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全生庵「幽霊画展」と第九次 第八回「圓朝座」

八月十一日は、三遊亭圓朝師の祥月命日。
圓朝師の墓所のある谷中の全生庵では毎年法要が行われる。墓所を訪れたら、落語協会名の供花が二基そなえられていた。
そして、全生庵では、毎年、八月一日〜三十一日の期間は「圓朝まつり」である。
この期間、圓朝が蒐集したとされる全生庵が所蔵している幽霊画が、虫干しを兼ねて「幽霊画展」として展示されている。

全生庵「幽霊画展」

円山応挙作と伝えられるものや、伊藤晴雨、川端玉章、川鍋暁斎、鏑木清方ほか多数の幽霊画を観ることができる。
伝円山応挙とされる作品の解説を読むと、正式に応挙の真筆とされる幽霊画は見つかってはいないそうで、未だ研究中とのことである。
そうだとすると「足のない幽霊を最初に描いたのは円山応挙である」というのは伝説であろうか。
何れにしても、全生庵での毎年八月ひと月会期の「幽霊画展」は、真夏の風物詩であり、暑い中での鑑賞にとても趣を感じる。
この日も実に猛暑であった。
黒地に髑髏は、圓朝師による《髑髏図自画賛》(部分)で、観覧の記念にくれた団扇である。

圓朝師による《髑髏図自画賛》(部分)で、観覧の記念にくれた団扇である。

午後には、「圓朝座」という落語会が、同じく全生庵の坐禅堂で開催された。
この「圓朝座」は、鈴々舎馬桜師匠がここ何年にも亘って、8月11日も含めて年に数回催している落語会。
毎回、馬桜師匠ともう一人客演の噺家さんが、圓朝作品を演ずる。
馬桜師は、ここのところはずっと、圓朝の「緑林門松竹(みどりのはやしかどのまつたけ)」という長い物語を口演している。

いっ休「手紙無筆」 
馬桜「緑林門松竹=上総屋清三郎〜あんま幸治=」
三三「鰍沢」

この噺は岩波書店の圓朝全集の第六卷に収録されていて、圓朝の口演では全六十二回、182ページもある長い長い物語である。
今回はその三十九回から四十七回までと後半に入ってきた。
次回の「圓朝座」は年内にあると思うが、いつだろうか。
今回の客演は、柳家三三師匠で「鰍沢」。
掛け軸は、坐禅堂の床の間にかけてある川鍋暁斎筆の三遊亭圓朝師。

坐禅堂の床の間にかけてある川鍋暁斎筆の三遊亭圓朝師。


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