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【e-Sports】落ちこぼれ集団が半年で日本FPS界最強のチームになるまでの軌跡#前編

こんにちは!
吉本興業に所属している『Japanese小池』と言います!

自己紹介

  • 本名:小池龍馬

  • 吉本興業所属のお笑い芸人

  • 芸人と二足のわらじで『コール オブ デューティ』(以降CoD)というFPSゲームのプロチームであるLibalent Vertexの『データアナリスト』としてチーム解散まで活動。

  • チームの成績は全11回中の日本公式大会11連覇、世界大会25位タイ

noteを書こうと思った経緯

e-Sportsプロシーンにおいて圧倒的な成績を残しLibalentZETA DIVISIONに移籍。しかしチームは解散となり、僕も一区切りついたので今までの活動記録を残したいなと思ったのがきっかけ。

どうして僕みたいな売れない芸人が入り込み、そしてどう結果を出したのかを記憶を辿りながら机に向かって文章を書いているところです。

この記事を読むと、僕視点にはなりますが、Libalent Vertexやそのチームメンバーの歩んだ軌跡がわかります。


そもそもCoDって何?

まず簡単に、CoDについて説明しますね。

CoD、コール オブ デューティシリーズ(Call of Duty Series)は、戦争をテーマとしたファーストパーソン・シューティングゲーム(FPS)である。

(Wiki参照)

だそうです!!
ありがとうwikipediaさん!!!

SIEさんより2018年から日本のCoD公式大会が発足され、リーグ戦や短期決戦問わず、2023年現在もプロシーンが続いているゲームです。

『Japanese小池』誕生とLibalent Vertex発足

2018年当時のLibalentロゴ

まずは、芸人の僕がどうして『Japanese小池』としてプロゲーマーになっていったかを説明します。

僕自身もCoDは19歳の頃から遊んでおり、オンラインではある程度強い方でした。
このことは、何が仕事に繋がるか分からないからと当時の芸人プロフィールに記載していたのです。

その頃の僕は、売れないコンビ芸人として活動していました。
27歳の時に、相方と一緒に吉本興業の本社に呼ばれ、e-Sports部門のお偉いさんから「小池にプロゲーマーとして世界を目指して欲しいからコンビを解散してくれ」と言われます。

いや、いきなり解散って… 今となっては解散してよかったけど当時はビックリした!!

でも相方がいいやつで「いい話だからそうしよう」と背中を押してくれたんです。

ただそこで、僕から吉本側に提示した条件がありました。

プレイヤーとしてでは無く、監督やデータアナリストとしてなら受けたい!

もちろん吉本としてはプレイヤーとしての活動を望んでいました。
しかし、27歳でプロゲーマーなんて周りから馬鹿にされまっせ!ってことで、チームメンバーは集めるから裏方としてならと交渉。

その結果、条件付きではあるものの、プロゲーマーとしての『Japanese小池』が誕生しました。

そしてそれと同時に、プロチームLibalent Vertexが発足。
2017年12月半ばくらいからメンバー集めに奔走することになります。

メンバー招集と紹介

左からエンカウント、コロカン、イナバ、ニコちゃん

Libalent Vertexの母体となったメンバー

メンバーを集めるにあたって、一番最初から頭にあったのは、当時SCARZを脱退していた『Nicochaaaaaaaan』(※以後ニコちゃん)を誘うことでした。

当時からSCARZにはCoDのプロチームがあり、そこで試合をしているにこちゃんを見て「こいつとなら絶対に優勝できる」と思ってたんです!

ニコちゃんは既に『E3NCOUNT』『CorokanTok』『EVA』の3人とアマチュアチームとして活動していました。
なので、そのままLibalent Vertexのメンバーとして活動してもらうことに。

そこから一ヶ月後の2018年1月に『InabaUR』が加入し、Libalent Vertexの母体が完成します!

さて、ここから先の話を書くにあたって必要な主要メンバーを紹介をしていきますね。

Nicochaaaaaaaann(ニコちゃん) ※リーダー

使用武器はSMG。
実力は折り紙付き。
当時最強だったSCARZの元メンバー。

私生活での問題行動等は一切なく、温厚ですごく良い子!

