壊にも2種類あります。
新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)の受け入れ体制の崩壊と、通常の医療体制の崩壊です。

COVID-19の受け入れ体制は、フェーズに応じて(感染者数に応じて)受け入れる病院の数を増やし、徐々に拡充していくことになります。最終的に総力戦となり、すべての病院が対応してもキャパシティを超えた時、必要な医療を受けられなくなりCOVID-19の受け入れ体制の崩壊が起こります。

最初からすべての病院で対応しないのは、対応に慣れていない病院では院内の感染管理が充分にできない可能性があることも理由のひとつですが、通常の医療体制の継続が困難になるからです。
COVID-19の患者数が増え、多数の医療機関が対応しなくてはならなくなった時、通常の医療体制は崩壊します。例えば手術を受ければ助かる人が、マンパワー不足や物品不足を理由に、手術が延期になり命を落とすこともあるでしょう。通常の医療であれば助かった命が助からない、これは間違いなく医療崩壊です。
我々は、COVID-19の患者さんだけでなく、すべての患者さんの命を守らなければいけません。それは将来のあなたの家族かもしれません。

医療崩壊はいつ起こるのか

災害と同様に、需要が供給を上回ったときに医療崩壊は起こります。
いまは医療崩壊は起きていません。そのフェーズにありません。

まだ大学病院の受け入れ数も非常に少なく、感染症指定医療機関に頼った状態だからです。第一種・二種感染症指定医療機関はほぼ満床(受け入れベッドがない状態)となってきていますが、防波堤となるべく、新たな病棟を空けるなどして受け入れ数を増やす努力をしています。一般病院で感染が判明した肺炎の患者さんもできるだけ受け入れています。

しかし患者数が増えるにつれ重症患者数も増え、指定医療機関だけでは、全てを受けきれなくなりつつあります。これが4/4の現在地点です。

今後、無症状・軽症者は自宅あるいはホテル等の施設で経過観察を行い、重症・重篤な患者さんを病院で診ていく体制になっていきます。そして指定医療機関だけでは受けきれなくなっているため、一般病院も受け入れていくことになります。これは通常の医療を縮小することを意味しています。

クルーズ船を第一波とするなら、オーバーシュート前の今は第二波。これから来る最大の第三波を受けきる準備をしなくてはなりません。
一市民としての自粛・自己隔離。リモートワークの推進。
新たな生産ラインによる、マスクや医療防護衣、医療資機材の確保。
政府・各自治体主導のもと、適切な患者振り分けと医療体制の維持。
やれることはまだまだあります。

いまの我々の行動により、1-2週間後の未来が変わります。

確実に未来は変えられます。

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