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粕谷晋

18歳の時に初めてダーツと出会った粕谷晋プロは、2012年にプロ転向と同時にJAPANに参戦。5戦目で初優勝を飾るなど年間ランキング5位の活躍を見せ一躍脚光を浴びた。今期は優勝2回を記録し年間ランキング3位の好成績。名だたるプロでも3年連続年間ランキングの上位に入賞する選手はそう多くはない。さらにはSUPER DARTS 2015への出場権も獲得し、波に乗っている選手の一人だ。

そんな粕谷プロは、昼間はサラリーマンとして働き、家庭では子を持つ父親でもある。プレイヤーとして円熟味も出てきた彼に、ダーツとの向き合い方、JAPANへの思い、さらにはSUPER DARTS 2015出場へ懸ける意気込みなどを聞いた。

妻の支えがあってこそ、プレイヤーとしての自分がある

「最初は競技だなんて考えていませんでした」。粕谷プロがダーツと出会ったのは、会社の同僚たちとゲーム感覚でプレイをしたのが最初だった。勝ち負けというよりはレジャーのひとつとして、楽しむ感覚だったという。

そんな中で、競技として意識するようになったのは、ダーツをはじめてから2、3年経った頃。友人に誘われて参加したリーグ戦で「初めて負けて悔しい思いをした」という。

「当時はまだレーティングもBフライトくらいでしたが、上を目指したくなりました。それからは、一人でもダーツ場へと行く機会が増えましたね」

負けた悔しさから仕事帰りに練習をする日が増え「勝つ楽しさ」を感じるようになったという粕谷プロ。ダーツの実力はどんどんと上がり、2012年にプロへと転向。一方で、今も造船の溶接工として働き続けている。

「仕事がたてこんでいるときは残業を終えてから練習に行きます。大会に出場するときは事前に申請をして会社を休ませてもらって参加していますが、職場では理解してもらっているのでありがたいですね。大会が終わって出社すると、同僚たちから“どうだった?”と聞かれることもあるので(笑)、いい結果を伝えたいと思います」

家に帰れば父親としての一面も。“家庭と仕事とダーツを両立するのは大変では?”という質問を投げかけると「妻が支えてくれないとダーツは出来ないと思っていますので、家族はとても大事です。休みの日は子どもと遊んで過ごしています」。

ダーツと家族と仕事、それらを両立するのではなく、相乗効果として高め合っているところに粕谷プロの強さがある。

ダーツは対戦相手がいるからこそおもしろい

しかしながらダーツバーで働くという選択肢はなかったのだろうか。その質問には「あくまでも個人的な見解ですが」とことわりをいれつつ「ダーツバーの店員さんは調子の良し悪しに関係なく投げないといけないので大変だと思うんです。悪い状態で投げてフォームが崩れたりするつらさもあるでしょう。その点、自分たちのようなサラリーマンですと投げたいときに集中して練習できるので、自分にとっては今のスタイルがベストだと思っています」

そんな粕谷プロはJAPANのブースや店舗のイベント会場で頻繁に目撃されている。

「自分は喋れないし、お酒も飲めないですし、場を盛り上げることもできないので(笑)、イベントを企画するのは無理だと思っています。だけどイベントに参加するのは好きなんです」

「ダーツは対戦相手がいるからこそ面白い」と言い切る粕谷プロは、DARTLIVEのGLOBAL MATCHも練習に取り入れている。

「普段の練習ではショップへ行き、まずはカウントアップで調整をします。それからお客さんがいると対戦をするのですが、誰も居ない時はGLOBAL MATCHでオンライン対戦しています。基本的にはレーティングを問わず誰とでも対戦します」。もしGLOBAL MATCHで粕谷プロを見つけたら、対戦を申し込んでもいいものだろうか? 「もちろんです。基本的に拒否することはないので(笑)、お待ちしていますよ」

JAPANは一戦ごとに何が起こるかわからない大会

プロ転向とともに参戦したJAPANでは華々しい戦歴を飾ってきた。2012年度は年間ポイントランキング5位。2013年度は12位と苦しんだが、今期は2度の優勝を経験、年間ランキングも3位と好調な結果だった。

「いや、好調のイメージはないです。調子の良し悪しもけっこうありますね。調子が悪い時は頑張って調整するんですが、試合中に取り戻すのはとても難しいので、そういう時は開き直ることにしています。JAPANは一戦ごとに何が起こるかわからない怖さのある大会。目の前にある一戦一戦、気を引き締めて戦うだけです」

そして、JAPAN枠としてSUPER DARTS 2015への出場権を獲得。世界中からトッププロが集結するソフトダーツ夢の舞台に懸ける思いは?

「初めての参加なので、どこまで自分の力が通じるのか試してみたいですね。これまでもTHE WORLDの試合を見て海外のトッププレイヤーの力はよくわかっているので、自分の実力がどこにあるのか。その限界を自分で見てみたいと思います」

対戦してみたい選手にはアメリカを代表する一流プレイヤー、レイ・カーパー選手を挙げた粕谷プロ。「もちろんひとりでも多くのプレイヤーと対戦したいですが、同じサウスポーの選手なので特に興味がありますね」

世界中から注目される大会だが、粕谷プロは雰囲気にのまれないタフさを感じさせるプレイヤーだ。しかし、メンタル面を聞かれると意外な言葉が返ってきた。

「メンタルは…弱いです(苦笑)。人前で喋ったりするのは苦手ですね。おそらく、入場の時に、一堂に並んだ時には、おそらく緊張しすぎて自分でも何をしゃべっているのかわからないような状態になっていると思います。ただ、ボードの前に立てば、ダーツのことしか見えなくなるので、試合に入ったら周囲を気にすることはなくなると思います」

逆に言えば、どんな大会でも試合にさえ入れば集中して臨むことができるということか。粕谷プロなら、世界トップクラスのプレイヤーが集まる会場でも、臆することなくダーツを投げ込む姿を見せてくれるだろう。

-Profile-
粕谷晋(千葉県)
2014年間ランキング:3位
スポンサー:JOKER DRIVER DARTS / L-Style / CLIP NINE

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