練習となると、勝ちたい負けたくないというストイックさから怒号と何かを投げる音が毎日聞こえてくる【勇猛な鬼軍曹】という二つ名通りのプレイヤ
ー。

チーム唯一のCoD e-Sportsルール経験者の為、苦しみも多かった。

Inaba UR(イナバ)

使用武器はAR SR。
CoDサイボーグ。
毎日AIM感度を変えては1000体bot撃ちをするまで寝ない。

サーチ&デストロイ(爆弾設置系のルール)でアマチュアながらチート認定され続ける程の実力者。

当時はニコちゃんと同棲しており、5合釜の炊飯器でお米を6合炊き、冷凍庫の扉を締め忘れて床をビシャビシャにし、お風呂に入ればお風呂場を泡まみれにする優しき怪物。

E3NCOUNT(エンカウント)

使用武器はAR。
明るくて良い奴だがチーム1の問題児。
寝坊、遅刻は当たり前。
大会当日の集合時間にさえ遅刻してくるので、第3回大会より小池宅に泊まり込み毎日練習をする。

大会が始まる1週間前から生活リズムを整える為に泊まり込み、大会終わりの余韻で更に1週間泊まり、インフルエンザになって更に1週間、そしてまた大会というループで、プロゲーマー期間の半分近くを小池家で過ごす。

その結果「私は誰のパンツを洗っているの?」という言葉を残して、当時同棲していた彼女が出ていきます。

僕には従順。

CorokanTok(コロカン)

使用武器はSMG。
チーム最年少ながら、圧倒的なムードメーカー。
今でも毎日遊んでいる小池の友達シリーズ。

優しく空気も読める為、ニコちゃんが怒り始めると影響されてしまい、プレイの質も落ちて余計怒られる。
何回泣いてたか!!
献身的で優しく、どんな状況でも人を笑顔にしてくれる最高に気持のいい男。
今でも彼の周りには多くの人間が集まる。
高身長、イケメン。

Japanese小池

通称じゃぱこ。
芸人
 アナリスト 監督 メンタルコーチ 何でも 無限。
スプレッドシートへ毎日の練習のデータ収集、試合映像の録画と共有、雰囲気が悪い時の漫談、講釈垂れ要因。

『選手に気持ち良く仕事してもらえる環境を作る』
『そのゲームのプロゲーマーはそのゲームを誰よりも楽しむ』
『勝負は時の運、勝ったら選手のお陰、負けたら俺のせい』

このポリシーだけで何とかなった人。
楽しく仲良く元気良く!!!

この5人体制で2018年4月から半年間に及ぶ、コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦に参戦することになります。

第1回コール オブ デューティ ワールドウォーIIまでの焦りと不安

メンバーが固まったのは2018年1月。
残り3ヶ月で既に何年も前から活動しているチームに勝たなければいけない状況。

ニコちゃんは元プロ。
イナバはCyAC(公式大会が出来るまでのコミュニティ大会)で最強各プレイヤー。

ではあったものの、僕も含め何らかの理由でプロチームに呼ばれていない言わば落ちこぼれ集団

誰からも期待されていないチームでした。

落ちこぼれ集団の散々な日々

本格的な練習を始めても、そもそもチームとしての動き方の基礎も出来ていない状態。

そしてe-Sportsルール経験者はニコちゃんしかいない。
彼が厳しめの指導をしてもすぐに実行出来るはずもなく、その事にまたストレスは溜まる一方。

拍車をかけて、新設チームとスクリム(毎日の練習試合、交流戦)をやってくれるプロチームが数チームしか居なく、アマチュアとして頑張っている子達と練習する状況が続きます。

さらに僕のようなアナリストは、当時のCoD界隈にはまだ存在して無かったため、せっかくのプロチームとのスクリムも「作戦がバレるからアナリストの人は観戦しないで」と言われる始末。

今思えば散々な扱いですわ!!!

