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マッチングアプリで出会った女性と結婚した話

前回の「大失恋を乗り越える方法」という記事の中の「出会いの場に行ってみる」という見出しで「マッチングアプリを使ってみる」と書きました。

今回は私が大失恋から結婚に至るまでを記事にしていきます。

読み物としてお楽しみください!

今回のタイトルにあるように、私の結婚相手はマッチングアプリで出会った女性です。

あ、ちなみに私はマッチングアプリの回し者じゃないので、マッチングアプリの利用者が増えても減っても得も損もしない立場だって事だけは前提に置いておきますね。お茶と一緒にドウゾ。

私は複数のマッチングアプリに登録して課金もしました。

その数なんと14アプリ!!←アプリの単位が分からない…笑

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この中で手応えがあって、操作性が良くてマッチング率の高さから課金をしたのが5アプリ。

それがこちら↓

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課金した全てのアプリで、マッチングした女性と実際に会う事が出来ました。

「いいね」をしたり「いいね」をもらったりしていくと「自己肯定感」が高まるのと同時に「失恋の傷」も徐々に癒えていくのが分かり、マッチングアプリに段々とのめり込んでいきました。

恋愛の傷はやはり恋愛で埋めるしかないのかもなぁ。

平日は仕事の休憩中に女性のプロフィールをスクロールして流し見しながら気になる女性に「いいね」を送って過ごしました。

週末にはマッチングした女性と食事に出掛けました。

大体3ヶ月でマッチング数50人くらい。

LINEの交換15人くらい。

食事に行ったのは8人くらい。

これが多いのか少ないのかは謎ですが…。

運命の相手の出会い

実際に食事に行っても、そこから恋愛に発展する事はありませんでした。

ゴールデンウィークにアプリを始めて、もう夏になっていました。

「恋愛ってこんなに難しかったっけ」

「人を好きになるのって努力が必要なんだっけ?」

「やはり元カノしかおらんのかな…」というネガティブな想いが頭をぐるぐる…。

「うわ、まただ。今日も元カノの事を思い出してる…!」

「いかんいかん!」とまたマッチングアプリを巡回!

すると女性側から「いいね」が来ました。

他のアプリよりも圧倒的にマッチング数の多いアプリからの通知でした。

「お、まただ!」と思ってアプリを即開きました。

そのアプリはこちら↓

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アプリ内では「いいね」じゃなくて「いいかも」ですね。

フリックで横にポイポイする感覚で選べます。これが案外おもしろい。笑

「いいかも」をくれた女性は同い年の方でした。

プロフィールの画像は「SNOW」で撮ったものでしたが、ハッキリと顔の分かる写真が数枚。

マスクをしていたり、逆光だったり、下を向いた写真の人も多いですが、やはり顔がハッキリと分かった方が安心感がありますね、お互いに。

プロフィール欄を見てみると「彼氏と別れたばかりです、まずは友達からお願いします」と書かれていました。

「あ、失恋したんだ。同じだ。」と、なぜか親近感。それと、正直さが良いなと思いリアクションをしました。

見事マッチング!

メッセージはいつも通り当たり障りのない感じで送ってみました。

「はじめまして、山崎マサユキといいます!あまりアプリを見る時間が無いのでメッセージは遅めになってしまうかもしれませんが、ゆっくり仲良くしてください!」送信ポチー

メッセージではこう書いたけど、めっちゃアプリ見てるけどね。

あえてメッセージ遅くした方ががっついてる感が出なくて良いかと思って。

あと、よくメッセージとかプロフィールに「始めたばかりで使い方があまり分かりません!」とか「友達にススメられて登録しました!」

って書いてたけど、めっちゃ使いこなしてるし、自らの意思で始めたからね!

なんなら課金して月々4000円弱の料金まで払ってるけどね!

ウブな感じを出したかったわけじゃないけど、なんか使い慣れてるとチャラいって思われそうだったから!

すると女性側から割とすぐにメッセージがありました。

「はじめまして!マッチングありがとうございます!亀井仮子です!私もあまりアプリ開かないのでメッセージ遅めになっちゃうかもしれないので、ちょうど良いですね!ゆっくり仲良く(笑)お願いします!」

亀井ちゃん…!

長文メッセージありがとう…!

しかも定型文じゃなくて、ちゃんとメッセージを読んでくれたんだ…!

