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異種異世代トークイベントまでの「ウンコのおじさん語録」週間。児童精神科医・石川憲彦さんとのトークは、明日12日(日)午後3時〜。

『お・は』創刊号(1998年)で「学校に適応するとダメになる」と語った宮台さん。

インタビューはフリージャーナリスト・藤井誠二さん。「多くの親は学校でつまずかないでほしいと思っていますね」という問いかけに……

「つまずいちゃいけない」という前提がそもそも誤りです。似たような通念はいろいろあって、親や先生のいうことを素直に聞くのがよい子どもだという言い方がありますが、この成熟社会のなかでむしろ学校に適応している連中ほど社会に適応していない、という逆説的な事態が広がっています。

たとえば、帰国系の子どもとか、いろいろな理由でフリースクールや大検予備校に行っている若者のほうが──いままではたしかにこいつは学校に適応できないな、これだったらハブにされるだろうなと思うような自己主張の強い連中が多いけど──社会でうまく生きていけるとぼくは信じています。

現在の急激な社会変化のなかで、学校に適応すること、あるいは家も含めて大人のいうことをハイハイと素直に聞くことは、少しもこれからの社会を生き抜く役に立たない。むしろ、親だから、教員だからというだけでその人の話をまともに聞くような子どもは、はっきりいえば「終わって」いるというのがぼくの考えです。

ぼくの大学の講義は、ちゃんと答案用紙にぼくの講義を忠実に再現しても高い点はあげられない。基本的にはネガティブな評価も含めて、自発的で自立的な評価をぼくのいったことに対しておこなった学生の答案をもっとも高く評価するといっています。そういわないと講義をなぞっただけの答案がいっぱい出てきます。

ぼくの授業はいろいろな柱がありますけれども、「自己決定」ということが非常に重要なコンセプトのひとつですから、唯々諾々としたがわずに自己決定をしろといっているのに、唯々諾々と「自己決定しなきゃいけない」と書いているやつがいる。そんな自分がはまりこんでいる逆説に気がついてほしいと言っています。(『おそい・はやい・ひくい・たかい』創刊号「学校でつまずく人生─学校に適応するとダメになる」より一部抜粋)

──創刊から20年『お・は』No.100号「学校でつまずかない人生」で宮台さんは……

創刊号20年。ぼくが語った「問題」は変わっていません。いや、むしろ、悪化しました。「問題」とは、周囲に合わせる協調性を、みずからが信じる正しさや愛よりも尊重する傾向です。

社会心理学は当時すでに「日本的集団主義」が所属集団を重んじるだけで、各集団の共通プラットホーム(公)をないがしろにする自己本位の生存戦略であることを実証していました。

当時のぼくは、日本の学校や幼児番組が協調性教育に偏り、普遍的な「正しさ」より集団エゴ「損得」を尊重するという、悪い「心の習慣」を温存することを、おそれたのです。いまはどうか。

昨年末に出した『子育て指南書 ウンコのおじさん』も「損得勘定(自発性)から、内から湧く力(内発性)へ」がモチーフ。同じ話です。「損得を超える子」を育てる実践の方法を記した点だけがちがいます。

ポップに書きました。

「便利と快適じゃなく幸福と尊厳。損得の勘定じゃなく内から湧く力。うまく生きるじゃなく立派に生きる。必要なのは親じゃなくウンコのおじさん」。

もう一つのバージョンも紹介します。

「安全と安心じゃなく混沌と眩暈。利益の追求じゃなく正しさの追求。合理の貧しさじゃなく不条理の豊かさ。必要なのは親じゃなくウンコのおじさん」。

(『お・は』No.100 創刊号「学校でつまずく人生」への返信 学校でつまずかない人生 状況悪化を食い止めるのは「ウンコのおじさん」より抜粋)

いよいよ、明日、ウンコのおじさんこと宮台真司さんと、児童精神科医・石川憲彦さんの対談ライブです。『お・は』編集人の岡崎勝さんが進行役。

楽しみでうれしくて待ち遠しい7月12日がやってきます。



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