データが取れないと僕の仕事も上がったりなので、チームの改善点も共有出来ず、上手くなっているのかも分からない負の悪循環が続いていました。

それでも勝ちたいという一心で、ただひたすらにがむしゃらに練習。

持論を言ってしまうと、効率の良い練習を短時間でやって、、、
なんて事は、とんでもない時間をしっかり頭使って練習した人にしか効果はありません。

※効率の良い練習というのはその本質だったり、意味を理解してこそ真価を発揮するものだとこの期間に学びました。

アナリストとしてできたことは

当時の集めていたデータ(※下記画像)も酷くお粗末で、今見ると見辛いし分かりにくいし、ひっどい有様。

※発足当初のデータ

それでも僕は、選手と楽しくお喋りすることでコミュニケーションを取りつつ、少しでも練習効率が上がればと必死でした。

皆さんは部活や勉強、バイト、仕事等で実力や成績で劣っている人から何か指摘された時に「俺のほうが実力は上だろ!なんだお前!!」ってなった経験ありませんか?
性格が悪いのか、僕はそう思っちゃいます笑

でもメンバーの皆は、界隈での歴も浅くて実力もみんなに負けている僕の話を良く聞いてくれてた。

だからこそ、僕もデータを取るだけじゃなくて、色んなことをみんなに話しました。

会話する時に気をつけていたこと

  • 漫談でいいから頻繁に笑いを交えたコミュニケーションを取る

  • ゲームの話をする時にはデータに基いて、指摘ではなく提案をする

  • 悪い点は自分で分かるから、良い点だけを褒め続ける

  • 年下だと思わず、対等な立場で友達のような関係性で話す

僕がスポーツをしてきて、どうしてこうしてくれないんだろうと疑問だったことを実践しました。

そして焦りと不安を抱えたまま、第1回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦を迎える事になります。

淡い期待と厳しい現実に揺れた第1回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦

自分達は強くなっているのか分からないまま、本番当日を迎えます。

コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦

各月2試合を5ヶ月間(計10試合)行い、上位2チームが東京ゲームショウでのグランドファイナル進出となる半年間に及ぶBO5によるリーグ戦形式のプロリーグ

参加チーム

  • Rush Gaming(名実共に当時最強チーム)

  • SCARZ(日本最初のCoDプロゲーミングチーム)

  • DetonatioN Gaming(通称DNG コミュニティ大会でプロを倒したvAvというクランがそのまま移籍した強豪)

  • CYCLOPS athlete gaming(通称CAG 関西を拠点に幅広く活動するプロゲーミングチーム)

  • Sunsister(FPSから格闘ゲームまで第一線で活躍しているプロチーム)

  • Libalent Vertex(今年から出来た新生のプロチーム)

この6チームで最大半年間を戦う長丁場なわけです。

珍しく厳しいJapanese小池

普段の僕は選手達を大甘やかししています。
だけど大会会場ではそうはいかない!

まず、メンバーに伝えたこと
「会場ですれ違う人は全員関係者、こんな素敵な大会を開いてくれているんだから、知らない方でも必ず大きな声で挨拶しなさい。」
「大会には遊びに来てるんじゃない。試合会場でヘラヘラしたり白い歯見せんのは無し。対戦相手は親の仇だと思え。」

物騒よね!
新生チームで、眼光鋭く会場入りして、談笑しないチームなんて笑

挨拶は当たり前として、ちゃんと理由があってこういう思考に持っていってるんだけどその話はまた今度。

第1回大会の試合前写真

第1回1試合目 Sunsister戦

もちろん勝つ気で試合に望んでいますが、試合前はすっごく不安だったのを覚えています。

配信試合では無いので実際の映像はありませんが、確か3-1で勝利したかな?

