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香害、微量な合成化学物質で健康被害。声をひとつに、と願って。

一番つらいのは、身近な家族、友人、隣人に理解されないこと。

ジャパンマシニスト社編集部の松田です。香害により「化学物質過敏症」を発症し7年が経ちました。

この間、暮らしのなかの微量な合成化学物質によって、健康被害を負った人がどれくらいおられるでしょうか。

過去、建材などの中に含まれる物質によって、化学物質過敏症を発症した人たち(シックハウス症候群)ともとても似た症状に私たちは苦しんでいます。

テレビで宣伝され、スーパーなどでも売っている柔軟剤や合成洗剤などで、こどもたちは教室に入れず、おとなたちは職場を追われ、自宅にいても窓を開けることもできない。

多くの被害者、発症者はいいます。一番つらいのは、身近な家族、友人、隣人に理解されないこと。心のどこかで「気持ちの弱い人」「少しわがままな人」「自分の工夫が足りないのでは?」という被害者の痛みを軽んじる思いが見え隠れします。

こういう誤解は、発症者にとっては体だけではなく、心の傷になっていきます。「柔軟剤をやめてほしい」「私の健康を害する物を使用しないでほしい」。これは堅苦しく言えば、わが身の生存権の訴え。空気を思いきり吸いたい! そんな当たり前の訴えが通じなければ、人はすぐに行き場を失います。

無理解と孤立は、心身を追いつめます。

声をあげても、声をあげても、スルーされる。そして、被害は広がるばかり。夜中の公園に避難して、大の大人であるはずの私も何度か「絶望だなあ」と思いました。

それぞれに抱える困難を、一つの声にできないか

一方でTwitterやFacebookのなかで、国会や地方議会でも、この「香害」を問題視して、なにが起こっているのかを知らせよう、知ろうという人たちがいました。

シックハウス症候群に苦しみながら、長らく周知活動を続けてこられた方たちの存在にも勇気をもらいました。

そして、この数年で本を作り、お知らせのチラシや冊子を作りました。

でも、それでは、まだ何かが足りない。みんな各地で、多くの人がたった一人で「香害周知」を願って声をあげ動いている。毎日毎日、頭が痛かったり、腹痛で倒れたり、脱力して動けなかったりしながら。

こどもは「鼻の奥を棒で刺されたようだ」ともいい、学校にいくと鼻血まみれになったりするので、親たちは生きた心地がしません。とくに幼いこどもはまだ表現することに不慣れで、機嫌を悪くしたり、ただ泣くことしかできません。

そういう、それぞれに抱える困難を、一つの声にすることはできないだろうか。被害者、発症者にもなにかできることはないだろうか。あるときからそう思い始めました。

これは、私だけのひらめきではないはず。きっと、もっと以前からそれを願っていた人がいるはず。ところが、誰に聞いても「それは難しい。そうあればいいけれど、無理だと思う」と言われました。

確かに。かなり難しいことの連続でした。この事情についてはいつかお話ししたいと思います。

香害被害者・カナリアが集まって世話人に

「やりましょう!」とまず、言ってくれたのは、すでにTwitterなどで「香害被害の声」を発信していたハンドルネーム「NO MASK, NO LIFE」さん。この方の思いの強さは、症状の重さでもあるかもしれません。能ある鷹とはまさにこの方のことで、それを隠して裏方の仕事に徹してくださいました。

そして、長年、化学物質過敏症を発症してしまった人たちの暮らしを支援してきた青山和子さん(「CS憩いの仲間~化学物質過敏症本人とその家族のための情報交換会」代表)。この方の信念もすごかった。「被害の声をひとつに、大きくする」という1点で若輩の不足や不備にも堪えて見てくださる。最年長で知恵と知識に裏付けされた共同代表のお一人です。

さらに、そこに「猫のチラシ」がご縁でお声かけくださった稚内北星学園大学の元学長・斉藤吉広さん。退官の最終講義で「猫のチラシ」を使いたいとメールを頂いたのでした。無類の猫派であられます。

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この斉藤先生が、もうひとりの共同代表に。斉藤先生はあらゆる意味で求心力とバランス力を発揮くださり、けして偉ぶることはなく公平に大きな目的に向かいリードくださいました。

見ず知らずの者たちでしたがzoomの恩恵に授かり、準備を進めてきました。体調不良とともにある世話人たち。度々予定は狂い、ネット環境、SNSの経験のちがいから、行き違い、考え違い、ただの勘違い……いろいろありました。

でも、思いはひとつ。4人で会の発足を急ぎました。

そして、今日(2021年7月31日)、斉藤先生が「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」年次総会の講演会で【カナリア・ネットワーク全国】の発足をお知らせをしました。

このプロジェクトの言い出しっぺではありましたが、すでに私の手は離れた感があります。この世話人たちの度量によって【カナリア・ネットワーク全国】は形あるものになりました。あとは、会員の情報管理などがしっかりできるように、技術的な整備が必要です。

大空を小さいけれど志の大きな3羽のカナリアが飛んでいます。

この3羽に続く方はおられませんか?

私ももちろん、後方を飛ぶつもりです。

【カナリア・ネットワーク全国】は、香害被害・化学物質過敏症の方をはじめ、香り製品でお困りの方、環境問題として注視している方など、お一人でも多くの方を会員として募集します。

詳細は【カナリア・ネットワーク全国】のホームページをご覧下さい。このネットワークの発足は、まず活動資金を集めることから始まります。そのための仮のホームページ、Twitterも「NO MASK, NO LIFE」さんのご尽力でオープンします。

なお、現在のホームページからは会員の登録(無料)はできません。また、クラウドファンディングも限定公開を見ることができますが、リターン(ご支援に対してのお礼)は調整中です。

クラウドファンディングは、2021年8月10日にオープンします。8月12日には東京中日新聞で記事掲載予定です。あわせてご注目ください。

     ジャパンマシニスト社出版プロデューサー 松田博美

よろしければサポートをお願いします。いただいたサポートは子育てサークル、子どもの居場所などに『ち・お』『お・は』を届ける活動資金にさせていただきます。