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『お・は』№113宮台真司さん・岡崎勝さんの「実録:愛と希望を語る90分『こども性教育』」の舞台裏

とても、長い道のりでした。

『お・は』№112『大人のための性教育』を刊行したのが、2022年1月25日。そもそも「性教育」は大人が子どもにするもの、教えるものという前提があるけれど、私たちは「性について、なにを、どう、子どもに伝えていくのか」「なにを、伝えたいのか」を、その1年ほど前から考えてきました。

1960年代「性教育」はいわゆる「純潔教育」で、80年代に入っても、「生殖」「性病」を語ることが先進的で、「男子のマスターベーションは頭脳に悪い影響がある!」「(性教育をして)寝た子を起こすな」といった議論がありました。さすがに、その多くがいま修正をされています。

やがて、大人の議論も成熟してきて「性は生そのもの」、人権教育でもあるという流れがあります。しかし、そうなると、これは「性教育」をしようという大人の足元の問題でもあります。女であること、男であること、いずれでもないこと。一人一人の大人が自分の性と向き合って、大切にしていること、かけがえのないことを家族や友人、同僚らと共有できているかも問われます。

「はたして私たちに、大人たちに、性を語れるコトバや中身があるのか?」岡崎編集人との打ち合わせでも、そこで立ち止まりました。ネット社会になり、情報はむしろ子どもたちの手中にあります。

まずは、大人自身が「性」や「愛」をどうとらえ、他者とどう関係性を結んでいっているのか、いま、なにが必要で、なにを求めるのか。

そんな本が、子どもに語る前に必要だろう、ということで編まれたのが『お・は』№112でした。

筆者の社会学・宮台真司さんとは、これまで30年以上にわたって、折々で子育て、教育にまつわる様々なテーマをご執筆、取材でご協力をいただいてきました。

宮台さんが過去のご自身を「クソナンパ師」と言っておられること、その後子育てを経験され、研究者として親として、いま子ども達に性を語るとしたら、どのような言葉を紡ぎ出してもらえるだろうか、と期待をしました。

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じつは、それより数年前、「宮台さんは小中学生に授業はされないのか?」 と問うたことがあります。その時は「それはね、なかなか、大変なことです。時間がかかると思います」と言われ、待つこと3年ほど。『お・は』の企画意図をお伝えし、「性」をテーマに子ども向けに編みたいこと、2号に渡ること、子ども達に講座をすること、を条件にさせていただきました。

すると、宮台さんからは快諾をいただけて、『お・は』№112は発売ほどなく品切れで、増刷。そして、いよいよ、本番「こども性教育」だ……。

と、その講座に参加する親子を募集しました。ところが、宮台さんが子どもたちに性と愛を語る、性教育をする、とTwitterで告知したその途端、さまざまな意見が飛び交うことになりました。

何事も賛否、好き嫌いがあって当然です。そのいくつかのご意見を伺ったり意見交換のようなこともしました。粗忽か? あえての誤読か? といったお話から、過去のご自身の性愛の手痛い体験から、回復していない痛みを切々と語る方もおられました。

もちろん、いずれのご批判もご意見も真面目に考え、岡崎編集人らと時間をかけて話し合いをしましたが、「ここで開催を中止してはむしろいけない」という結論になるばかりでした。

そして、なぜ、誤読をするのか。なぜ、性暴力やハラスメントが後を絶たないのか。なぜ、宮台さんの講座から子どもを守るべきと思うのか。批判の声のなかに、大人たちが抱える問題がいくつも見えてきました。

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一方、「親子で参加する性教育」なんて、敬遠されて当たり前。親がいくら賛成していても、子どもに無理強いはできません。無茶な企画だったのではないかという思いは強く、この親子講座に子ども年齢の人は来てくれるのか? そちらのほうを編集としては心配しました。

しかし、子どもにそっぽを向かれて、泣く泣く参加を断念した人もいたなかで、頃合いよく親子は集まってくださいました。それはちょっと無理でしょ? と思う小学2年生から、大学1年生まで。大学生の数名は保護者なしの参加。出身高校の先生からの情報での参加です。

Twitterでちょっとした騒動の最中、宮台さんは御尊父の野辺送りをされていました。そして、講座前夜、宮台さんから大量の資料データと講座メモが送られてきました。大慌てしたのは会場設営などのスタッフたち。

前夜宮台さんのメモを見て、俄然ライバル心?を燃やした岡崎さんも当日の朝「ボクも小学生向けに授業メモと、マジックのおまけを考えてきました」というではないですか。ますます、混乱。

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まさに、ライブ。

宮台さんは、「性と愛」をテーマに、子どもたちに、どんな言葉でなにを語ったのか。前半の宮台さんのお話を聞いた子どもたちに、岡崎さんはどのような声をかけたのか。

「性教育」を敬遠していた人も、ぜひ、ご一読ください。






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