初試合初勝利で「もしかしたら俺たちってめっちゃ強いんじゃね!?」って浮かれてた気がします。

第1回2試合目 Rush Gaming戦(配信試合)

ここに勝ったらとんでもないこと。
かなり苦しい戦いにはなるだろうけど「もしかしたら!もしかしたら!!」と淡い期待を抱いていました。

以下は実際の試合映像です。

結果は1-3で負けました。
そりゃそうよね。

それでも、現状日本最強チームに1本取れた事は本当に嬉しかったです。
悔しかったけど、やってきたことは間違ってないかもしれないと思えた瞬間でした。

その後も他チームと試合を続けていき…

第一回の全試合を終えての順位

第1回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦終了時点の順位

Libalent Vertexは5位!
いや同率4位か。

ただ、BO5で勝敗が決まるので持ち点4というのは1勝も出来なくても稼げる最高点。
Rushから1本取れたとは言え、この順位の通りの実力順だったと思います。

一瞬は淡い期待を抱きつつも大番狂わせ等はある訳もなく。

厳しい現実を突きつけられた第1回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦が幕を閉じ、第2回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦へ向けて運命の歯車が回り始めます。

CoDの歴史を変える男【sitimentyooo】加入

選手たちの葛藤

大会を終えて、厳しい現実を突きつけられたけど立ち止まる暇はない。

僕はこのままいけば何とか物になんじゃないかと感じていたけど、選手達、特にニコちゃんはそう思っていなかった。

e-Sportsルールに馴染めていないコロカンを抱えたままではこの先は厳しい。

そんな中で練習していても、反省点で出てくるのは「コロカンが!」ってところばかりになっていた。
有意義な練習も出来るわけもなく、雰囲気も凄く悪くなる一方。

コロカンの少しのミスにニコちゃんが怒ってしまってコロカンは萎縮。

怒ることによって、周りの人間の思考は30%低下。

良いプレーなんて出るはずもなくまた怒られるの悪循環。

勝ちたいという気持ちが空回りして、勝てない方に進んでいる典型を辿っていました。

ニコちゃんに「怒っても良いことが無いから強くなりたいなら…」と何度も話したのを覚えてる。

一旦落ち着けば本当に温厚な子だから。

でも次の日の練習になると戻っちゃう笑
仕方ないんだけどね。
みんな生活かけて、死ぬ気で練習してるからこそこういう問題は起きてくる。

そんな状況で第2回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦を2週間と迫った頃、新メンバーを入れたいと相談を受けことになります。

新メンバー加入の相談

相談を受けたのは、コロカンをスタメンから外して新しい人間を入れてみたいというもの。

プロの世界では当たり前のことなので、可哀想なんてのはもってのほかなのは分かっているが、感情型の僕からしたら「まぁ待て」と。

  • 問題を解決する前に安易にメンバーチェンジというやり方を取ってしまっていいのか?

  • 問題の先送りをしているだけじゃないのか?

  • 同じ状況になった時にまたメンバーチェンジするの?

Libalentのボス、俺たちの憧れ、永遠の大将『西田さん』も「プロのシーンで勝つことはもちろん大事だけど、預かっている身として問題が起きた時に解決出来る力を身に付けるのも教育」として難色を示していた。

問題を解決した先に、メンバーチェンジとなるのであれば良いけど、この状況で変えるのはどうなんだろうとチームメンバー含め西田さんと何回も話し合い。

でもニコちゃんが本当に頑固で頑固で笑

「小池さんはいつも選手に気持ち良く仕事してもらえる環境を作るって言ってるよね?気持ち良く仕事をするためにどうしても頼む!」

ズルいよな!こういう時に限って!

結局、西田さんとも7時間くらい話して、一先ずその子を呼んで1週間だけ仮入隊させようという結論に至りました。

西田さんと僕は、実力はもちろんだけど人間的なところを凄く重要視するので「そういうところも含めて一度見てみましょう。」となったんです。

そこで名前が上がっていたのが【sitimentyooo】というプレイヤーでした。

Sitimentyooo(七面鳥)

CyACというサーチ&デストロイのコミュニティ大会で知らない人間は居ないプレイヤー。
チームを転々と変えながら、全てのチームを優勝に導いている怪物。
年齢不詳、職業不詳、コンタクトを取れる人間もごく少数。
イナバ曰く「CoDのプレイヤーで最も頭の良い、唯一尊敬しているプレイヤー」。

いや!ちょっと待て!!
こんな意味分かんない奴本当に誘うのかよ!!!
なんだよ、年齢職業不詳って!!
夕方のニュースじゃねーかよ!!!
こんな訳分かん無い奴に大好きなコロカンの席渡せるか!!