「良い子やん!亀井ちゃん良い子かもやん!」

って思いました。

メッセージ送っても「はい。」とか「そうなんですね。」とか素っ気ない返事だったりするとちょっとエネルギーがダウンしちゃうので。ザコメンタル。
終いにゃ「了解です。」って、え?仕事?って感じの人もいました。

そういう方はなぜメッセージ返してくれるの?不思議!

それから数日間、アプリ内でメッセージの交換をしました。

「仕事はなにをされてますか?」とか「好きな芸能人は誰ですか?」とか「休みの日はなにしてますか?」とか、マッチングアプリではお決まりのメッセージ。

次のステップ

そんなありきたりなメッセージも終わった頃には「仕事終わったー、疲れたー」とか「今日の晩ご飯はカレーです。」とか「夏、暑すぎ。」みたいな、どうでも良いメッセージのやり取りをしていました。

大体、メッセージをやり取りする時間帯もお昼に1通、夜の22時頃に2.3通という流れも出来ていました。

私もその時間になるとアプリを開いてメッセージを返すってルーティンが出来上がっていました。

その間にも他の女性とマッチングしてメッセージの交換をしては自然消滅なんて事を繰り返していましたが、亀井仮子さんだけは途切れずにメッセージの交換が続いていました。


この日は35度を超える猛暑日。

こんな日に限って外仕事。

昼休みに同僚と蕎麦屋に入りました。

席に着くなりガブガブと水を一気飲み!

汗を拭いながらメニューを見てると、ふと思い出しました。

(あ、そういえばこの前、亀井さんが天丼食べたってメッセージで言ってたな。)

同僚たちは「ざるそば!」「もりそば!大盛り!」と、注文をしていました。

「あー、えーと、天丼大盛りで!」と私だけ天丼を注文。

同僚たちは驚いていました。

「こんな暑い日に熱々の天丼かよ笑」ってちょっと引かれました。

(後で亀井さんに天丼食べたよって、メッセージ送ろ!)

ここの天丼が本当に美味しかった…。

まあ店内はボロいけど(失礼)

同僚「そういえばマサユキ、彼女できた?」

私「いや、全然。」

同僚「まあ、いつまでも元カノの事引きずるなよなー、今度さ、合コンセッティングしてやるからな!」

(この同僚は大失恋した時に、一人で家にいるのがしんどくて、朝まで飲んでくれたある意味、恩人だ)

私「…あぁ、頼むよ!」

同僚「なんだよ、その"間“は!笑」

私「いや…合コンとか久しぶりにしたいなー!と思ってさ!!」

同僚「おお、乗り気じゃん笑」

(元カノの事は確かに引きずってるなぁ。)

(…でも、そういえば最近は思い出す事が少なくなってる気がする。)

あ!マッチングアプリのおかげだ!!!

マッチングアプリやって良かった!!

いや

亀井さんのおかげかも。

いつも通り、昼休憩中にメッセージを送る。

「今日は天丼食べたよー!この前、亀井さんが天丼食べたって言ってたから暑いのに天丼頼んで同僚達に引かれたよ!」

いつも通り、どうでも良いようなメッセージ。

でも、この日はいつもと違って、もう一通メッセージを送った。

どうでも良くない、大事なメッセージを。

「もし良かったら、アプリのメッセージじゃなくてLINEにしませんか?こういうアプリで知り合うと怖さもあると思うので気が向いたらで良いのでLINEください!これLINE IDです!」

送信ボタンを…


タップ!!!

お、送ったぞ!!

俺は送ったぞー!!

午後は仕事中に何度もスマホをチェック…

LINEは…来てないか…。

まあ、まだ亀井さんも仕事だろうしな!

…………

仕事が終わって、家に帰り、お風呂と食事を済ませると22時。

いつもメッセージを交換する時間だ。

スマホをチェック。

…ああ、さすがにLINEは来てないかぁ。

まあしょうがないか、アプリで知り合っただけで会ったこともない人とLINEの交換は流石にリスクがあるもんな。

後ろ向きになってもしょうがない!

とにかくマッチングアプリ内のメッセージで仲良くしよう!

あれ?

アプリにもメッセージが…来てない…だと?!

数週間もこのルーティンを守ってきたのに!

なんか調子狂うなぁ…。

「まあとりあえず勉強でもするか!」

失恋をしてから続けている勉強ルーティンはしっかり守っておかなきゃ!