読んでるみんなも「なんでそんな奴がプロシーンに誘われてないんだ?なんかとんでもない問題児なんじゃないか?」って思いません?

よくよく聞いたら、20歳前後という噂だったり、30歳手前のおじぃって噂もあってよく分からん。

そんな彼が初めて練習に来たのを今でも覚えてる。

「こんちゃーーーーーーす!」

は?なんだこいつ。

でも、仲良くしてやんねって思ってたのも交流戦の1試合目が始まるまでだった。

AIMが凄く綺麗。
それはそれは綺麗。

当時のイナバのAIMは爆発力はあるけど安定性の無い言わば破壊的。

変わって七面鳥は、敵が顔を出すところに当たり前にAIMをおいて当たり前に打ち勝つ、重要なポジションでそれを当たり前にやる言わば理想的。

七面鳥がチームに入る事は1日目にして僕の中では決まってしまいました。

加えて人間性も、明るく素直。
モットーは『楽しく練習すればどんなチームでも勝てる』と僕、西田さんの理念ともマッチしていたのも大きかったです。

彼のようなプレイヤーがなんでどこのチームにも所属していなかったのか。。
もちろん何チームにも誘われていたらしい。
それを全て蹴っていたと。

今でも変な奴だなぁと思うけど、七面鳥曰く「当時プロとか興味なくて、CoDが純粋に強ければ上手ければ、戦う場所は関係ない。プロで活躍する選手が心では七面鳥には勝てないけどって思わせてたら別に何でも良い。」とのこと。

そんな考えだった七面鳥が、個人的に仲の良かったDNGのAlice選手に「第一回大会の緊張感と楽しさは本当に凄かった!」と話されて興味を持ち出した頃に、イナバから勧誘の連絡が来る。

完成されたチームで優勝しても面白く無いと感じていた彼にとって、Libalent Vertexはご馳走だったんでしょうね。

彼のことを良く知らなきゃと、練習終わりにディスコで良く喋ってました。
七面鳥の年齢が不詳だったのも、彼がゲームの世界の人間とは一線を引きたかったらしく、色んな所で嘘の情報を流していたと分かった。
さらに、当時大学生で、まさかの小池と同じ大学同じキャンパスという奇跡。

苦労した七面鳥の大会メンバー登録

七面鳥がチームに溶け込むのに時間はかからなかったです。
コロカンとも話し合いを重ね、七面鳥さんなら任せられる!ということで、本格的にLibalent加入。
そして大会メンバーへの登録の為に西田さんとの話し合いを行いました。

6時間程の話し合いの結果、新しい仲間を迎えよう!という事にはな理ましたが、問題は大会登録。
登録期限がこの日の17時頃までとなっており、大急ぎで本人証明書や宣材写真を用意する必要がありました。
これに間に合わなければ第2回大会に七面鳥が出ることは出来ません。

話し合いが終わったのが朝の6時頃。
七面鳥が実家や役所などへ行って必要書類を集め終わったのが16時30分頃。

残すのは宣材写真だけ!
写真館等で撮る時間もない、自分の家で誰かに撮ってもらうしかない!!

運営、メンバー全員が焦っている!
僕のLINEに、家に写真を撮ってくれる人が到着したと連絡があり「白バックで格好良い写真送ってきて」と伝えとりあえず一安心。
まだ20分ある。

切羽詰まった状況で七面鳥から送られてきた写真がこれ。

題 一番格好良い俺

「ちげーわ!!!こんな宣材見たことあるか!?まともなの送ってこい!!!」

2枚目がこれ

題 ポケモンマスター

「ぼやけてる!ピント合わせて!じゃねぇわ!!!急げよ!」

こいつだけ全然焦って無かった。
というかこの頃から完全に僕をなめてる。
何はともあれまともな写真も送ることができ、第2回大会は七面鳥と共に戦える事になったんです。