やはり長期で投資をするなら米国株かー(ベンキョー)

仕事しながらデイトレは出来ないからスイングトレードだなぁ(ベンキョー)

流動性の高い銘柄はー…(ベンキョー)

時計23:30

エアコンの効きが悪くて汗がジンワリ…

「ダメだ!暑い!!暑すぎる!!」

ええい!ビール飲んだらぁ!!

冷蔵庫バーン!

缶ビールプシュっ!

ゴグゴク!!!

!!!

うんっまっ!!なにこれ!うんまっ!!

夏のビールうんまーーーい!!!

スマホをポチー!

LINEぜろ!!!

アプリをポチー!!

メッセージぜろ!!

メッセージが…ぜろ…だと…??

なんてこった…!

LINEに誘導したらフラれた…!

やはり怪しまれたのかなぁ。

ショックだなぁ。

ん?

ショック??

ショックを受けてるのか?

亀井さんからLINEが来なくて

毎日続けてたメッセージが来なくて

俺はショックを受けてるのか?

なぜ??

もしかして

もしかして俺は…

まあ明日にはきっと来るさ。

今日は寝よう。

………


次の日の朝

じゃんじゃかっじゃじゃっじゃーん♪てれれれれー♪

そんなiPhoneのアラームに叩き起こされる朝。

はぁーー、もう朝かぁ。

LINEポチー
「おはようございます!!昨日、昼忙しかったー!夜は飲み会があって連絡出来ませんでした!こちらこそLINEでもよろしくお願いします!」

お!!

おおお?!!

亀井さんだ…!

良かったーー!!

LINE来たー!!

LINEのアイコンは…

マッチングアプリのプロフィール写真と違って随分と自然体。

「よっしゃ!かわいい!」

更に前向きになる、男山崎マサユキであった!!

LINEでやり取りをするようになってから、連絡の頻度は一気に増えた。

メッセージの内容自体はマッチングアプリの時と大して変わりはしなかったが、毎日LINEのやり取りをした。

#初デート

8月も終わりに近付いてきた。

全く暑さが和らぐ事なく夏の太陽に身体中の水分を奪われていく…

今年は夏らしい事出来なかったなぁ。

海も行ってないし、プールも行ってないし、花火も行ってないし…。

…まあ今年の夏は独りだったからなぁ。

すっかり日常になっている亀井さんとのLINEにこう書いてみた。

私「8月ももうすぐ終わりだねー。今年は何か夏っぽい事した?」送信ポチー

亀井「今年は仕事ばっかりで家と職場を往復して終わっちゃった。」

私「同じだね!」

亀井「同じだねー。」

私「もし良かったら、夏が終わる前に夏らしい事しない?」

亀井「夏らしい事?」

私「そう。今週末、花火大会があるんだけど一緒にどうですか?」

…デートの誘いをしてみた。

亀井「そうなんだ!どこの花火大会?」

私「都内某所の有名な花火大会!」

亀井「いいね!すごく混むって聞くから一度も行った事なかったけど、行ってみたい!」

私「オッケー!そしたら某駅に17時に待ち合わせしよ!」

亀井「オッケー!楽しみにしてるね!」

なんとあっさりとデートの約束をしてしまった。

しかも花火大会。

これは非常に夏らしい。

夏の最後に夏らしいイベントに参加できる。

お互い浴衣で参加しようって話になったから、その日は慌てて浴衣を買いに行った。

花火大会

その日は朝からどんよりとした天気だった。

(花火大会、開催してくれよー)

そう願いながらYouTubeで浴衣の着方を調べた。

和服ってのは難しいなぁ。

でも、背筋がシャンとする感じがいい。

カランコロンと小気味の良い下駄の音を響かせながら電車に乗り込みLINEを送る。

「いま電車乗ったよー、予定通り17時には間に合います!」送信!

…なんだか視線を感じる。

さっきまで読んでいたであろう本を開いたままのお婆さまが私をジロジロ見ている。

(なんだ…?浴衣を着た若者が珍しいのかな??)

すごく見てる…。本読みなさいな、お婆さま…。

駅に着いた頃には雨がパラパラと降っていた。

(はぁ。雨降っちゃったよ。どうしよ、花火大会中止になった時の事考えてないや。)

駅には沢山の見物客が押し寄せていた。

みんな楽しそうに笑ってる。

私は緊張していた。

長いことメッセージのやり取りしてるけど、いざ会うとなると緊張する…。

亀井さんからLINEが来た
亀井「私も駅着いたよー!どこにいる?」

亀井さんが到着した!!

私「改札降りて、すぐ正面にある案内板の前にいるよ!」

緊張が頂点に達した…!

一言目はなんて言おうか…

普通に「よおっ!」って感じが良いのかな。

それとも「はじめまして、山崎マサユキです。」かな。

あ、声が裏返ったら恥ずかしいから、ちょっと声出しておこ。

「あー、んーー」

うん、声は多分いつもこんな感じ。

あー、最後にトイレ行って前髪のチェックしておけば良かった。

てか、雨降ってるのに傘無いなぁ。

「山崎さんですか?」

後ろから声を掛けられて振り返るとLINEのプロフィール写真と同じ女性が立っていた。

私「え、あ、そうです。えと、亀井さん?」

亀井「そうです!やっと会えましたね!」

私「そうですね、ハハハ」

私は完全に緊張し切っていた。

亀井「毎日LINEしてるのに、初めて会うって不思議ですよね!」

私「そうですね、ハハハ」

亀井「人多いからビックリしちゃった!」

私「そうですね、ハハハ」

亀井「でもすぐ見つけられて良かった!」

私「そうですね、ハハハ」

初対面にも関わらず、明るい亀井さんとは対照的に緊張のせいで顔が引きつる…!

私は完全に定型文を読み上げるロボットになっていた。

すると亀さんがクスっと笑った

目の前に人間に似たロボット山崎マサユキ号がいるんだ、そりゃ笑うわな。ロボットもマッチングアプリを使う時代なんだなって。

私が「え?なに?」って言うと亀井さんは私の浴衣の胸元見て言った。

亀井「右と左が逆!」と浴衣を織り込む動作をした。

私の着ているYouTube仕込みの浴衣の合わせが
左右逆だったのでした。

私「え!うそ!間違えてる?!」

亀井「うん、それじゃあ死に装束だよ」って笑ってた

私「えー、ごめん、ちょっとトイレで直してくるね!」

亀井「わかった、ここで待ってるからゆっくりで良いよ!」

わー、いきなり笑われてしまった…

なんだよ、YouTube通りに着たのに…!

あ、もしかしてYouTubeの人が正面で着てたから俺は鏡にして着ちゃいけなかったのか…?!

なんだよー!!もー!!

そう思いながら混雑する駅のトイレで浴衣を着直した。

よし、これでバッチリのはず!!

亀井さんのところへ小走りで向かった。カランコロンカラン

私「どうかな、合ってる?」

亀井「うん、合ってるよ。それにとても似合ってる!」

私「え?あ、ありがとう!亀井さんもとても似合ってるよ!」

先にそう言ってから改めて亀井さんを見ると、とても綺麗だった。

亀井「そう?ありがとう!」

イメージ通りの明るい女性だ。

イメージとは違って声は高くて、身長は低かった。

私「それじゃあ行こうか。えーと、出口は…。」

亀井「あっち!」と、指さした。

私「そうなんだ、詳しいね。」

亀井「うん、まあね!」

そう言って2人で歩き始めた。

ところが悲劇はすぐにやってきた。

なんと

大雨により花火大会中止!!

なんてこったい!!

って数万人が思った。

参ったなぁ。

どうしようかなぁ…。

中止になった時のことを考えていなかった…

そして本当に中止になってしまった…。

亀井「どうする?」

私「あー、そうだね…えーと」

ど、どうしよう!!

でも、俺は知ってるぞ!ピンチはチャンスに変えられるって事を!

このピンチを乗り越えて俺はチャンスを手に掴むぞ!!

しかし!!

そのアイディアがない!!

どうする?!どうするーー?!

(亀井さんは…)チラッ

見てる!!俺を見てる!!俺の決断を待っているー!!

何か、何か答えないと!何かアイディアを!

私「そしたら…せっかくここまで来たから少し歩きましょうか…」

なんじゃそりゃー!雨降ってるんだぞ!下駄なんだぞ!

やっぱ今のなし!!

私「やっぱり

亀井「そうだね、そしたら傘買わないとね!」

そう言って亀井さんは駅中のコンビニを指さした。

た、助かった…のか?