とはいえ、七面鳥が加入してまともに練習したのは1週間あまり。
勝負事はそんなに甘くありませんでした。

絶対に負けられない第2回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦

当たり前ですがもう負けてはいけないんです。
選手もその事を理解しているが故のメンバーチェンジだった。

この日対戦するのが配信試合のDNG戦と配信外のCAG戦の2試合。

CAGとは普段からの交流戦での勝率を加味すれば間違いなく勝てるだろうという算段。
問題はDNG戦。
大会の成績はRushに次いで現状2位。
選手層も厚く、七面鳥と仲の良いAlice君がリーダーを務める強豪。
交流戦での成績も酷く、厳しい戦いになるとは想像していました。

第2回1試合目 CAG戦

結果は3-0のストレート勝ち。
七面鳥が加入して1週間とはいえ、確実に実力が上がっている証拠でした。

第2回2試合目 DNG戦(配信試合)

結果は0-3のストレート負け。
七面鳥加入であわよくば、と思っていた矢先に一番良くない負けの形。
根拠の無い期待をしていた反動で、精神的にも凄くショックが大きかった。
それは選手達も同じで、1試合目の勝ち方が理想的だったこともあり、最悪の展開になった2試合目とまともにチーム練習が出来なかったことへの悔しさが爆発していたのを覚えてる。

第2回全試合終えての順位

第2回全試合結果

順位を上げたとはいえ、自力でGF進出は困難な状況になった現実が重くのしかかっていた。

第2回終了時点での順位表

七面鳥も「悔しくて泣きそうになった。」って数年経ってから教えてくれた。

第2回大会が終わって

それまでも交流戦後の個人練習も含めて、どのチームよりも時間を使っている自信はあった。
それで足りないならもっとやろうよ!ということで…

  • 週1休み撤廃(一ヶ月間毎日練習)

  • 毎日26時まで練習

  • 練習前の話し合いで各自昨日の交流戦の反省点を3つあげる

この日も遠方組が帰宅したら交流戦をしようって話しもあった。

ただ…

僕個人からしためっちゃ辛かった!
朝9時に東京集合して、帰るのが21時前後。
新幹線組は家に着くのが24時付近。
眠いもん!!
当日はやめたかった!!!

でも選手達がやりたいって言うならと、快く練習した気がします。

絶対に負けられない大会で痛恨の敗北を喫したLibalent Vertex。
微かな希望にかけて地獄の一ヶ月へと突入します。

勝つために

次の大会までは、一切の休みは無しという方針に切り替え。

もうここからの戦いはある程度対戦相手の負けを祈らないと、という現状なので、やれることは全てやった上で大会に望まなければいけませんでした。

それに加えて、Rush、DNG、SCARZはこの期間でアナハイムで行われる世界大会の予選に出場出来ることになったのです。

めちゃくちゃ焦りました。
現状ですら実力で劣っているのに、彼らは世界と戦ってより差が広がるんじゃないかと。

僕たちは第2回を負けてしまったことで、本当に窮地に立たされていました。

でもだからこそ余計に火がついたんだ。

海外チームと練習

日本チームの強い所は海外に行っているので、スクリムは組めない。

なので、まずはマレーシアの有名チーム【RamPaGe Gaming】とほぼ毎日スクリムをしました。
しかも意図的に相手側にホストを持ってもらい、Ping150~という状況で戦いました。

足枷を付ける事によって、撃ち合いの技術向上、それでは勝てない実力差(Ping差)をチームの動きで埋める。

加えてスクリム後にグレネードの練習をひたすら反復でやりました。

もちろん最初はコテンパンにやられ続けました。
当たり前です。

FPSをやったことがある人は分かると思いますが、Pingが高いと
弾が抜ける
敵の残像と戦う
まともに動けない
役満っ!

精神と時の部屋に入ってひたすら修行に勤しみました。

それでも七面鳥が加入したことにより、笑顔が絶えない練習で徐々にRamPaGeに勝てるようになり、自信もついてきて楽しかった!