いや、助けられたのか。

そしてそれぞれ一本づつ傘を買って雨の降る街に繰り出してみた。

浴衣姿にビニール傘。

非常にミスマッチだけど、まあ良いか。

でも、この後どうしよう…。

そう思いつつ街を散策してみた。

観光スポットという事もあって、歩いているだけでも楽しかった。

それに亀井さんもたくさん話を振ってくれた。

好きな芸能人の話とか仕事の話とか他愛もない話だったけれど、とても助かった。

辺りが暗くなる頃には雨が止んでいた。

これだったら花火大会出来たのでは…?

私「雨止んだね。」

亀井「ね、あーあ、せっかく夏らしいこと出来ると思ったのになぁ。」

私「でも、浴衣着ただけでも夏っぽいよね」

亀井「そうだけど、ちょっと残念。」

私「そしたら2人で花火大会しようよ。」

亀井「え?」

自分で言ったけど、2人で花火大会?

私「ほら、どこかこの辺で花火たくさん買って、花火が出来る河原とかでしようよ。」

亀井「あー、なるほど。」

ピンと来てない。そりゃそうだよな!めちゃくちゃ過ぎるよなー!

私「さっき歩いてる時に花火の問屋さんみたいのがあったから行ってみよう。」

スマホを開いて道を検索する。

浴衣にスマホ、またもやミスマッチ。

問屋さんに入ると、とても一般の人が来る様な雰囲気では無かった。

ここ業者さんが来るところだったかも…。

と思いつつ花火を見てみる。

かわいくて派手な花火セット!なんてものはここには無かった。

渋い木の棚に色んな種類の花火が束になって売られている。

線香花火500本セットとか。

でも、値段が安い。

ここは間違いなく…業者用のお店だ!!

お店のお爺さんは、こちらの存在に気付いているはずだが特に声を掛けてこない。

まあ、断られたらそれはそれでしょうがない。と思いつつ適当に花火を2人で見繕った。

大丈夫かな、と2人で笑いながら花火を選ぶのは楽しかった。

大きな声で喋っていけないような気がして、私たちは小さな声でコソコソと喋っていた。

お爺さんのところへ花火を持っていくと、なにも言わずに花火を紙袋に入れながら電卓を叩いていく。

15000円と表示された年季の入った電卓。

さすがに買い過ぎたねと笑いながらお爺さんにお金を渡す。

紙袋にパンパンに入った花火と手書きの領収書を渡された。

お店の外に出ると亀井さんは「プハー!」と水から上がった様に息を吸っていた。

亀井「緊張したね!」

私「入っちゃいけない雰囲気出てたもんね笑」

亀井「でも何か楽しかったね!」

私「うん、またミスマッチだったけどね!」

亀井「ミスマッチ?」

私「いや、こっちの話!」

せめて財布はいつもの長財布じゃなくて浴衣に合うものにすれば良かったと思った。

浴衣に長財布。非常にミスマッチ!

そして私たちは、会場になるはずだった河原に到着した。

花火用のロウソクに火を灯す。

それだけでロマンチックだった。

それから私たちは花火をした。

とても綺麗だった。

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だけど、大量に購入した花火はいくらやっても終わらない。

夜もだいぶ遅くなってきてしまった。

亀井「夏の最後に夏らしい事が出来ました。ありがとう。」

花火を見ながら亀井さんは言った。

私「こちらこそ、ありがとう。楽しかった。」

亀井「今日はそろそろ帰ろうかな。」

私「あ、そうだね。もう遅いしね。」

亀井「うん。」

私「また会ってくれますか…?」

私も花火を見て言った。

亀井さんは多分、私を見ていたと思う。

でも、亀井さんの目を見る事が出来なかった。

私は花火を見つめた。

亀井「もちろん。」

私「ほんと?良かった。」

私は亀井さんを見た。

亀井さんはやっぱり私を見ていた。

亀井「ゆっくり仲良くなりましょうね。」

私「え?あー、ゆっくりね!ゆっくり仲良く、そうですね!」

私たちはそう約束した。

ハプニングだらけの1日だったけど楽しかったなぁ。

亀井さんに助けられてばかりだったなぁ。

そんな事を考えていると駅に到着した。

亀井「それじゃあね!」

私「うん、ありがとね!またね!」

亀井「うん!」

亀井さんは改札を通り抜けて行く。

亀井さんは最後に一度振り返って小さく手を振ってくれた。


……これで前半は終了です!

続きは後半で…!

https://note.com/japan_tokyo/n/ne608f65860ae


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