しかし毎日毎日同じ声を聞いていると、人間どうしてもストレスが溜まるもので21日目に1日だけ練習を休みにしました。

因幡が不機嫌になったんだもん笑

最終的にはRamPaGeにはかなり勝てるようになりました。
相手メンバーからも「お前らの実力で日本4位!?ありえない!!お前たちは絶対No.1だ!」と、ベジータさながらの激励をもらい、大会に挑む事になります。

この頃の小池個人の取り組み

・データ収集としての仕事
・試合のメンタルや練習への向き合い方
・目標への進み方とそのマインドの刷り込み

俺たちはアイドルじゃないから、動画投稿や配信している暇があったら練習しようや。ファンの方に試合に勝つ姿を見せることが一番の恩返し。

諸刃の剣だったなぁとは思っていますし、今後の自分達の首を締める事になるんですが、この時の僕たちには時間と実力がありませんでした。

チームやクラスが一致団結するときって共通の敵が現れた時なんです。
それを明確にしました。

嫌だよね。
こんなマインド持った奴らが会場来て笑いもせず戦って、応援席からは僕がとんでもない大声で喝入れてんだから笑

ここまでしても、日本チームが海外でどんな経験をしてきてるのかも分からないし、スクリムもしていないので怖さはありました。

それでも、毎日付き合ってくれたRamPaGeの為にも、何としても勝たなければいけなかった。

次の対戦相手は王者Rush。
地獄の特訓を乗り越えた先にどんな景色が待っているのか。
第3回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦はすぐそこでした。

CoDの歴史を変える第3回コール オブ デューティ ワールドウォーII プロ対抗戦

いくら自分達が練習してきたとは言え、海外帰りの敵のことは大きくみえます。
とはいえ、僕たちより練習してきているチームは絶対に存在していないという自信もありました。

運命とCoDの歴史を変えた第3回1試合目 Rush戦

ここに勝つために今まで血の涙を流しながら練習してきました。
現状1位、既に1度負けている相手に2度負けるということはGFに駒を進めない事を意味します。

奇跡は起こらないことは、今までの負けで十分理解済み。

今まで練習してきたこと、言われた言葉の真意、遠い地から応援してくれている仲間の事を考えて、必ず勝つんだという強い意志を持っていました。

vs Rush戦、結果は3-0のストレート勝ち。

この時の情景と感情の爆発は今でも鮮明に覚えています。
本当に嬉しかった。
今までの王者を完封、全く危なげない試合でした。
精神と時の部屋から出てきた僕たちはムッキムキになってたんです。

控室に戻っても、大声で喜んでいてスタッフさんから死ぬほど怒られた事を覚えています。
でもそれで良いんです。
勝ったらとんでもなく喜んで、負けたら練習する。

今でもこれがプロとしてあるべき姿だと思っています。
常に何かと戦い続けて、その姿を応援してくれているファンの方に見てもらう。
勝ったら一緒に喜んで、負けたら一緒に悔しがる。

これが僕たちの原動力。

しかしまだこの日が終わったわけではありません。

第3回2試合目 SCARZ戦(配信試合)

vs SCARZ戦、結果は3-0のストレート勝ち。

ようやく配信で勝つところをお見せすることが出来たんです!

この日は本当に嬉しかった!
努力してきたことが結果として反映される喜びでいっぱいでした。

第3回全試合を終えての順位

第3回終了時点での順位表

まさかの2位浮上という最高の形にまで持っていけたんです!
Rushより順位が上なのは、直接対決の結果4-3で勝ち点が勝っているので同率ではあるものの、という事になっています。

この日の帰りにニコちゃん、七面鳥と話し合って「上手くいってることは変えたくないから、練習時間はこのままでいこう!」となりました。

成功してることを変えるより、貫いてもしダメになった時に話し合って次のやり方を見つけるというやり方を通しました。

CoDの歴史を見事に塗り替えた落ちこぼれ集団。
しかしまだまだシーズン折り返し。

「次回:チーム解散の危機と泣き虫アナリスト」

後編もお楽しみに!

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